348.学院復帰!
毎度お待たせしてしまって申し訳ありません。
本日1話更新です。
明日も1話更新予定です( *˙ω˙*)و グッ!
それでは、本日より学院復帰です。
私はお母さまと、それにちゃんと起きてきてくれたリーナに見送られ、我が家を出発した。もちろん、スヴェイとゲオルグさんのお迎え馬車で。もちろん、私のお弁当だけでなく、スヴェイとゲオルグさんにもお弁当を渡して!
って言うか、昨日あれからマルゴとモリスがいろんなお料理をたくさん作ってくれてね、どっさり時を止める収納魔道具に放り込んできたので、それについてはもうホクホクよ。
いやしかし、学院に到着して馬車から降りた私の姿に、なんかその場の生徒たちがミョーにざわついちゃってるんですけど。なんなのもう、私ってそんなに有名人になっちゃったの?
そりゃ当主の急逝でいきなり爵位持ち娘になったっていうだけでも、我が家の爵位と領地を狙ってる人たちから注目されちゃってるんだってのは、私ももう理解してるんだけど。そのおかげで、こうやってお茶会ご招待攻撃が飽きもせず続けられてて、笑顔のスヴェイに片っ端からなぎ倒されちゃってるんだけど。
そんでもってやっぱり、私の個室のドアにはぎっちりお茶会招待状が差し込まれてて、ナリッサがガッとばかりにわしづかみにして取り除いてくれちゃうんだけど。
ホンットに、いつまで続くんだろうね、この状況。
と、朝からげんなりしちゃったわ。
でも、でもね、スヴェイに連れられて講義棟まで歩いていくと……。
「ルーディ!」
わーん、テアちゃんだー!
しかも私の顔を見たとたん、全速力でダッシュしてきてくれたー!
テアちゃんはそのまま私に抱きつきそうになって、でもハッと思いとどまった。さすがに家族でもないのにいきなりぎゅーはダメかもって思ったのかな、私はぎゅーでよかったんだけど。てか、私も思わず両手を広げて受入態勢になっちゃってたんだけど!
ぎゅーを思いとどまったテアちゃんはその私の手をとり、本当に嬉しそうに言ってくれた。
「よかった、登校できるようになったのね!」
「ありがとうテア、心配かけちゃったわね、もう大丈夫よ」
私もテアちゃんの手をぎゅっと握り返しちゃう。「それに、我が家の執事に伝言してくれて本当にありがとう。わたくし、本当に嬉しくて」
テアちゃんも笑顔で答えてくれる。
「よかったわ、執事さんがちゃんと伝えてくれたのね。授業のノートはぜんぶ取ってあるわよ。乗馬の補習授業も一緒に受けましょう」
「ありがとう、本当に」
「おはよう、ルーディ嬢」
ガンくんも来てくれた。
「もう大丈夫なの? 無理しないほうがいいよ」
「ありがとう、ガン君。もう大丈夫よ、本当は昨日から登校するつもりだったの。でも大事をとって昨日もお休みしたくらいだから」
お寝坊したせいで登校できなかった、なんてこと言う必要はないよねーと、私は笑顔で答えた。
「ああ、それはよかった」
ガンくんがそう言ってくれて、テアちゃんと顔を見合わせた。
そしてテアちゃんが言ってきた。
「じゃあ、今日の午後、乗馬の補習授業を受けられそう?」
「えっ、もう今日、補習授業をしてもらえるの?」
問い返した私に、テアちゃんは時間割表を持ち出して示してくれる。
「今日の午後は2コマとも算術選抜クラスでしょう?」
そう、私たちのメインの選択授業って算術なんだよね。私は完全に成り行きだったけど。そのメインである算術選抜クラスが必修の算術の授業を兼ねているため、算術選抜クラスの授業数がほかの科目より多いの。だからいろいろと融通がきく。
「昨日ファーレンドルフ先生とお話ししたの。もし今日ルーディが登校してきて大丈夫そうだったら、乗馬の補習授業に振り替えて構わないって許可をいただいたのよ」
「算術選抜クラスの上級生のみなさんも、ルーディ嬢のことを心配されてたよ」
ガンくんも言ってくれる。「ルーディ嬢が算術選抜クラスを欠席するのは残念だけど、乗馬は必修だから……1年生女子の乗馬授業には行軍がないとはいえ、今後は外宮の公苑も周回することだし、早めに補習授業を受けておいたほうがいいだろうって」
ああ……みなさんのお言葉はとってもありがたいです。
ありがたいです、がっ。
つまり、その、私のこれまでの乗馬授業の惨状を、先輩がたもお知りになってしまったというワケですわね?
それを思うと、ちょっとビミョーな気分になっちゃうけど……でも、あの馬にバカにされてまったく乗りこなせていなかった私を知るテアちゃんにしてみれば、できるだけ早いうちに補習授業を受けて練習したほうがいいと……そう考えてくれたのよね?
「ありがとう、テア、ガン君も」
ええ、私は笑顔でお答えしますとも。「それならぜひ、今日の午後に乗馬の補習授業を受けさせていただきたいわ」
ということで、本日午後はいきなり乗馬の補習授業になりました。
でもね、いままではずっしり気が重かった乗馬の授業もへっちゃらよ。だってテアちゃんと一緒に受けられるし、それになんてったっていまの私にはアレクサちゃんがいる!
ありがとうございます、公爵さま。あのかわいくておとなしいアレクサちゃんなら、私にも乗りこなせる。っていうか、乗せてくれる、はず。
スヴェイもナリッサにその旨を伝えておきますって言ってくれて、私はテアちゃんガンくんと一緒に午前の授業を受けるために講義室へと入った。
午前中の最初の授業が終わると、私はテアちゃんガンくんに連れられて学院の事務棟へ行った。
ナニをどうすればいいのかよくわかんないまま私は2人についていき、そこで午後の授業を乗馬の補習授業へと振り替えてもらえるよう手続きをした。
「寮生はよくこの事務棟へ来るのよ」
テアちゃんが教えてくれる。「領地からの荷物を受け取ったり……手紙のやり取りもたいてい、ここの窓口を使うの」
すぐに午後の授業の振替OKとのお返事がもらえ、私たちはまた講義棟へと戻った。
「これで乗馬は問題なくなったわね」
テアちゃんとガンくんはさらに、私が学院を休んでいた間の授業のノートも渡してくれた。
受け取ったノートを開くと、すでに見慣れたテアちゃんのおおらかな字と、ガンくんの几帳面な字が交互に出てくる。2人で手分けして書き写してくれたんだ。
「できるだけ、わかりやすくまとめたつもりなんだけど」
「わからないところがあれば、なんでも訊いてくれればいいよ」
「本当に何から何までありがとう、テアも、ガン君も。わからないところがあれば、遠慮なく質問させてもらうわね」
いやもー、ホンットにありがたくて泣いちゃいそうだわよ、私。
「放課後にでも、一緒におさらいができるといいのだけれどね」
テアちゃんが言い出してくれて、ガンくんもうなずく。
「うん、図書館の談話室なら一緒に勉強できるし」
私は学院の図書館は何度か利用してるけど、談話室には入ったことはない。
ガンくんが教えてくれる。
「男子寮も女子寮も、それぞれ談話室があるんだけどね。我が家の場合、男子寮の談話室にはテアが入れないし、女子寮の談話室には俺が入れないから、図書館の談話室を使ってるんだ」
「それに、寮生ではない騎士爵家や名誉貴族家の生徒もよく図書館の談話室を利用されているわ」
テアちゃんも教えてくれた。「自習していてわからないことがあればすぐに調べられるし。休日も図書館は開いているので、本当に便利よ」
これは、その、放課後やお休みの日に一緒にお勉強しない? っていうお誘いだよね?
それはもう、欠席しちゃったぶんの勉強を2人から教えてもらえるのならめちゃくちゃありがたいし、それに談話室なら……いろいろ世間話みたいなことも話せるよね?
ううーん、おやつを食べながら、は、ムリだとは思うけど……でも、毎日毎日あんなに帰宅が遅くなってたんだし、今日だってちょっとくらい遅くなっても大丈夫、だよね?
そうだよ、スヴェイに頼んで我が家へ連絡を入れてもらって、欠席していた授業の内容をお友だちが教えてくれるので今日は少し帰宅が遅くなります、って……そしたらお母さまもリーナも心配しないよね?
1秒くらいで素早くそういうことを考え、私はがっつり笑顔で答えた。
「ええ、もしよければ、今日の放課後にでも少し一緒にお勉強させてもらえないかしら? そうしてもらえると、とっても助かるわ」
「じゃあ、そうしましょう!」
テアちゃんが嬉しそうに言ってくれる。「ルーディはあまり遅くならないほうがいいわよね。着替えの時間も惜しいことだし、乗馬服のまま図書館へ行ってもいいと思うわ」
「大丈夫なの、乗馬服のままでも?」
「学生証を持っていれば大丈夫よ。私服でも図書館は利用できるから」
やったー!
いやもうホンット、おやつを……今日はまたたくさん持ってるだけに、それを一緒に食べられないのは残念だけど、それでもテアちゃんガンくんに授業内容を教えてもらえるって、めちゃくちゃ嬉しい。
どうかこのまま放課後まで、変なフラグが立ちませんように!
ルーディちゃん、そんなこと言っちゃった時点でたぶんフラグ……(;^ω^)





