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281.会話 ポップコーンの話

本日もこんばんは。

ポップコーンは弾けているのでカロリーゼロです。

「映画を観ている勇者さんにこれをどうぞ。できたてのポップコーンですよ~」

「おもしろい見た目の食べ物ですね。あ、軽い。おいしい」

「映画といえばポップコーン。これを食べるために映画館に行く人もいるそうですよ」

「でもこれ、結構音がしますよ。ひとりで観ているならまだしも、他の人がいるところで食べるのには抵抗がありますね」

「他のお客さんのことを考えていらっしゃるのですね。お優しい!」

「やかましいです。いろんな意味で。がさがさパリパリごそごそばりばりと」

「おいしさには勝てませんよ」

「おいしいですけど、映画を観ていない時に食べたいです」

「映画を観ている時に食べるからこその味なんですよう」

「味は変わりませんよ」

「気持ちです、気持ち。映画とポップコーンの完璧な相性! こちらもどうぞ」

「甘い。さっきのはしょっぱい……塩味ですか。こっちはキャラメル?」

「塩味とキャラメル味を交互に食べるのもおすすめです」

「いやほんと、映画関係ないじゃないですか」

「雰囲気です、雰囲気。こちらもどうぞ。ホットドッグにチュロス、飲み物です」

「まじで映画関係ないですよ。ご飯の時間ですか?」

「勇者さん、ご飯を食べながら映画を観ている時ありますよね」

「それとこれとは話が違うような」

「よく食べながら映画を観ていられますよねぇ。ぼくは話が入ってこないか、箸が進みませんよ。片方しかできなくなっちゃいます。えへへ」

「映画観ながらポップコーン食べるって言ったの、どこの誰でしたっけ」

「ポップコーンが弾ける音で聞こえませんでした」

「その頭を弾けさせてやろうか」

「わぁんトマト味になっちゃいますよ」

「ていうか、映画館にはこんなものが売っているんですね。初めて知りました」

「いつもテレビで観ていますもんね。今度、行ってみますか?」

「人が多そうなのでちょっと」

「いえ、ポップコーン買いに」

「そっちが主な目的なんですか。もしかして、映画っておまけなんですかね」

「そうですね」

「嘘いうな」

「ぼく、観たい映画がなくてもポップコーンだけ買いに映画館に行きますよ」

「自分で作ればいいじゃないですか。宿のキッチンで作ったみたいに」

「ちっちっち……。いいですか、勇者さん。よーく聞いてください」

「なんかうざいな」

「映画館のポップコーンはポップコーン界で一番おいしいポップコーンなのです」

「耳がおかしくなりそう」

「なぜこんなにもおいしいのか……。バイトで潜入し秘密を探ろうとしましたが、機械が止まらずに大量のポップコーンで映画館を満たしてしまったことでクビになりました」

「なにやってんですか」

「同じものを作ろうとしても再現できず、ぼくは映画館の策略にはまっているのです」

「フライパンみたいな形のポップコーンもおいしいですよ?」

「それは、きみが映画館のポップコーンを知らないからです。一度知ってしまったら最後、もう他のポップコーンでは満足できなくなりますよ……!」

「どんな脅しですか。でも、そこまで言われると食べたくなりますね」

「映画館行きます? ポップコーン食べに」

「そこは映画観ましょうよ」

「勇者さんは上映中に食べてほしくない派じゃないですか」

「観終わってから買えばいいだけです」

「それは映画に失礼ですよう」

「映画観ずにポップコーンだけ買うひとに言われたくないです」

「あ、ちょうど勇者を題材にしたアクション映画が公開中ですよ。アクションなら音も派手ですし、観ながら食べても気になりません。内容だってどうせ魔物を倒すだけですし」

「つまらなさそう」

「棒読みやオーバーリアクションばかりしている三文芝居の映画をおもしろそうに観る勇者さんならなんでも楽しめますよ」

「わかってないですねぇ。ざるな演技が愉快でいいんじゃないですか」

「いま観ているこの映画も雑な演出ばかりで……うわぁ、評価一・二⁉ ひっく!」

「超がつくほどしっちゃかめっちゃかでおもしろいです」

「ぼくにはまだ早い世界のようでした」

「そんなこと言わずに、くだらないなぁと思いながら観ましょうよ」

「変なお誘いですねぇ」

「ポップコーン食べていいですよ」

「おや、よろしいのですか? そういえば、お菓子はよく食べていましたね」

「こんなしょうもない映画、お菓子でも食べないと最後まで観ていられませんから」

「じゃあなんで観るんですかぁ……」

「お菓子を食べながら観られるからです。はい、ポップコーンどうぞ」

「理解不能な内容にぼくの頭は弾けそうです」

「大好きなポップコーンに一歩近づきましたね」

お読みいただきありがとうございました。

パニック系やホラー系は大体叫ぶか泣くかしかしていないのでポップコーンを食べるのにおすすめです。


魔王「最初から最後まで意味のわからない映画でした」

勇者「ポップコーンが進みますね」

魔王「ぼくはいろんな意味でおなかいっぱいですよう……」

勇者「次はポップコーン怪人が世界を征服すべくフライパン片手に侵略してくる映画でも」

魔王「頭がおかしくなりそうだぁ」

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