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103.会話 記憶力の話

本日もこんばんは。

基本的にノリと勢いで書いている天目は、これまでの話を覚えていません。壊滅的記憶力を持つ作者による記憶力の話、どうぞお楽しみください。

「あれぇ……。おかしいですねぇ、どこに仕舞ったんでしたっけ……。うむむ~」

「ポシェットをひっくり返して何をしているんです。探しものですか」

「そうですそうです。最近忘れっぽいので、ぼく」

「それマジだったんですか。ネタじゃなくて?」

「これだけ長く生きていれば、忘れっぽくもなりますよ~。勇者さんは記憶力いいですよね。間違えられた回数を覚えていましたし」

「あれこそネタですよ」

「そんな……。ぼくは信じていたのに」

「逐一記録するか、神様から記憶力ギフトでももらわない限り普通は一万回も覚えているわけないでしょう。私は三回目以降覚えないことにしているんです」

「それは少なすぎるような……。勇者さんはあんまり記録にこだわりませんよね」

「覚えておきたいこともありませんからね」

「今日のご飯を食べたかどうかは大事ですよ」

「あれ、食べましたっけ? 今からでしたっけ?」

「さっき食べたでしょう。忘れたフリで一日四食にするおつもりですか」

「まだ余裕で食べられます。仕方ないのでお菓子でもつまみますよ」

「そうしてください。ぼくはいろんなことを覚えておきたいと思いますよ。ひとつひとつを丁寧に記録しておきたいです」

「あー、日記つけてるんでしたっけ。よくもまあ、毎日毎日飽きませんね」

「書く行為も読み返す行為も楽しいので。それに、一ページごとにその日の勇者さんに会える気がして、とってもうれしいのですよ」

「ご自分の記憶力を信用できないゆえの行動じゃないんですね。好感度上げようとしなくていいですよ」

「ち、違いますよう! たしかにぼくの記憶力には不安が残りますが、勇者さんと出会って旅してきたこれまでのことはしっかり覚えています」

「ふうん」

「信じていない目! 興味なさそうな顔! ずっと肩肘ついておせんべい食べてる!」

「おいしいですよ。食べます?」

「あ、一枚いただきます。記憶力といえば、バキッ、ちゃんと文字のお勉強は、バリッ、していますか? 毎日やらないと、バリバリ、だめですからね、もぐもぐ」

「せんべいの音がやかましいですね。まあ、たまにやったりやらなかったりしてますよ」

「どっちですか。識字能力は世界を広げますからね。はやくお手紙交換もしたいですし、勇者さんの好きな本も知りたいです。勇者さんの書く字も気になりますね」

「すごくどうでもいい」

「そう言わずに。もしもの時、なにかとっても大事な忘れたくないことを残しておきたい時はどうするんですか」

「ふつーに覚えておけばいいじゃないですか」

「記憶を甘く見ちゃいけませんよ! 覚えておきたくても忘れることだってあるんです。記憶というものはひどく儚く脆いものなのですから」

「ええ、なに突然……。魔王さんの記憶力、そんなにカスなんですか」

「ぼくの記憶力に限った話ではありませんよ。以前も言いましたが、ひとは声から忘れると――」

「でも、声って文字にできませんよね」

「…………」

「おい、その手に持っている物はなんです。ボイスレコーダーですか? こっち見ろ?」

「文字にできない記憶もあります」

「声から忘れていくなら、もはや記憶力云々の話ではないです。諦めた方がいいですよ」

「ぼく……魔王なら完全記憶能力とかあってもいいのに……魔王なのに……ぐすん」

「めちゃ愉快」

「死んだ目でおせんべい片手に言われると、より心臓にダメージきますね」

「探しものの度にポシェットをひっくり返されては困ります。ご自分のものに付箋でもつけておけばいいんじゃないですか」

「うう……そうします」

「……おいこら、なんで私にもつけてんですか。無礼ですね。殺しましょうか?」

「ふ、付箋は付箋ですけど、何を書いたか見てからでもいいと思います。無礼なことは書いていません!」

「人様に付箋をつけることがまず無礼なんですよ。なんて書いたんですか。教えやがれ」

「文字のお勉強をしていれば読めますよ」

「ちっ……。そういえば、一体なにを探していたんですか。はやく見つけて片づけないと散らばっているもの捨てますよ」

「ちょっ、ちょっと待ってください。あ、どさくさに紛れてぼくの日記を捨てようとしないでくださいよ! 大事なものー‼ ぼくの宝物ー‼」

「めんどうですね。私も手伝って差し上げなくもないのでなにを探しているのか教えてください。あっ、変なの踏んじゃった」

「き、気をつけてくださいね? えーっと、ぼくが探していたものはですね……」

「どうしました。明後日の方向を向いて」

「えーっと…………あれ?」

「ネタならいらないですよ」

「え、いや、あの、えっと、あれれ……」

「これだからロリババアは……」

お読みいただきありがとうございました。

あとがきを書いている時点で私はSSの内容を忘れています。病院行った方がいいかもしれません。


勇者「結局、なにを探していたのやら」

魔王「忘却は生きていくうえで重要な力のひとつですよ」

勇者「不老不死が言うと説得力ないですよ」

魔王「不老不死だからこそ必要なんですよ。……てへ」

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