198.かわいいお茶会開始
本日4話目の更新です。
しかし、なんでこう、ものごとがスムーズに運ばないかな?
せっかく朝からみんな楽しい気分で、すてきなお客さまをお待ちしてたのに。あんな招かざる客1人のおかげで、すっかりどんより疲れちゃったわ。ただお断りするだけで、こんなにHP削られちゃうってホントにどうなのよ?
なんとなく顔を見合わせちゃった私とお母さまに、レオさまは明るく言ってくれた。
「対策については、後日メルを交えて一緒に考えましょう。今日はとにかく、子どもたちのお茶会よ。我が家の子どもたちも、馬車の中で首を長くしていると思うわ」
そうでした、ジオちゃんもハルトくんも、馬車の中で待ってくれてるんだよね。
我が家のリーナも客間で、リケ先生とやきもきしてるに違いないわ。
「さ、リーナちゃんを呼んであげて。玄関でお出迎えしてもらわなければね。わたくしもジオとハルトを呼んでくるわ」
「はい、レオさま」
はーレオさまにそう言っていただけると、ホントにホッとするわ。
お母さまもやっと笑顔になって、そうねリーナを呼んできましょう、って言ってくれる。
客間へ戻ると、案の定リーナが不安そうな顔で待っていた。
「リーナ、お待たせしちゃったわね。リーナのお客さまがご訪問くださったので、玄関でお出迎えしましょう」
それでもなんだかちょっと不安そうなリーナだったんだけど、玄関ホールへ出たところでパーッと笑顔になった。ちょうど、ジオちゃんとハルトくんが、レオさまと一緒に玄関に入ってきたところだったのよね。
ジオちゃんとハルトくんのほうも、奥から出てきたリーナにすぐ気がついてパーッと笑顔になっちゃう。そしてお互い駆け寄っちゃいそうになったんだけど。
リーナの肩をリケ先生が、そんでもってジオちゃんとハルトくんの肩をファビー先生が、笑顔でガッと捕まえてくれちゃった。
「リーナさん、お客さまのお出迎えをいたしましょうね?」
「は、はい! リケ先生!」
おおう、リケ先生、押さえるところはきっちり押さえてくださってます。
リーナは自分を落ち着かせるように両手を胸もとに当て、それからすっとカーテシーをした。
「ジオラディーネさま、ハルトヴィッヒさま、本日は当クルゼライヒ伯爵家のお茶会に、ようこそおいでくださいました」
あああああ、なんてかわいいの! いやもうリーナってば、かわいくてかわいくてかわいく(以下略)な上に完璧すぎるお出迎えよ!
そんでもってジオちゃんも、すっとカーテシーをしてくれる。
「本日は、おまねきいただきありがとうございます。本日のお茶会を、とても楽しみにしておりました」
澄ました顔でジオちゃんが挨拶すると、ハルトくんも片手を胸に当てて片足をすっと後ろに引いてご挨拶してくれる。
「本日は、おまねきいただきありがとうございます。わたしも、このお茶会をとてもたのしみにしていました」
こっちもめちゃくちゃかわいいですー!
お澄ましジオちゃんもホントにかわいいし、ご挨拶してから思わずファビー先生の顔を見て確認しちゃうハルトくんもめっちゃかわいい。ファビー先生がうなずいてくれたとたん、えへっとばかりに笑顔をこぼしちゃったハルトくん、プラス200点よ!
さらに、澄ました顔のジオちゃんもリーナとちらっと目を見かわして、とっても嬉しそうにうふふって笑ってくれちゃうんだもんね、もうかわいいが団体さんで押し寄せてきてくれてます。
はー、荒んだ心が浄化されていく気分よ~。
そして、みなさまを客間にご案内。
リーナはリケ先生に教えてもらった通り、しっかりお客さまをお席にご案内しています。お客さまであるジオちゃんハルトくんも、ここまでくるともうにこにこ顔が隠しきれません。
だってね、お茶とおやつが積み込まれたワゴンが、すでに室内のすぐそこにスタンバイしてるんだもんね。
全員が着席し、主催者であるリーナが声をあげる。
「それでは、みなさまにお茶を味わっていただきましょう」
うん、シエラもだいぶ慣れたみたいで、緊張しているのはわかるんだけど落ち着いた感じでお茶の準備に入ったわ。
ジオちゃんの侍女さんはアグネスさんというそうで、二十歳前後の若い侍女さんなんだけど、いかにも慣れた感じで動きがキビキビしてる。ハルトくんの侍従さんはクレメンスさんだっけ、護衛も兼ねてるって聞いた通り、ちょっと小柄だけどがっしりした感じだわね。
それに、もうすっかり顔なじみになっちゃったレオさまの侍女のザビーネさんも、とっても優雅にお給仕をしてくれてるし。
なんかジオちゃんハルトくんだけじゃなく、リーナもお給仕のようすを期待のこもった目で追っちゃってたんだけど、リケ先生がさりげなく促してくれた。
「リーナさん、今日のおやつはどのようなものをご用意くださったのでしょうか?」
「あ、はい! あの、今日は栗をつかったおやつです。栗のクリームと、おさとうであまくにた栗を、パウンドケーキというあたらしいお菓子にあわせてあります」
そうそう、お給仕の間に今日のおやつやお茶についての説明を、お客さまにするのよね。
すっごくしっかりと説明できたわね、私の妹は本当にかわいくてかわいくて賢くてかわいくてかわい(以下略)。
ジオちゃんも、それは本当に楽しみです、なんて答えながらも、その目はワゴンに載ってるなんちゃってモンブランのお皿から動かせないみたい。なんかもう、キラキラの目でおやつを見ちゃってるのが本当にかわいくてたまんないわ。
ええもちろん、ハルトくんも同じく、なんちゃってモンブランに完全にくぎ付けになってるし。
やがて全員にお茶とおやつが配り終えられた。
リケ先生がにっこりと笑い、リーナはひとつうなずいて自分のカップを持ち上げる。そして一口お茶を飲み、次にフォークを手にするとなんちゃってモンブランにさっくりと差し入れた。
うーん、栗クリームをお口に入れたリーナの顔が、本気で『美味しい!』って言ってくれちゃってるわ。
もう満面の笑顔でリーナが言いました。
「それでは、みなさまもどうぞ召し上がれ」
ジオちゃんとハルトくんと、それにもちろんリケ先生とファビー先生も、まずは素早くお茶を口にします。
そんでもっていっせいにフォークを手にし、なんちゃってモンブランにさくっと差し入れて……栗クリームを口にしたとたん、やっぱりいっせいに目を見張ってくれちゃいました。
「おいしいです!」
そう言ったジオちゃんは両手を頬に当てて、もう絵に描いたような『ほっぺが落ちそう!』って顔になっちゃってんのー。
それにハルトくんは、じっとしてられないほど美味しかったと言わんばかりに、椅子の上でぴょこぴょこしてくれちゃってるし。
はー、かわいい。かわいすぎる。
もうこんなにかわいい反応をしてもらえるなら、私もおやつの作り甲斐があるってものよ。
いや、でも、コレってお行儀的に大丈夫なの? と、私はチラッと家庭教師の先生お2人に目を遣っちゃったんだけど……先生がたはそろって目をらんらんと輝かせて猛然と、じゃなくて、えっと、あの、お皿の上を一心に見つめながらとってもスムーズな手つきで、なんちゃってモンブランを召し上がってくださってます。
そして、さくっと食べ終わっちゃった先生お2人は、視線を交わしてほほ笑んでいらっしゃいます。う、うん、な、なんか、ほほ笑んでいらっしゃるだけなのに、ミョーに圧を感じるのはナゼ?
いや、確かにお子さま用にちょっと小さめサイズのおやつを、そのまま先生がたにもお出ししたんだけど、その辺りがやはりご不満で?
大丈夫です、お代わりもあります。
とは言い出せず、とりあえずリーナたちお子ちゃま一同が食べ終わるのを、私も先生がたと一緒に待つことにする。
やがて、夢中で食べ続けていたジオちゃんハルトくん、それにリーナも、とっても満足げな顔でおやつを食べ終えてくれました。
そこですかさずファビー先生が、にこやか~に声をかけます。
「ジオさん、ハルトさん、たいへん美味しいおやつではありませんでしたか?」
「あっ、はい!」
パッと、ジオちゃんもハルトくんも姿勢を正してお返事よ。
「はい、あの、本当においしくて……」
「ぼくも、えっと、とってもおいしくて……」
おっと、これはどうも、お茶会に招かれてお茶やおやつをいただいたら、その感想を主催者にお伝えしないとダメってことね?
でもジオちゃんもハルトくんも、本当に夢中になって黙々と食べちゃってたから、ジオちゃんの最初の『おいしいです!』以外の感想がなかったのよね。
それに、リーナにもリケ先生からのお声がけが。
「リーナさん、このおやつに使われている栗は、先日みなさまご一緒に収穫された、あの栗なのですよね?」
「あっ、はい、そうです! あの、先日みなさんとひろった栗で……」
そうなの、主催者もお茶やおやつに関しての話題をお客さまに振らないとダメなのです。
って、事前にリケ先生から説明があったのに、リーナもすっかりおやつに夢中になっちゃって。
その辺はやっぱり、家庭教師の先生がたから指導が入るワケね。
うん、私も覚えておこう。
活動報告も書いておきますので、↓の作者マイページからどうぞ。





