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没落伯爵令嬢は家族を養いたい  作者: ミコタにう


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272.このさい頑張ってみる?

本日2話目の更新です。

 うーん、なんだかよく眠れなかった……。

 疲れすぎちゃったのか、頭が変に冴えてしまって、うとうとと浅い眠りで夢ばっかり見ちゃったわ……それも懐かしい、前世の夢。最近はもう夢にも見なくなってたのになあ。

 やっぱり、どう考えても公爵さまのおネェさん発覚の影響だろうねえ。

 だって前世、私の職場には立派なおネェさんがいらしたから。


 私の前世の職場って、芸能プロダクションだったのよ。

 芸プロのデスク、つまりデスクワーク担当だったんだけど、あまり大きな事務所じゃなかったもんで、私もときどき現場に駆り出されてた。

 芸能界の片隅に身を置いていた者として、私ゃホンットにおネェさんもゲイセクシャルな人もBでLな腐女子のみなさんも、もちろんプロダクションに所属する超イケメンなみなさんも、すっごくフツーに日々接してたからね。


 ええもう、社長と専務がゲイセクシャルのカップルで、専務がおネェさんでした。

 しかもそのおネェさんな専務、名前を言えばたいていの人がすぐにわかる、めちゃくちゃ有名な俳優さんだったんだよねえ。

 その俳優さんがおネェさんであることは、業界内ではよく知られた話だったんだけど、でも一般のファンの人たちには、それを知ったら結構ショック受けるヒト、多かっただろうな。


 そもそも、専務もほとんど隠す気ないでしょ、なくらい事務所でも楽屋でもフツーにおネェさんだったんだけど、それでも外部にその情報が広がらないあの業界って本当にすごかったわ。

 私はそういう業界に対して、別に憧れだとかそんなものは全然なくて、知り合いから社長を紹介されて成り行きで転職したんだけど……まあ、不思議な世界だったわねえ。

 そういう、不思議な世界だなーとずっと感じたまま働いてる、つまり何年たっても業界に染まらない私のことを、社長も専務もすっごくおもしろがってかわいがってくれてたんだけど。


 それでも社長が言ってた。

 ここは、異端者の集まりだ、って。

 そして社長によると、その異端者の集まりの中に平然といる私も、一見わかりにくいけど間違いなく異端者だったらしい。だから俺の会社に誘ったんだよ、って言ってたから。


 そうなんだよね……不思議な世界だったけど、本当に居心地は悪くなかったの。

 まあ、あの超体育会系のノリについていくのは正直キツかったし、納得できないことや腹の立つことも、当然のようにいろいろあったけど。


 それでも、転職するまで働いていたブラックな企業はもちろん、家庭や学校で私がずっと感じていた居心地の悪さを思うと……本当に楽しかった。

 ウチの事務所は、業界内でも有名なほど特に雰囲気がよかったからっていうのもあったと思うけど。同僚みんな仲がよくて、それでいて適度な距離感を保てる大人の付き合いだったもんね。

 さすが社長が、事務所のメンバーは所属俳優やモデルと問題を起こしそうにない人選で完全に固めたって言ってただけあるわ。


 でもなんていうのか、本当に独特な世界だったからねえ。それはもう、良くも悪くも、だった。

 楽しいことも多かったけど、これは絶対ダメだろうっていう真っ黒な部分もあって。

 私には一般企業、それも超大手の系列企業での勤務経験もあったから、その独特さがはっきり見えていたのかもしれないけど。

 そういう意味じゃ、あの業界ってある種の異世界だったのかも。

 そんでもって、私はまたこうやって異世界で前世の記憶を持つ転生者、要するに異端者として暮らしてるってわけか……。


「ゲルトルードお嬢さま、お目覚めですか?」

 ベッドの中でうだうだしていると、ナリッサがカーテン越しにそっと声をかけてきた。

「ええ、起きてるわ」

 今朝もアデルリーナはまだ眠っているので、私もそっと返事をした。


 私だってもっと寝ていたいのはやまやまだけど、今日も学校へいかなきゃいけないのよ。

 それも授業じゃなくてオリエンテーションの日だからね、休んだりしたら後で内容を教えてくれるお友だちなんていない私としては、絶対休まず登校してしっかり内容を聞いてこなければ。

 うん、自分で思っててちょっと悲しいけど!


 リーナを起こさないようささっと身支度し、制服に着替えて私は厨房へ下りた。

 私が厨房へ入ったとたん、挨拶が飛んでくる。

「おはようございます、ゲルトルードお嬢さま!」

 って、なんでスヴェイさんが我が家の厨房にいるの!

 それだけじゃないよ、スヴェイさんってばちゃっかりテーブルに着いて、朝ごはん食べてるんですけど!


「おはよう、ルーディ」

 今日は私より先に起きて厨房へ下りていたお母さまが、すぐに私のところへ来てくれる。

「スヴェイさんは、家庭教師の先生がたへご報告のお手紙を届けると言ってくださって」

 いや、それは間違いなくありがたいお話ですがっ。


 でもね、なんとなく、それにかこつけて我が家の厨房に乗り込んできて、ちゃっかりごはんを食べちゃってるような……だって国家トップレベル人材で、しかも昨日は私の危機を救ってくれたお人なんだもの、お母さまであっても断れないよ。

 スヴェイさん、昨日のハンバーガーの一件で、まず間違いなく食いしん坊派閥の人だと思って間違いなさそうだしなあ。


 そんでもとりあえず私は、スヴェイさんの疑惑を横に置いておくことにした。だっていまここで追及するわけにもいかないし。てかもう、既成事実化しちゃってる気がするし!

「おはようございます」

 私は笑顔で挨拶した。「スヴェイさん、お手数をおかけします。それにお母さま、先生がたへのご報告のお手紙を書いてくださってありがとうございます」

「ええ、本当に簡単なご報告だけだけれど。貴女からはまた別の機会にでも、直接お礼を言うといいと思うわ」

「はい、そういたします」


 お母さまと話していると、ぱたぱたと軽い足音がして厨房の扉が開いた。

「ルーディお姉さま、お帰りなさいませ!」

 リーナが駆け込んできた。「あれっ、えっと、おはようございます?」

 私に飛びついてきてからちょっと首をひねってるリーナが、もうなんなのどうしようかわいくてかわいすぎてかわいくてかわい(以下略)。


「どちらも、よね。リーナ。ただいま、それにおはようございます」

 私が笑いながらリーナを抱きしめると、リーナも嬉しそうに笑い、それからちょっと拗ねたように言い出した。

「昨日はお帰りが遅くて、わたくしはルーディお姉さまにお会いできなくて……今朝も、わたくしが起きる前に学院へ行ってしまわれるのかと」

「ええ、ごめんなさいね。リーナがよく眠っていたから、起こさないほうがいいと思って」

「そうなのかもしれませんけれど……」


 あーもう、私の妹はホントにホンットにかわいくてかわいくてかわいい。朝からたんまり癒してもらっちゃったわー。

 お母さまも、私たちのようすにくすくす笑ってる。

「ルーディ、リーナも心配していたのよ。貴女の試験結果をちゃんと報告してあげなくちゃ」

 はっ、そうでした!


「リーナ、わたくし、昨日の試験は全科目合格したのよ」

「よかった、さすがです、ルーディお姉さま!」

 リーナがさらにぎゅーっと私に抱きついてくれて、お姉さまとしてはもうたまらん状態。

 そこにさらに、お母さまが追い打ちをかけてくれちゃった。

「リーナ、しかもルーディは算術で首席だったのですって」

「しゅせき、ですか?」

 きょとんとしたリーナに、お母さまが誇らしげに言ってくれちゃう。

「ええ、同じ学年の生徒たちの中で、ルーディの成績が一番だったのよ」


「いちばん! ルーディお姉さま、いちばんだったのですね!」

 もうリーナがぴょんぴょん跳ねて大喜びしてくれて、ああもうこの瞬間だけは私も、算術で首席をもらっちゃってよかったかもって思えちゃう。

 なんだかなあ、学校でいい成績をとって、それで家族が喜んでくれるって……私、前世でもまったくそういうのがなかったから……正直ちょっと泣けそうなくらい嬉しい。


 それにね、お母さまとリーナだけじゃなく、厨房にいるみんなが……今日はすでにマルゴもモリスもロッタも出勤してくれていて、ナリッサやシエラやヨアンナや、ヨーゼフもカールもこの場にいるんだけど、みんなにこにこしてとっても嬉しそうにしてくれてるの。

 いやー、もう、どうしよう、このさいちょっと本気で今後の試験も頑張っちゃおうかなあ。


 というわけで、今朝もなし崩しに私たちも厨房で朝ごはんを食べちゃう。

「ゲルトルードお嬢さま、こちらが本日のお昼でございます」

 マルゴがそう言って、クーラーボックス的な簡易小型冷却箱にサンドイッチを詰めてくれる。

 それにシエラが、端切れを何枚も持ってきてくれた。

「ゲルトルードお嬢さま、ナリッサさんから聞きました。こちらの布をお持ちくださいませ。あと念のため、セイカロ油と蜜蝋もご用意しておきました」

「ああ、ありがとう、シエラ!」

 そうでした、今日は放課後に精霊ちゃんのところへ行くんだよ。


「お母さま、わたくしは本日の放課後、公爵さまとご一緒に魔法省へお伺いしてきます。あの布の加工についてご相談してまいりますので」

「あら、そうなのね。じゃあ、またちょっと帰りは遅くなりそうかしら?」

「そうですね、ちょっと遅くなるかもしれません」

 そんでもってつい私は言ってしまう。「あの布の加工ですが、わたくし見本を見せていただいたのですけれど、びっくりするほどすばらしい製品になりそうです」

「まあ、それはとっても楽しみね」


 私はお母さまと話しながら、お弁当やら端切れやらを公爵さまからお借りしている収納魔道具に収納していく。ホンットに便利すぎるよ、収納魔道具。ヒューバルトさんにその後の進展について何も訊けてないけど、ホントにホントに取り戻したいなあ。

 そして、マルゴと先生がたへのお礼のおやつの相談なんかをちょこっとだけして、私は慌ただしく学院へと出発したのでした。


みなさまのおかげで本日、本作が日間総合5位になりました!

総合の5位ですよ、5位! 本当に本当にありがとうございます!

ささやかな御礼となりますが明日も更新いたします╭( ・ㅂ・)و グッ !

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― 新着の感想 ―
あまり描写が無いけど、主人公の前世って家族と折り合いが悪かったのかな?
[良い点] 今ランキング見てきたら、総合4位でした!! おめでとう御座います!!✧◝(⁰▿⁰)◜✧(人*´∀`)。*゜+ 明日もルーディ嬢に会えたら嬉しいですね! 内地は暑そうですが、此方は朝晩冷えて…
[良い点] マルゴも100個くらいかと身構えて、20個でいいのかと拍子抜けしたところ。100個かと想像するところが頼もしい!伯爵邸のみんなが公爵様に対してネガティブなセリフばっかりあると、気持ちが引っ…
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