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100.会話 タイトルにするほど『ぽく』ない話

本日もこんばんは。

100話です。うれしいです。ほとんどSSですがうれしいです。ここまで読んでくださってありがとうございます。

今日は初心に立ち返りタイトルについて考えてみました。テキトーにつけたのでいま困っています。

「私は世界の秘密に気が付いてしまったかもしれません」

「エッ⁉ な、なんですか急に……。どっ、どっどどどうしたんですか急に……」

「魔王さんの焦り方の方がどうしたんですかですけど。あのですね、私たちたまにお互いのことを『魔王っぽい』とか『勇者っぽい』とか言うでしょう。でも、実はそんなにぽくない気がしてきまして」

「自信を失くしたんです? だからそんな目も当てられない悲惨な体たらくなんですか」

「いえ、これは単純にぐーたらしているだけです」

「いつも通りですね。にしても、ぽくないですか。ですが、そもそも勇者さんが魔王っぽいのがおかしな話なので、むしろいいことなのではないでしょうか」

「魔王っぽくない勇者ですか。では、勇者っぽいですか?」

「いやぁ……あはは」

「勇者っぽくもなく、魔王っぽくもないなら、一体私はなにっぽいのでしょう」

「哲学の話してます? 勇者さんは勇者さんですよ」

「魔王さんは魔王っぽくないですよね」

「そうでしょうか? 自分のことはよくわかりません」

「もっと魔王っぽいところが見たいです。でないと、こちらのやる気も出ません」

「え、ええ……。魔王っぽいことってなんでしょう?」

「その辺の街を潰したり?」

「いけません! そんなひどいこと」

「親の目の前でこどもを天に召したり?」

「人の心がないんですか! ぼく人じゃないけど」

「お金を払わず飲んだり食べたりしたり?」

「無銭飲食は犯罪です! しっかりお金は払いましょうね」

「困っている人をより困らせたり?」

「ぼくにできることなら手をお貸ししますよ! みなさんの笑顔が大事ですから」

「はあぁぁあぁあぁぁ…………」

「お、大きなため息ですね。幸せが逃げちゃいますよ?」

「言っていることが完全に勇者のそれ。おまけに見た目も聖なる感じ。もっと魔王っぽいところを見せないと、魔王としてのプライドが消え去りますよ」

「思ったことを素直に言っているだけですけどねぇ。たぶん、勇者さんが勇者っぽくないのが問題なんですよ。これではまるで勇者がふたりいるみたいです」

「魔王さんが勇者やるなら私は辞めたい。一人二役でお願いします」

「役柄が両極端すぎてちょっと難しいですね」

「簡単ですよ。自害すりゃいいんです」

「さり気なく死ねって言ってます?」

「勇者っぽいこと言ってるんですよ。どやー」

「威張ることじゃないですけどね。泣いちゃいますよ、ぼく」

「魔王を泣かせるのも勇者の使命……。たぶん」

「意地の悪い使命ですねぇ。ふーんだ、泣いてなんかやりませんよ」

「今日の夕飯こんにゃくのフルコース」

「うわぁぁぁっぁあぁぁぁぁああんいやですぅぅぅぅぅぅうぅええぇぇええぇえぇん‼」

「泣き方が弱そうなんですよね。そもそも魔王って泣くイメージもないですし、笑い方も『フハハハハハ』にしたらどうです?」

「見たいですか? ぼくのフハハハハハ」

「ぼくのフハハハハハってなんですか。どんな固有名詞ですか」

「むしろ勇者さんの方が似合いそうですよね、フハハハハハ」

「肯定したくないですが、魔王さんよりは似合っているかと」

「ぽい、ぽくない論は尽きませんが、こんな作戦はいかがでしょう。題して、衣装チェンジでお互い『ぽく』なろう大作戦!」

「ということで、着ている服を脱がされた勇者です。遺憾です」

「勇者さんのお洋服はっぴー。あ、思ったよりひらひらしていますねぇ。腰のこれ何」

「……落ち着かない。ひらひらひらひら……。短い……。薄い……」

「さらに勇者っぽくするために、この輪っかも貸し出します。浮遊魔法でそいっ」

「ええ……、邪魔。あ、でも手元がよく見えるかも」

「どうですか? ぼく、魔王っぽいですか?」

「うーーーん……。なんか……。うーーーん……。もう一声って感じです。私は?」

「白い服の勇者さんもとってもかわいいですね! ぼくが着ていた服を着ているということがもうなんというか感極まるって感じで――ふぎゃ⁉ わ、輪っかで殴られた……」

「いやぁ、気持ち悪くて」

「ところで、どうして今更『ぽく』なろうとしていたんでしたっけ?」

「そろそろ苦情がくるかと思いまして」

「誰からです?」

「いえ、なんでもないです。……たまには魔物でも倒しましょうか」

「えっ、珍しいことをおっしゃいますね。明日は雨でしょうか」

「そういう……そういう発言がだな……。私から『ぽさ』を奪うんですよ」

「す、すみません。あの、なぜぼくに剣先を向けているのでしょう?」

「そりゃあ、勇者っぽいことをするために、ですよ」

「話し合いで解決しませんか」

「死に晒せ。首落ちろ。臓物引きずり出して流れる血の色確認してやりますよ」

「勇者さんは発言が一番魔王っぽいと思います」

お読みいただきありがとうございました。

「〇〇の話」を読んでみたい、などありましたら、ぜひ教えてください。そうです、ネタがほしいのです。ここまで読んできた猛者の方々の脳みそをください。


魔王「見た目はともかく、言葉を直したらいいんじゃないでしょうか」

勇者「そこのお嬢さん、私に首をいただけませんか?」

魔王「だめだなんにも変わらない」

勇者「人は中身が大事なんですよ」

魔王「ブーメランですよね? ねぇ?」

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