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258.会話 宝箱の話

本日もこんばんは。

ファンタジーでお馴染みの宝箱を見つけたようです。おふたりの会話を聞いてみましょう。


(びっくり箱の時と似たような会話をしてしまいました。大変申し訳ございません。記憶を消してお読みください)

「ファンタジーといえば宝箱! ということで、魔物が持っている宝箱をゲットし――」

「おら、よこせ。死にたくなければさっさと私に宝箱を渡しなさい」

「魔物を恐喝する勇者さん……。王道ファンタジーが泣いちゃう……」

「全然渡さないので倒してきました。宝箱です。何が入っているのでしょう」

「勇者さん的には何が入っているとうれしいですか?」

「魔王さんの首ですかねぇ」

「これから斬るって言ってます? ねえ?」

「あとは、お金や食べ物とか。お金や食べ物でもうれしいですね。でもやっぱりお金や食べ物が一番だと思います。五百八十歩譲ってお金や食べ物でも許してあげましょう」

「ここまで聞いても要求しているのが二つしかわかりませんでしたよ」

「宝箱いっぱいの金貨はロマンですよね。溢れて蓋が閉まらない感じとか……ふふふ」

「ばっちり鍵がかかっていますね。厳重に施錠されているようです」

「爆破して開けましょう」

「中身も爆散すると思いますよ」

「でも、見た感じ鍵はありませんよ。どうやって開けるんですか」

「所有者なら開けられるはずです。やってもらいましょう」

「所有者……。倒しちゃったので塵と消えましたけど」

「……。ぼくでよければぶっ壊しますよ」

「その前に、箱の中身はなんだろなクイズをしませんか?」

「いつかぼくがやろうと思っていたゲームじゃないですか! ご存じだったんですか?」

「いえ、昨日の夜、魔王さんがぶつぶつ言っているのを聞いたんです」

「中身を当てるという意味では同じですが、ゲームの内容は少し違いますよ」

「そうですか。まあいいです。今は中身を当てることに焦点をあてましょう」

「なんだか乗り気ですね。遊びたい気分なんですか?」

「正解したら今日の夕飯はハンバーグがいいです」

「当てなくても作って差し上げますよ。ではでは、宝箱の中身当てチャレンジ!」

「お金や食べ物ですかね」

「まだ諦めてなかったんですね」

「開けて中身を知るまで可能性はあるといえます」

「たしかにそうですね。ではぼくも。中身は勇者さん!」

「私の生首をご所望か」

「いえ、ロマンという意味で……。宝箱に入っていたらうれしいものってことで……」

「横にいてしゃべっているのに宝箱の中にいると思ったんですか? 頭……」

「働いてます働いてます! 本気で思っているわけじゃないので!」

「それに、幅一メートルくらいの箱ですよ。縮こまっても私は入れません」

「わ、わかってますよう……。すみませんってばぁ……」

「怒ってませんよ。なに言ってんのかなこのひとって思っただけです」

「ぼくとしては、勇者さんに対してそのように思うことが多々ありますよ」

「では、思考する頭を失くしてしまえばいいのです。斬って差し上げますよ」

「すーぐ剣を持とうとするんですから。だめですよ。宝箱から血まみれの頭が出てきたら年齢制限まっしぐらです。ぼくたちは健全でいなくてはいけません」

「宝箱は宝というだけあって、価値のある物を入れないといけないのでしょうか」

「人によって物の価値が違うように、お宝だと思うものならなんでもいいんですよ」

「今日の夕飯のハンバーグ……。うっ、うう……。かなしい……」

「勇者さんは入れなくていいんですよ……?」

「宝箱から熱々のハンバーグが出てきてもうれしくないって言うんですか!」

「怒るところ変!」

「炭水化物もほしいですね。あとスープとサラダ。デザートもつけて」

「すてきですが、宝箱に入っていたら怪しくて食べられませんよ」

「私は食べますが?」

「やめてください。まずは罠だと思ってください」

「まずは相手を信じる。最初から疑ってかかるのは失礼です」

「勇者みたいなこと言っ――勇者でしたね」

「あとはそうですね、極上の布団が入っていたら喜びます」

「ハンバーグと布団はちょっと組み合わせが」

「食べてすぐ眠れますよ」

「食べてすぐは眠らないでほしいのですが」

「文句が多いですねぇ。宝箱もため息をついていますよ」

「それがまじなら魔物ですので倒してくださいね」

「さて、箱の中身はなんだろなクイズですが、回答は出揃いましたか?」

「ぼくの回答は『勇者さん』でしたが、だいじょうぶでしょうか」

「開けるまではわかりませんよ。可能性はあり……ありますよ、きっと」

「優しさを感じました」

「では、魔王さんお願いします」

「お任せください。おりゃあ~。ばきぃ……。開きましたよ~」

「のほほんとした声とは裏腹に、宝箱がえげつない壊れ方をしましたね」

「さて、中身はなんだろな! おーぷん!」

「……からっぽですね」

「……からっぽが入っていましたね!」

「へりくつにも限度ってものがありまして」

お読みいただきありがとうございました。

本物の宝箱って見たことありません。


勇者「見えない何かが入っている可能性もありますよね」

魔王「魔法かなにかで隠されているってことですか?」

勇者「宝箱自体がお宝だった可能性もあります」

魔王「今しがた壊してしまいましたが……」

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