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202/702

202.会話 テレビの話

本日もこんばんは。

テレビから出てくる時、結構大変そうだなぁと思っているあのひとの話です。

「テレビから出てくるおばけがいるとかなんとか」

「一世を風靡したかの有名なお方ですね。今でも現役だそうですよ」

「なんでテレビなんでしょうか」

「疑問に思うところ、そこでいいんですか」

「だって、気になりませんか? なんでテレビから出てこようと思ったのか」

「各家庭に一台くらいはある電化製品という普及率の高さではないでしょうか」

「それなら冷蔵庫だっていいでしょう」

「それはほら、寒いんですよ。万が一、冷凍庫経由だったら大変なことになりますし」

「テレビからのっそり出てくるより、寒いって叫びながら頭にキャベツ乗っけている方がこわくないですか?」

「一周回っておちゃめですね」

「洗濯機でもいいと思います」

「止まっている時ならいいですけど、洗濯中に入ってしまったら大惨事ですよ」

「洗い終わった洗濯物に絡まってぼとりと落ちてきたらこわくないですか?」

「迷わず救急車を呼ぶと思います」

「オーブンも一台くらいはありますよね」

「熱いのは言わずもがな、オーブンだと這い出るには小さいと思いますよ」

「つまり、消去法でテレビだったんですね」

「違うと思いますけど……。あの、なぜテレビにストッキングを被せているんですか」

「テレビから出てくるおばけによる顔面ストッキングチャレンジを」

「やめて差し上げてください」

「今日の宿のテレビが小さいので、これはチャンスだと思いました」

「何チャンスなんでしょうね」

「ラジオからホラーっぽい音楽も流れています。演出は完璧です」

「番組が切り替わってポップな音楽になりましたよ。完全にお笑い番組ですね」

「おばけさん、いつでもいいですよ」

「絶対出てこないと思いますよ」

「これが最新の幽霊撃退方法です」

「ストッキングを引っ張りながら言わないでください。伸びちゃいますよ」

「壁に設置されているタイプだったら、その下に熱湯風呂を用意します」

「どう頑張ってもお笑い路線になるんですね」

「足つぼマッサージのマットを広げておくのもいいですね」

「血流悪そうな顔色でしたもんね」

「移動できるテレビだったら、部屋の一番高いところに置いておきます」

「木に登ったはいいものの、こわくて降りられなくなった猫ちゃんみたいになりますね」

「高所で震えていればいいのです。ざまぁ」

「テレビの大きさで思いましたけど、オーブンくらいの小さいものだったらどうやって出てくるんでしょうか」

「関節外しながら?」

「諦めて帰ればいいのに……」

「めちゃくちゃ大きいテレビだったら、感謝の気持ちをこめてお土産を持参するくらいはしてほしいですよね」

「呪いに来ているのに?」

「大画面のテレビがいくらすると思ってんですか。礼儀は大切ですよ」

「お宿のテレビにストッキングを履かせるのは礼儀に反していると思いますが」

「そもそも、呪いに来るのが悪い」

「ご自分の行動から目を逸らした」

「もし私がテレビ伝いにどこにでも行けるとしたら、各家庭の夕飯の品を一品ずつ奪ってテレビの中で食べます」

「地味な嫌がらせですね」

「あと、テレビのチャンネルを操作して筋肉しか映らないようにします」

「うわぁ」

「最後に、魔王さんの赤裸々人生を読み上げます」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼ やめてください‼」

「さて、一通り魔王さんとテレビをいじったので、電源オフ」

「あれ、テレビ消しちゃうんですか?」

「例の幽霊は、電源の入っているテレビ画面からご登場していました。それなら、電源を切ってしまえば出てこられないはずです」

「な、なるほど……?」

「出てこられない幽霊など、檻の中のライオンと同じです。脅威になりえない」

「ぼくとしては、ライオンの方が現実的でこわいです」

「今日は映画を観る気分でもありませんし、さっさと寝ることにしますよ」

「ぼくは動物番組が観たい――ひぇ、な、なんですか、こわい顔して」

「寝るのでテレビつけないでください」

「いつも映画かけっぱなしでお昼寝するのに……?」

「むっ」

「あら、かわいいお顔――ぴぇぇぇ! わかりました! わかりましたから剣をしまってください!」

「……それでは、寝ますので」

「はい、おやすみなさい、勇者さん」

「……って、ちょっと魔王さん。つけるなって言ったそばからテレビつけるなんてひどいですよ!」

「えっ、ぼくはなにもしていませんよ?」

「だってテレビに砂嵐が」

「勇者さんに言われたので、リモコンはほら、テーブルの上に置きましたよ」

「……じゃあ、なんでテレビがついたんですか」

「……なんででしょうね」

「…………」

「…………」

「……熱湯風呂、用意してもいいですか」

「……ぼくもお手伝いしますよ」

お読みいただきありがとうございました。

おばけが苦手なくせにホラー映画は観るタイプの勇者さん。


勇者「そもそも、物理攻撃が効くのでしょうか」

魔王「霊体だと効かないかもですねぇ」

勇者「精神攻撃にしましょうか。生前の黒歴史を語るとか」

魔王「たぶん、それが一番効くと思いますよ」

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