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213.会話 ペガサスの話

本日もこんばんは。

ファンタジーではお馴染みのペガサスについてのおしゃべりです。例のごとくご本人――ご本馬は登場しません。

「魔王さん、ペガサスって実在するんですか?」

「読書をしていたと思ったら、また急に不思議なことをおっしゃるのですねぇ」

「文字の勉強に読んでいた本に出てきたんです。羽が生えた馬なんですって」

「いわゆる幻獣と呼ばれる生き物の一種ですね。この世界にも存在しますよ」

「へえ……。会ってみたいです」

「珍しいですね。勇者さんが純粋に興味を示すなんて」

「羽の生えた馬なんて見たことありませんし。羽って鳥についているものでしょう? 馬に生えるものなんですね」

「そういう生き物ですからねぇ」

「気になるなぁ……。すごく気になる……」

「勇者さんがそこまで気になるなんて、ぼくはちょっとわくわくしていますよ。よかったら、ペガサスを見に――」

「鶏肉の味なのか、馬肉の味なのか、気になるなぁ……」

「アッ、ソッチデスカ」

「他になにがあるんですか」

「いや、見た目とか、大きさとか、そういう……。そうですか、味ですか……」

「だって気になりませんか? 馬なのに鳥のような羽がついているんですよ。一体その体はどんな味がするのか……。鳥と馬を混ぜたような味がしてもおもしろうそうですね」

「食べることしか考えていない勇者さん、通常運転でいいと思います」

「失礼ですね。ちゃんと他のことも考えていますよ」

「たとえば?」

「なぜ馬に羽が生えているのだろうか、とか」

「ほう。なぜだと思います?」

「馬じゃないんでしょうね」

「ほあ?」

「馬に見せかけて、本体は羽の方なんですよ。ひっぺ剥がしたら正体を現すのです」

「羽の生えた馬ではなく、馬に生えた羽ってことですか。頭がこんがらがらら……」

「馬は地面を走る生き物ですよね。鳥のように飛びたいと思ったから羽が生えたのかもしれません。ええ、そうです、ロマンチック路線です」

「ぼくが言う前に別路線も出してきましたね。たしかに、ぼくはそっちの方が好きです」

「結局のところ、ペガサスって走るのでしょうか、飛ぶのでしょうか」

「両方じゃないですか?」

「羽を広げて走る姿はかっこいいですけど邪魔な気がします」

「身も蓋もない感想ですね」

「とはいえ、羽を閉じていたら『じゃあ羽いらなくね?』ってなりますよね」

「外見の芸術性の高さですよ。美しいじゃないですか」

「百匹くらい群がって走っていたら、めちゃくちゃ羽が邪魔だと思いません?」

「ペガサス百匹の絵はあんまり見たくないですね」

「羽、羽がちょっと、羽邪魔、おい羽どかせってなりますよね」

「ペガサスに対して言いたくはないですねぇ」

「こういうのは一匹だからこそ成り立つのかもしれません」

「直前までペガサスの味について考えていた人の発言とは思えませんね」

「本には、白く大きな美しい羽と書いてあります。想像したら幻想的です」

「先ほども言ったように、ペガサスは幻獣ですからね」

「では、幻想的な羽を一旦回収し、すずめの羽をつけてみましょう」

「比率が」

「かわいらしいじゃないですか」

「幻具合が一気になくなりましたね」

「メジロはどうでしょう」

「どうあがいても比率が」

「仕方ないですねぇ。鷹を許してあげます」

「うっ、かっこいいかもしれません」

「ペガサスは白馬だとされているようですね。だから羽も白だと思われている」

「ぼくが知っているペガサスも白色でしたね」

「では、黒馬なら羽も黒いのでしょうか。たとえば、カラスの羽のような」

「勇者さんに乗っていただきたいくらいかっこいいです!」

「シマウマなら、片翼が白、もう片方が黒……」

「シマウマには悪いですが、今はお帰り願いたいです」

「ポニーに羽がついていたらかわいいですよね。ミニサイズの羽がちょこんと」

「わあ、かわいいですね! ぼく、その子に乗りたいです」

「魔王の威厳がありませんが、よろしいでしょうか」

「よろしいです。かわいいは正義なので」

「さて、ここまでペガサスについて語ってきましたが、やはり馬は馬らしくあるべきですよね」

「そうですか? 羽のある馬もかっこいい、かわいいでいいと思いますよ?」

「現実的に考えてください。もしペガサスを連れて旅をするとしたら」

「見た目も幻想的レベルが高くてよいかと」

「羽が邪魔で部屋に入らないでしょう」

「そんな勇者さんに朗報です。角の生えた馬もいますよ。ユニコーンといいます」

「目潰しに特化した馬ですか? やめてください、気になるじゃないですか」

「おっ、気になります? かっこいいですよ。会いに行き――」

「角がついているだけなら味は馬肉かな」

「やっぱりそっち……」

お読みいただきありがとうございました。

気になりますね、味。


勇者「とはいえ、馬には乗ったことがないので現実的ではありません」

魔王「練習すれば乗れるようになりますよ。乗馬体験してみますか?」

勇者「今日はこちらのお馬さんに乗ってみましょう~ってペガサスが出てきたらおもしろいですね」

魔王「さすがに二度見しますよ」

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