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244.会話 仲間の話

本日もこんばんは。

毎度お馴染みのおふたりによる仲間の話です。

「勇者さんは、勇者パーティーなるものは作らないんですか?」

「勇者パーティー? ああ、仲間みたいなやつですか。いりません」

「魔王を倒すためには戦力を確保するのがよいと思うのです」

「本人が言うな、本人が」

「仲間との絆や物語、新たな仲間との出会い……。まさに王道じゃないですか?」

「遠回しに私たちの物語を邪道だと言っています? その通りですけど」

「認めるんですね。ぼくは別に、邪道でもいいと思いますよ」

「ていうか、私とのふたり旅がなくなるのが嫌だとかなんとか言っていたひとが、突然勇者パーティーとか言い出してどうしたんですか。なにが目的です」

「も、目的というか……。ぼく以外のひとと関わる勇者さんも見てみたいなぁと思っただけですよ。あらゆる勇者さんをコンプリートしたい……記録したい……」

「平常運転で安心しました。殴っていいですか」

「一発ならいいですよ。って、そうではなくて、勇者さんはなんだかんだ言いながら魔族や人間と関わらなければいけない時がありますよね。そうした時の勇者さんは、いわばレア勇者さんです。ぼくへの態度や対応とは違う勇者さんをたくさん見たいのですよ」

「……いつも通りですよ」

「え~、そうですか~?」

「うわ、腹立つ顔。少なくとも、魔王さんに対してよりかは良い態度のはずです」

「それはどっこいどっこいかと」

「勇者である私が人間を傷つけるわけにはいかないでしょう」

「そのはずなんですが、事あるごとに大剣に手を伸ばすのをぼくは忘れていませんよ」

「あれはあれです、なんだ、えーっと、大剣があるか確認しているんです」

「重さでわかると思いますよ」

「体の一部みたいな物なので、ふとした瞬間にわからなくなるんです」

「明後日の方向を見ながら言わないでください」

「この大剣が私のパーティーメンバーですよ」

「テキトーですねぇ。剣とはおしゃべりできないでしょう」

「おしゃべりできるか否かが判定ポイントなんですか? めちゃくちゃ無口な人にはメンバー権利がないということでよろしいでしょうか」

「ち、違いますよ。無口は個人の自由です。ぼくが言いたいのは、魔族でも人間でも勇者に与する者ならば勇者パーティーといえるってことですよ」

「勇者パーティーに魔族はおかしいでしょう」

「そうでもないですよ。ぼくに反抗する魔族はたくさんいますし、打倒魔王を掲げる者による組織もありますから。勇者さんが思う以上に魔の世界は混沌としていますよ」

「魔王さんが倒されたら自分たちだって消えるってわかっているんでしょうか」

「あれらには人間に比べて生に執着する性質がありませんからねぇ」

「魔王に恨みを持つ人間はたくさんいそうですね。一億人の勇者パーティーとか」

「一億人は魔王城に入りきらないので、おもてなしができませんよ」

「一億人もいたら私はいなくてもよさそうですね」

「勇者さんは大将ですよ?」

「日陰にいたい」

「そう言わずに。勇者パーティーメンバーは過去にいろんな人がいましたよ。魔法使いは比較的多く、聖女を連れてくる人もいましたね。他には魔物特化の兵士さんなど。勇者さんがほしいと思う役割の人はいますか?」

「コックさんとか?」

「コックさん」

「車を所有している運転手とか」

「運転手」

「身の回りの世話をしてくれる人もほしいですね」

「メイドさんでしょうか。ぜんぶ戦闘系じゃないですよ」

「コックさんは火や刃物を扱いますし、運転手は車で攻撃できます。メイドさんはなんでもできるイメージがあるので、戦えるんじゃないですかね」

「生活力の高そうな勇者パーティーですね」

「めちゃくちゃスキルを仕込まれたメイドさんなら一人で足りそうです」

「最後に美少女であることが条件です」

「やかましいわ。ていうか、これだけなんでもできるなら、このメイドさんを勇者にすればいいんじゃないですか。ハッ、名案ですよ、これ。閃いちゃった」

「勇者は世界でひとりですよ?」

「バトンタッチするために私が颯爽と散っていけばいいのです。時代はメイド勇者です」

「だめですよ。勇者さんの時代はまだまだ続きます」

「メイドさんって、空を飛べるでしょうか」

「話の流れがおかしい気がしますが、お答えします。飛べません」

「残念です。ならば、飛行専門の魔物を捕まえてペットにするしかないですね」

「ぼくはまだメイド勇者さんのところで思考が停止していますよ」

「コックもできて運転手もできてメイドもできる魔族っていませんかね」

「探せばいるでしょうけど、魔族でいいんですか?」

「私は人間も魔なるものも差別しない勇者です。平等に滅べばいいと思っています」

「前半はいいこと言っていたんですけどねぇ」

「ある程度働いてもらったら倒します。そうすればいつもメンバーはひとりですよね」

「勇者としては正しいけれど何かが間違っている発言ですね」

お読みいただきありがとうございました。

勇者と魔王が出てくるのに一向に仲間が増えないファンタジー作品はこちらです。


勇者「やっぱりもふもふはほしいですよね」

魔王「そうなると魔物でしょうか」

勇者「お布団……すやぁ……」

魔王「きみはいつでも最先端をいくのですね……」

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