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106.会話 闇鍋の話

本日もこんばんは。

性懲りもなく食べ物の話をしますが、闇鍋なのでセーフです。

(気分だけ)部屋を真っ暗にしてお読みください。

「うっひっひっひっひ~勇者さ~ん勇者さ~ん夕飯のお時間がやって参りましたぁ!」

「過去イチ気味の悪い笑い方ですね。どうしたんですか。かなり気持ち悪いですよ」

「今日も勇者さんの本心毒舌アタックは切れ味抜群ですが、こちらをご覧ください」

「ご覧くださいと言われましても、部屋が真っ暗で何も見えないのですが」

「暗闇でこそ本領を発揮する伝説の鍋。そう、闇鍋のお時間です!」

「スイッチこれですよね。えい」

「あああああ電気つけちゃだめですよ。闇鍋は闇の中で行う闇をぶち込んだ闇の食事。光はあってはならないのです」

「あ、消された。なんでもいいですけど、鍋ってことですよね。食べていいですか?」

「もちろんです。ささ、たーんと召し上がれ」

「暗くて顔が見えない分、想像してさらに気持ち悪さが増しますね」

「勇者さんのお顔も見えませんが、きっと真顔で言っているんでしょうね。心が痛い」

「今日は何鍋ですか。肉は多めがいいです――ん? なんだろうこれ。なんの食感だ?」

「どうしましたどうしました~?」

「一段とうざいな……。鍋で味わったことのない食感があって。これは、餅でしょうか」

「おそらく正解です。入れました、お餅!」

「私が知らないだけかもしれませんが、鍋に餅って入れるものなんですか?」

「ふつうは入れません。しかし、今日は闇鍋ですかね。えっへん! うへへへ!」

「その笑い方、熱々の餅をぶん投げたいくらいには気持ち悪いのでやめてください。そして、さっきから言っている闇鍋ってなんですか? 闇堕ちした鍋ですか?」

「似たようなもんですね」

「すぐバレる嘘はやめてください」

「闇鍋というものは、部屋を暗くして行うお鍋のイベントですよ。ふつうの鍋では物足りない人々に送る暗黒の儀式……。ルールは簡単。入れていいのは食べられるものだけ。一度箸をつけたものは必ず食べること。どうです? 楽しそうでしょう?」

「それ、ふつうに鍋をするのと何が違うんで――」

「テンション上げて、張り切って参りましょう~! 勇者さん、どんどん食べてくださいね。ぼくはどんどん具材を入れていきますので~」

「魔王さんは食べないんですか?」

「何を入れるか知っているので、楽しさが半減しちゃうかと思いまして」

「なるほど。では、今日の夕飯抜きってことですね」

「あ、いえ、それはお腹すいちゃいますので……。あとで明るくして食べます」

「……わかりました。ちょっと待っていてください」

「キッチンですか? 明るくしましょうか?」

「だいじょうぶです……って、よくわかりましたね。暗いのに」

「そりゃ、気配で」

「……そうですか。よっこらせっと」

「何を持ってきたんです? あっ、鍋に大量投入した音が……」

「どうぞ。お望みの闇鍋ですよ」

「お、おお……。ありがとうと言いたいところですが、恐怖が勝っています……」

「安心してください。ルール通りに『食べられるもの』しか持ってきていませんから」

「勇者さんのセーフゾーンは常人のそれと違いますからね」

「魔王さんは死なないんですからいいでしょう。ほれ、お食べなされ」

「誰……。で、では、いただきますね。……む? むむ? これは……焼き鳥?」

「昼ごはんの残り物です。おいしいでしょう」

「あの……、串のままは危ないですよう……」

「なに言ってんですか。串ごと食べてください」

「勇者さんがなに言ってるんですか⁉」

「一度箸をつけたものは食べるルールでしょう」

「く、串は無理ですよう。喉に刺さります」

「茹でたらいけるんじゃないですか?」

「串をなんだと思ってるんです? おや、これは……ぼくが入れた肉団子ですね」

「ほんとに?」

「え、なんですかその問い……。あれ? 肉団子の味じゃない? こ、これは⁉」

「…………くすくす」

「おっきなチョコレートぉぉぉ⁉ あわわ口の中がカオス! 頭が混乱してきましたよ」

「たまたま見つけたので入れてみました」

「ちょっと待ってください? まさか、溶けだしたチョコレートがお鍋の中に?」

「チョコレート鍋になるのも時間の問題ですね。袋ぜんぶ入れましたから」

「一つじゃないんですか⁉ 勇者さん~~……。なにを考えているんですかぁ……」

「すみません。何も考えていません」

「でしょうね……。あ、これはマシュマロでしょうか。味が染み込んで割とおいしい」

「魔王さんの入れた具材は面白みがないですね。ステーキ入ってて笑う」

「じっくり焼いた肉塊をぶち込みました。当たり枠ですよ。びっくりしました?」

「おいしいです。ちょっと甘い味がしますけど」

「それは勇者さんのせいですからね。ん? これはお野菜でしょうか?」

「苦味のある?」

「苦味のある」

「ああ、私が入れた毒草です。おめでとうございます。大当たりですよ」

「勇者さんが食べたらどうするんですか! 闇鍋中止ーー‼」

お読みいただきありがとうございました。

闇鍋、やったことないので偏見と想像と妄想と検索によって書きました。ご了承ください。


勇者「今度、光鍋をやりましょうよ」

魔王「初めて聞きました。どうやるんですか?」

勇者「部屋を明るくして食べられないものだけを入れる簡易地獄生成儀式です」

魔王「死者が出ますよ」

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