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134.会話 魔法属性の話その➁・派生

本日もこんばんは。

この世界がファンタジーであることを定期的に発信していきたい所存です。

「勇者さんって魔法を使う時、よく使う技ってなんですか?」

「用途が多く便利な茨を使いますね。こうして魔王さんをぐるぐる巻きにして動きを止め、刺さった毒の棘でダメージを加えます」

「非常におどろおどろしく強い魔法ですね。そう、勇者さんの魔法は闇属性ではあるものの主な魔法は派生により生じたものなのです。知っていましたか? あと、ちょっとトゲトゲして痛いので外してもらっても?」

「知らないですね。気にせず使っていました。もしかして私、天才なのでしょうか。あと、外しません。そのまま死んでもらって」

「天才な勇者さんは勇者なのに知らないことが多いですね。茨を強めないでください~」

「あまり魔法を使わない私にはいらない知識かと」

「いずれ必要になる時がくるかもしれませんからね。魔王と戦う時とか」

「さらに興味が失せました」

「そういわずに。魔法属性の派生というものは、主要属性である火、水、風、光、闇から生まれるものです。魔法を扱うものはすべて、五つの属性のどれかに属し、そこから己が得意とする魔法を派生させて使っているんですねぇ~」

「ですねぇ~じゃないですよ。めんどうなので五つだけでいいです」

「そうは言っても、勇者さんが得意とする茨の魔法は派生魔法ですよ? 分類から出ちゃいます」

「派生勇者として生きていきます」

「魔法自体は個々人で創れるものなので、派生は魔法を使うひとの数ほどあると言ってもいいでしょう」

「うわ、めんどくさい。つまり、それだけ対応の数も増えるってことですよね。あー、めんどくさい。五つでも多いのに」

「勇者さんの茨魔法はかなりずるい魔法だと思いますけどね……」

「うるせえんですよ。ずるいって言うなら魔王さんもその他のみなさんも使えばいいでしょう」

「はい、それなんですけど!」

「うわ、なんですか急に。茨にからめとられたままのテンションとは思えません」

「すべての魔法を使うものたち――ここでは便宜上“魔法使い”と呼びます――は、五つの主要属性の性質は持っているものの、ほぼすべてが派生魔法を使っています。派生魔法とは、使用者を体現したもの……。同じ魔法のように見えても実は違う。勇者さんの茨魔法を使えるひとは勇者さんだけなのです」

「へえ」

「もうちょっと興味を持って」

「つまり、魔王さんは私とまったく同じ魔法は使えないと」

「そのとーりです。よくできました!」

「でも、似たような魔法は創れるんじゃないですか?」

「まあ、ぼくはそのへん自由っちゃ自由……こほん。ぼくを主体に話を進めると意味わかんなくなるので魔法使いに戻しますね。勇者さん、茨魔法ではなく檻魔法使えます?」

「なんですか、それ。無理です」

「でしょう? 似ているようで違うんです」

「茨と檻って似てますか?」

「“拘束”、“束縛”という性質を持っている点が類似しているんですよ。似ているとは見た目に限らず、内側にも当てはまるものなのです」

「なるほど」

「派生してできた魔法はそのひとだけのオリジナルとも言えます。これを固有魔法と呼びます」

「ていうか、檻魔法って何属性ですか。もはやなんでもアリみたいですよ」

「たしか、闇属性だったかと。とはいえ、風属性の檻魔法もありますからね。世界は多種多様なのですよ~」

「そこまでいくと考えるだけムダなような気がしますね。……あれ?」

「どうしました?」

「魔法は創れる……らしいですが、私は創った覚えはありませんよ」

「固有魔法の根幹は使用者の意識や心によるものですからね。意図的に創るとしたら、それは大枠が完成したあとの固有魔法の詳細部分にあたります」

「へえ……」

「ちょっと興味持ちました? 持ちました?」

「やかましい。でも、それも変ですね。私は魔法を創ろうと思ったことすらありません」

「いつも脳内でイメージして使っている、でしょう? 想像や経験から思考が判断し、使用者の心に基づいて魔法は具現化されているのです。これも創造のひとつですよ」

「ふうん。それで、この話を私にした意図はなんですか」

「勇者さんに派生魔法を説明したら、よりかっこいい茨魔法を創ってくれるのではないかと期待しました。魔法と剣術を合わせて戦う勇者さん、見たいです!」

「はあ……」

「急に興味が消える音が聴こえました。悲しい」

「てっきり『教えて! 勇者さん』のコーナーを乗っ取るのかと思いました」

「覚えてたんですね、それ」

「突然、魔法とか派生とか言い出したらなにか裏があると思うでしょう。あぁ、後付け設定なんだな、とか」

「そういうのは思っても言わないんですよ」

お読みいただきありがとうございました。

勇者さんの言葉を真に受けてはいけません。


勇者「はせー……こゆーまほー……まほーのせーしつ……」

魔王「な、なんですか? 眠いんですか?」

勇者「短い会話で説明するのは無理あります」

魔王「ま、また今度お話しますよ」

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