表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/702

256.会話 師匠の話

本日もこんばんは。

師匠キャラはどんな作品でもいい味を出してくれますね。

「よければぼくが勇者さんの師匠に立候補しますよ」

「なんの師匠ですか?」

「そりゃあ、人生の」

「学ぶことはないかと」

「生きた年月でいえばぼくの右に出るものはいませんよ」

「左や上や下や右斜めからはいるかもしれません」

「ああ言えばこう言う選手権を勝つには勇者さんを師匠にするのがいいですね」

「そもそも、師匠ってなんですか。立候補するようなものでしたっけ」

「一般的には芸事を弟子に伝授する人のことです。弟子がいて初めて師匠になります」

「私は弟子になった覚えはありませんよ」

「ぼくにもないです」

「師匠の話、完」

「ま、待ってください。つまり、ぼくは勇者さんに弟子になってほしいのです」

「魔王さんからなにを学ぶんですか」

「そりゃあ、人生の」

「師匠の話、完」

「もう一度チャンスを! では、魔王による勇者のための魔王っぽい振舞い方講座で!」

「なにもかもが間違っている気がします」

「ぼくもそう思います……」

「時に諦めは大事ですよ」

「諦めずに続けたからこそ得られたものもあります!」

「学校の先生になりたいとか言っていましたよね。師匠願望もそこからですか?」

「ぼくのことを師匠と呼び慕ってくれる勇者さんを見たかっただけです」

「ああ、欲望の権化でしたか」

「師匠師匠と後をついて回る勇者さん……。まるでカルガモの親子のようですよ」

「くるくる回りながら隙をついて暗殺できますね」

「子は親を乗り越えて成長するものです」

「よっこらしょっと。そぉい」

「どぅわぁ! あ、危ないですよ突然のしかからないでください」

「欲望が形になった魔王さんにお訊きしたいのですが、欲望を抑える方法はありますか」

「のしかかった状態でお菓子食べるってどういう技術ですか」

「いついかなる時でもなにか食べたくなるんです」

「お好きなだけ食べてください。どいてください」

「師匠というものは弟子に助言なりアドバイスなり提案をするべきだと思います」

「勇者さんには入れ知恵という言葉の方がお似合いかと」

「それが超長寿ロリババアから出る意見ですか。あんまりおもしろくないですね」

「おばあちゃんの知恵袋をなめてはいけません。まさに生活の師匠です」

「金貨で人を黙らせるのも知恵袋のひとつなんですか」

「それはぼくの知恵袋……いえ、金貨袋……いえ、お財布です」

「あくどい師匠ですね」

「勇者さんにはぴったりだと思いますよ」

「財布の紐が緩すぎてもはや抜け落ちているひとから学んだら破産まっしぐらです」

「だいじょうぶですよ。勇者さんは最初から破産みたいなものですから」

「やかましいわ。弟子に慕われたいならもっと尊厳あるひとになってください」

「ぼくの尊厳?」

「はて? って顔しないでください。師匠と呼びたくなるようなひとってことです」

「己に素直なところは誰にも負けませんよ」

「そうですね。構えたカメラが如実に物語っていますから」

「無断で撮らないだけ偉いと思うのです」

「自分で言うな」

「シャッターチャンスを逃さない……。それがぼくの生き方です」

「魔王さんの生き方を学ぶくらいならその辺の猫を撫でた方が有意義です」

「やめてください! 猫ちゃんを引き合いに出されたらぼくに勝ち目はありませんよ!」

「いつもの自信はどこに行ったんですか」

「猫ちゃんの前では……ぼくは師匠になんてなれません……うううう……」

「がんばれがんばれ負けるな。なんで私は応援してんだ?」

「優しさを隠しきれない勇者さん。ぼくはきみに弟子入りしたいです!」

「うわ、まためんどくさい流れになりましたね」

「まずは類稀なスルースキルを伝授していただきたく」

「魔王さんはスルーに対する感受スキルは高いと思いますよ」

「いつも胸がどきどきしますよ。ずきずきの時もありますが……」

「不整脈かもしれません。師匠ではなく先生と呼ばれるひとの力を借りてください」

「このあしらい方もぜひ学びたいです!」

「心停止のお手伝いならお任せください。大剣ならここにあります」

「死傷……」

「つい手が動いて魔王さんの心臓を狙ってしまいます。おっとっとー」

「生活に支障……」

「……ふふっ、さっきからなんなんですか。やめてくださいおもしろいです」

「失笑……。ふふん! 勇者さんの笑顔を引き出す。これがぼくの師匠たる力ですよ」

「奇しくも笑いは芸事の一種なのが悔しいですよ」

お読みいただきありがとうございました。

いつか師匠キャラを出したい所存です。


魔王「師匠って呼びたいし呼ばれたいです」

勇者「好きにしたらいいですよ」

魔王「ちらっ、ちらっ」

勇者「私は呼びませんし呼ばせませんよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ