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239.会話 クローバーの話

本日もこんばんは。

このSSを書くためにクローバーについて調べたのですが、ギネス記録に56葉のクローバーがあるそうです。すごいですね。

「わぁっ! お花畑がありますよ! ちょっと寄っていきませんか?」

「いいですよ。昼寝していいですか」

「構いませんが、ゆっくり寝転がってくださいね。今みたいにダイナミック飛び込みではケガをするかもしれませんから。クローバーもびっくりしたでしょうね」

「シロツメクサじゃないんですか」

「クローバーとは、シロツメクサを含む植物の総称。ひとつの分類の名前なんですよ」

「へえ。シロツメクサの花ってうさぎのしっぽみたいでかわいいですよね」

「勇者さんがかわいらしいことを言っている!」

「失礼ですね。私だって思考くらいしますよ。……なに笑ってんですか」

「い、いえいえ、勇者さんがうさぎさんのしっぽって言うから、お花畑全体が、うさぎさんがお尻を向けているように見えてきて……うふふ、か、かわいいなぁと思ったんです」

「……それはたしかにかわいいですね」

「ふわふわきゅーとなしっぽでできたお花畑だったら毎日来たいですねぇ」

「そうですね。……さっきから何をしているんですか?」

「先に言っておきますよ、うさぎさんのしっぽ畑に顔を突っ込んでいるのではありません。四つ葉のクローバーを探しているのです」

「四つ葉のクローバー? シロツメクサは三つ葉ですよ」

「ごく稀に四つ葉になっているものがあるんですよ。滅多に見つけられないので、縁起の良いものと考えられているのです。花言葉も『幸運』で、すてきでしょう?」

「穏やかに語っていますが、葉に顔を近づけて探している様子はかなり変です」

「全然見つからない……悲しい……」

「そんな必死に探さなくてもいいんじゃないですか」

「いえ、探します。見つけて勇者さんにプレゼントするのです」

「……なぜです?」

「だって『幸運』ですよ? 勇者さんにいい事がありますようにと願いを込めるのです」

「つまり、四つ葉のクローバーが見つかったら魔王さんが死ぬということですか」

「つまり、の前を教えていただいてもよろしいでしょうか」

「勇者にとっていい事があるイコール魔王が死ぬ」

「なるほど。それは却下で」

「でも、全然見つかる気配がないので死ななそうですね」

「ぐぬう……。なんとしても見つけますよ。命を懸けて!」

「平和な花畑で壮絶な戦いを繰り広げないでください。魔王さんの鬼気迫る勢いのせいで眠気がどっか行っちゃいました」

「あ、ご、ごめんなさい。……おや、何をしているのですか?」

「暇なので花冠でも作ろうかと思いまして」

「相変わらず器用ですねぇ。ぼくは一度も完成したことがありませんよ」

「教えましょうか?」

「勇者さんが優しい……! これが四つ葉のクローバーぱぅわぁー!」

「まだ見つかっていないでしょうよ」

「四つ葉のクローバーを見つけたら教えていただきたく思います。待っていてくださいね、絶対に見つけますよ!」

「……。三つ葉じゃだめなんですか?」

「四つ葉の意味が大切なのです。幸運というのも大事ですが、なにより花言葉が……」

「魔王さんって花言葉好きですよね」

「ただお花を贈るだけじゃなく、込められた言葉も一緒に贈っている気持ちになるんです。まあ、ぼくの自己満足なんですけどね、えへへ」

「花を見ても花言葉なんか考えたことありませんでした。でも、知っていれば楽しみが増えそうだと思いますよ。三つ葉のクローバーの花言葉は何というのですか?」

「たしか、『愛』や『信頼』、『希望』……だったでしょうか」

「三つ葉も悪くないですね」

「ですがぼくは四つ葉を探しますよ。絶対に見つけるのです!」

「三つ葉に一枚葉をつけたら四つ葉ですが、それだと意味がないのでしょうね」

「ぐぬぬ……。四つ葉ぁぁぁぁ……。どこですかぁぁぁぁぁ……」

「チラッと見ても三つ葉ばかり。これは見つけるのが大変そうですが……あ、これ……」

「見つかりません~……。四つ葉のクローバーぁ~……。えええ~ん……」

「魔王さん、魔王さん」

「なんですかぁ~……。ほあ?」

「それ、差し上げます」

「シロツメクサの花冠……。いただいていいんですか?」

「作って満足しました。それ被ったまま四つ葉を探してくださいね」

「うれしいです! なんだか見つかる気がしてきました!」

「……そうですね」

「うむむむむ……。うぬぬぬぬ……。ふむむむむ……。……あっ!」

「どうしました?」

「あ、ありました。ありましたよー! 四つ葉のクローバーです!」

「よかったですね」

「どうぞ、勇者さん!」

「ありがとうございます」

「はぁ~……、見つかってよかったです。勇者さんの花冠のおかげでしょうか?」

「四つ葉のクローバーの力ですよ、きっと」

お読みいただきありがとうございました。

56葉のクローバーが気になって内容が頭に入らなかった人はいると思います。


魔王「これで勇者さんにいい事がありますよ!」

勇者「どんなことでしょうね」

魔王「うーん……。今日の夕飯はハンバーグとか?」

勇者「それはいい事です」

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