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136.会話 テンションの話

本日もこんばんは。

夜に読んでいる方にとって、魔王さんはかなりやかましいキャラではないかと不安です。眠りを妨げる恐れがありますのでお気を付けください。

朝は朝でやかましいと思います。

「さぁて本日はどんなお話をしましょうか! なにを食べましょうか! どこへ行きましょうか! なにしましょうかー!」

「やかましいテンションですね。まだ午前中ですよ。ふわ~ぁ、ねむ……」

「まるでぼくのテンションがおかしいとおっしゃっていますが、勇者さんのテンションが低すぎるからこう見えているだけですよ」

「んなわけ」

「午前中だからってなんですか! 一日を元気に楽しく目一杯過ごすためには明るく健やかにいなくてはいけませんよ」

「いらない……そういうのいらない……求めてない……」

「すぐそういうこと言う」

「『!』がつくようなしゃべり方しないでください。なぜだかこちらが疲れるんです」

「元気な証拠です」

「これは五十六不思議のひとつなんですけど」

「八倍になってますよ。やけに多いですね」

「はちゃめちゃにテンションの高いパリピ系がそばにいると、何もしていなくても体力気力精神力が吸われていく現象がありまして」

「不思議なことがあるんですねぇ」

「悪気はないんでしょうけど、力が失われるので厳しいものがあります」

「一緒にテンションを上げれば解決です」

「それができたら苦労しないし、やりたくもないです」

「そんなぁ。ああ……勇者さんの体から力が失われていって……道端で寝るなー!」

「ちょっとだけちょっとだけ……。まだねむい……」

「せっかくいい天気なんですから、のんびり旅をしましょうよう」

「魔王さんのテンションがもう少しでも低くなればいいんですけど」

「下げ方知りません。そもそも、ぼくはテンションが高いんじゃなくて元気なだけです」

「根本から相容れない……。やはり勇者と魔王。敵対する運命でしかないのですね……」

「それっぽいこと言ってますけどね、目を閉じて寝る気満々ですよね」

「私が起きる頃には落ち着いていると信じます」

「ひとりでテンション高かったら、ただのアブナイひとでは……」

「自覚あるんですね。今日から落ち着きのあるおとなになってください」

「ぼくが言っていいかどうかわかりませんが、この見た目で落ち着いていたらそれこそ聖女感マックスですよ」

「やかましいよりマシです」

「言っておきますけどね、やかましいとテンション高いは別物ですからね」

「私からしたら似たようなもんです」

「全然違いますよう……。とはいえ、勇者さんと一緒にいられるとうれしくてテンションが上がってしまうので、どうしようもありません」

「めんどうな性質ですね。ハッ、私もパリピになればいいのか」

「どういう思考ですか? テンションアゲアゲ勇者さんはキャラ崩壊が心配です」

「この私がパリピになったら世界は激震すると思うんです」

「そんな天変地異みたいに……」

「世界中で異常気象が多発し、隕石が降り注ぎ、火山が噴火し、色々とぶっ壊れまくって氷河期が到来します」

「スケールの大きい……」

「人間は滅亡し、世界は氷に覆われ、パリピは力を失って鎮まるのです」

「もしかして、ぼくの知っているパリピとは違う存在の話をしていましたかね?」

「古代兵器パ・リピですよ。魔王なのに知らないんですか?」

「えっ、あっ、そう……はい、古代兵器ですか。古代兵器ね……」

「探したらどっかにありそうですよね。冒険ファンタジー開幕です」

「眠そうに寝っ転がりながら、実はテンション上がってしゃべってました?」

「ただ意味のない言葉を口走って大音量で音楽を流し踊るだけがテンション高いというわけではありません」

「一部偏見が見受けられるのですが……」

「実物のパ・リピは見たことありませんからね」

「古代兵器の方になっていますよ」

「おっと」

「……ですが、たしかにそうですね。青空の下、勇者さんの手を引いて駆けるだけがテンション高い情景ではありません。こうしてお傍にいる時も、ぼくの心は穏やかなままうれしくてたまりません」

「この世界に古代兵器ってあるのかな……。なんでもありそうだけどなぁ……」

「あの、聞いてます? ぼく、ちょっとイイ感じのこと言ったと思うんですけど……」

「対魔王用の激やば古代兵器とかないかなぁ。スイッチ押しただけで魔王城粉砕できるくらいの……。装備系だとめんどうだし……」

「あ、あのー……?」

「勇者を生贄にして発動する古代兵器だったら、使命と願望を同時に果たせて一石二鳥……。え~……、めちゃくちゃハッピーエンドじゃん…………」

「そんなハッピーエンドは認めませんよ。楽しそうに想像しているようですけど、そんな古代兵器、ぼくが壊しちゃいますからね。あの、……勇者さん?」

「…………すぅ……すぅ……」

「寝てるーー⁉」

お読みいただきありがとうございました。

古代兵器パ・リピに違和感を覚えなかった方はいますぐ寝た方がいいです。

本日もおやすみなさい。


勇者「魔王さんを見ていると疲労が……」

魔王「ぼ、ぼくが悪いんですか?」

勇者「これも全部、古代兵器のせいです」

魔王「パリピをなんだと思っているんですか……。あとぼく、パリピじゃない!」

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