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没落伯爵令嬢は家族を養いたい  作者: ミコタにう


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204.こんがらがりそう

本日2話目の更新です。

 なんかもう、私ゃすっかり先生がたお2人のネタにされちゃってる気がするんですけど。いかにも、女子はこういう話好きよね、っていう感じで。

 だいたい、私にそういう話を振ってくるっていうなら、先生がたご自身はどうなのよ? お2人とも成人済みのご令嬢で独身じゃないのー。


 先生がたがこれだけ突っ込んできちゃってるんだから、私も反転攻撃しちゃってもいいよね?

 と、私のほうも先生がたにご自分たちの結婚について訊いちゃえ、と思ったんだけど、私が問いかける前に先生がたはさらに突っ込んできた。


「それでも、お相手としてはやはり、すでに栗拾いのときに態度を示されているヴェントリー伯爵さまとホーフェンベルツ侯爵さまが有力でしょうか?」

「そうなるとまだお若いホーフェンベルツ侯爵さまより、ヴェントリー伯爵さまのほうがご年齢的にもご都合がよろしいかもしれませんわ」

 いや、態度を示すもナニも、リドさまもユベールくんもお料理に釣られてただけだから。リドさまは放っておいたら間違いなくハンバーガー3個目食べちゃってたと思うし、ユベールくんだってマヨネーズにハマりまくってる感じだったし。


 でも先生お2人は、どんどん突っ込んでっちゃう。

「なにより、あれだけご結婚に関しても頑ななところがお有りだったヴェントリー伯爵さまご自身が、ルーディさんに対して乗り気でいらっしゃいますものね」

「そうですわ、たとえ伯爵位をまた予備爵に戻されて公爵位をお継ぎになられたとしても、伯爵位をお持ちのルーディさんならお相手としてなんの不足もございませんしね」


 えっ、あの、伯爵位をまた予備爵に戻す? それで公爵位を継ぐ?

 いやそれよりも、あのリドさまが結婚に関して頑なって?


 えーと、私がどうこうとか言ってるくらいだから、リドさまには婚約者もいないんだよね? 確かに、とりあえず伯爵位を継いでるとはいえ公爵家の嫡男で、二十歳過ぎても婚約者もいないっていうのは……。

 そりゃもう学院で交友関係ゼロの私でも、上位貴族家の嫡男や爵位持ち娘はたいてい学院卒業までには婚約が決まってて、二十歳前後でさくっと結婚するもんだってことくらいは知ってる。


 まあ、それを言っちゃあ、アラサーになっても独身のまんまのあの公爵さまはどうなのかって思わないでもないけど。

 ただ、あの公爵さまの場合、育っちゃった環境がアレだからね、ご自分が家庭を持つこと……特に子どもを持つことには、どうにもためらいがあるのかも、って情状酌量はしちゃうよね。

 公爵さま、甥っこのハルトくんのことなんかすごくかわいがってるようだし、子どもが嫌いなんてことはないだろうけどさ……やっぱり跡継ぎとか絡んでくると、考えちゃうんだろうな。


 でもリドさまの場合は……ご生母はお亡くなりになってるっていっても、義母であるレオさまとはあんなに仲良さそうだし、ジオちゃんハルトくんとの関係だってめちゃくちゃ良好だよね。

 宰相であるお父さまとの関係も特に……と思って、私はハッとした。

 もしかして、固有魔力がないから?


 えっと、固有魔力がないって、廃嫡されちゃうくらい重大問題扱いしちゃう貴族家もあるんだよね、実際エグムンドさんがそうだったって聞いたし。レオさまは、ご自分も夫君である宰相閣下もそんなことちっとも気にしてないって言ってたけど……リドさま本人はすごく気にしてる感じだもんなあ。

 あー、でも、それが原因だとしたら……固有魔力がない? それがどうかしました? って態度をいきなりとっちゃった私は、リドさまにとっては許容範囲に入っちゃったってこと?


 うーん、それにリドさまにしてみれば当然、固有魔力がないことを見下してくるような貴族家と親戚になんかなりたくないだろうしねえ。ご令嬢本人の人柄だけでなく、そういう部分でも慎重にならざるを得ないってことだよね。

 そういう意味じゃ、我が家はお母さまもリーナもそんなことで相手を差別なんかしない。それに変な口出しをしてきそうな上位貴族家の親戚なんかもないから、リドさま的にはかなりOKな物件認定されちゃったのかな、私って?


 私がそんなことを考えてるうちに、先生がたはさらに盛り上がってくれちゃってる。

「そうですわね、ヴェントリー伯爵さまは本来ガルシュタット公爵家のご嫡男なのですから、伯爵位を再び予備爵に戻して公爵位をお継ぎになってから、ルーディさんをお迎えするということも十分考えられますわね」

「むしろ、そのほうがよろしいのではなくて? 確かに、ヴェントリー領とクルゼライヒ領は隣接していますから領地の併合には便利ですけれど、いずれ分割は必要でしょうから」

「ええ、もうそれでしたら、伯爵位同士で爵位を統合されるより、公爵位でルーディさんをお迎えして、ルーディさんがお持ちの伯爵位をそのまま予備爵にされたほうがよろしいですわよね。そうすれば、分割したご領地に新たに子爵位を叙爵していただく必要もありませんし」


 え、えーっと、あの、なんかまたワケわかんない話になってますけど?

 さすがにこれは、質問して詳しく教えてもらったほうがよさそうだわ。ということで、私はやっと口をはさんだ。

「あ、あのですね、その、爵位の統合ですとか、新たに子爵位の叙爵ですとか、それはいったいどういうことなのでしょうか?」


 先生お2人の視線が、パッと私に向いた。

「あら、これは失礼いたしました。わたくしたち、すっかり話に夢中になってしまいまして」

「そうですわ、ルーディさんご本人のお話をおうかがいもせずに」

 とか言いながら、先生お2人ともますますイキイキしちゃってる気がするのはナゼ?


「それで、爵位の統合でございましたか?」

 リケ先生の問いかけに、私はうなずいて返事をしようとしたんだけど、私が口を開く前にリケ先生はさくっと説明を始めてくれた。

「爵位の統合というのは、爵位継承権をお持ちのご令嬢が、同格の貴族家に嫁がれた場合の措置になります。ルーディさんの場合は、同格の伯爵家ということになりますね」

「はあ」

 あいまいにうなずいちゃった私にファビー先生も説明してくれた。

「予備爵として保持しておけるのは、その貴族家が本来お持ちの爵位よりも下位の爵位だけなのです。同格の爵位を予備爵にはできませんので、伯爵位同士であれば統合されてひとつの爵位になるのですわ」


 ってことは、つまり?

「それでは、もしわたくしがどこかの伯爵家に嫁げば、わたくしが継承している伯爵位はなくなってしまうということですか?」

「ええ、名目上はそうなります」

 ファビー先生がうなずいて、リケ先生と目を合わせてる。

「けれど、2つの伯爵家が統合されるわけですから、当然領地は増えます。その領地を分割するさいに、国に対して新たに爵位の申請をすることができるのです。そして、その申請はまず却下されることはございません」

「名目上、伯爵位がひとつ減るわけですが、領地を分割するさいには新たに子爵位が叙爵されることがほぼ決まっているとお考えいただいて結構ですわ。いってみれば、子爵位を予備爵にしているような状況ですわね」


 はー、そういうことですか。

 なんかもう、結婚とそれにくっついてる爵位の事情って、めちゃくちゃややこしい気が。


「で、ヴェントリー伯爵さまの場合は」

 って言い出したファビー先生が、めちゃくちゃイキイキしてらっしゃいます。

「現在は伯爵位を継承していらっしゃいますが、公爵家として廃嫡はされておられませんので、その伯爵位をまた予備爵に戻して公爵位をお継ぎになることが可能です」

 うーん、予備爵ってそんなに簡単にあっちへやったりこっちへやったりできちゃうのね?

「そして公爵家の跡取りとしてルーディさんをお迎えになるのであれば、ルーディさんがお持ちの伯爵位を予備爵にすることができます」


 いや、実際にそうなるかは別にして、理屈はわかりました。

 伯爵家同士として結婚しちゃうと伯爵位がひとつ減っちゃって、後からもらえるのは子爵位になるんだけど、公爵家と伯爵家との結婚であれば伯爵位をそのまま予備爵として持っておける、ってことですね?

 なんかもう、頭がこんがらがりそう。


 だけどやっぱり先生お2人は、本当にイキイキと楽しそうに話してくれちゃいました。

「もしヴェントリー伯爵さまがガルシュタット公爵家の跡継ぎに戻られて、その上でルーディさんをお迎えになるのであれば、ガルシュタット公爵家には現在のガルシュタット領、ヴェントリー領に加えて、クルゼライヒ領も併合されることになりますから、まず分割は必要ですわね」

「その場合、クルゼライヒ領はリーナさんに継承していただくことも可能になりますから」

「えっ!」

 私は思わず身を乗り出しちゃった。

「あの、えっと、その、クルゼライヒ領をリーナに継承って……!」

 そんなことが可能なんですかっ?


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― 新着の感想 ―
[一言] いくら上の爵位の嫡男が下位へ入ることはまずないと言っても、そんなにリドさんが公爵家子息として伯爵家の入婿になるって選択肢は発想にないのか…全く話題に出ないということは。 あとエクシュタイン公…
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