表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/705

299.会話 星座の話

本日もこんばんは。

星座を考えた人の想像力すごいですね。

「今日も星がきれいですねぇ。てことで、星空観察をしましょう。とてもくっきり星が見えるので、星座がよくわかりますね。あ、ライオン、ワンちゃん、猫ちゃんですよ~」

「動物……? なに言ってんですか」

「星を繋いで星座にするんですよ。動物以外にも狩人や双子などの人間もいます」

「魔王さんには星がそう見ているんですか? 寝た方がいいですよ」

「ま、まだ眠くないです。それに、星座を決めたのはぼくじゃありませんよ。人間です」

「なるほど、幻覚が見えていたのでしょう」

「勇者さんには夜空の双子が見えませんか?」

「見えません。星は星です」

「あそこに強い光の星があるでしょう? あれが手です」

「手です? 手じゃないです星です」

「昔の人には手に見えたんですよ」

「想像力が豊かなようで」

「勇者さんには言われたくないでしょうね。ほら、あの星とあの星を繋げるんですよ」

「繋げる……? どう、どうやって。どことどこを?」

「きみの目には満天の星空がきらめいているだけ。うむ、それもすてきです」

「勝手に納得されている。単純に星座がよくわからないだけですよ」

「空に線が引けたらいいんですけどねぇ」

「魔王さんにならできそうですけど」

「無理ですよう。ぼくもなんとなくでしか星座の星をわかっていませんから」

「なんとなくなんかい。……ん? なんだろう」

「どうしました? えっ、どうしました⁉」

「懐中時計から光が……。わっ、光の線が出てきた。空に向かって……わぁ」

「夜空に模様を描いていきますね。あっ、あれは双子ですよ! ほら、双子!」

「めちゃくちゃ丁寧に描いてくれるので私にも見えました。ほんとに双子です」

「やっぱりあったんですねぇ。ぼくも初めて双子だと認識できましたよ」

「今までなんだと思っていたんですか」

「星だなぁ……と。それっぽく指をさしましたが、実はテキトーにさしていました」

「雑だな……。でも、テキトーにさしたところに双子がいましたね」

「うそをつくことにならなくてよかったです。それにしても、次々と星座を描いてくれますね。勇者さんに見せてくれているのでしょうか?」

「ですかねぇ。私が星座を理解しなかったから呆れられたのかもしれません」

「呆れるような子ではないと思いますが、きれいな星座を見てほしいと思ったのはあるかもしれませんね。星が好きな子でしたから」

「こうして見ると、夜空は大きなキャンバスですね。空いっぱいに星座があります」

「おや、すてきな表現ですこと。ぼくも描いてみたいです」

「い……いと思います」

「雰囲気を壊さないよう配慮した音がしました。お優しい勇者さんです」

「ステラさんの気遣いに免じて」

「ぼく以外には素直なんですから。勇者さんはツンデレですねぇ。そんなとこも好――」

「あ、うさぎ。かわいいですね」

「いつもの勇者さんですぅ……」

「なんだか豪華な鳥が……もしかしてフェニックスですか。さすがステラさん!」

「勇者さんの喜びポイントがよくわかりません」

「懐中時計に似たものもありますね。かっこいいです」

「あれは羅針盤ですね。航海に使うために作られた方位磁針のことです」

「へえ……。こうして見ているとおもしろいですね。先ほどは寝ろと言いましたが、おそらく不眠症の人が星座を作ったのでしょう」

「そうきますか。ですが、夜更かしさんなのはたしかですね。ぼくたちみたいに!」

「寝っ転がると星空が見えるんですから仕方ないでしょう」

「…………」

「なにゆえ服を掴むのですか。離しなさい」

「星座の中には、元は人間だったものもあるのです。勇者さんがすいすい星空に昇っていって星座にならないように……と思いまして」

「元は人間? そんなまさか。……いや、そういうこともありますかね」

「神話ですけどね。ふたご座の双子も人間でしたよ。片方は半分神様でしたけど」

「へえ。魔王さんの星座はないんですか?」

「星になれと? それはロマンチックな意味か、物騒な意味か、どちらです?」

「この場合、どちらも行きつく先は同じだと思います」

「で、ですが、星座になったら勇者さんに見てもらえるってことですよね。ぼくも上から勇者さんを見守っていられる……。すばらしいことです!」

「散々隣にいるのに」

「上からも下からも右からも斜め下からも見たいのです」

「下はだめじゃないですか?」

「おっと。……。では、いつも通りお隣から」

「あ、懐中時計の光が」

「目がッ、目に光がッ、アアアァァァァアァァ!」

「邪な気配を察知したのでしょうね」

「うぐぐ、目がチカチカしますよ。どんな星よりも光が強いからなぁ……」

「そりゃあ、一等星ですから」

お読みいただきありがとうございました。

とてもきれいな星空の日は懐中時計を開いて見せてあげる勇者さんがいます。


勇者「まだまだ知らない力が眠っているのかもしれませんね」

魔王「とんでもない光でしたよ……」

勇者「目くらましに使えそうです」

魔王「威力は保証しますよ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ