195.待ちに待ったお茶会、の前に
みなさま『没落伯爵令嬢は家族を養いたい』1巻ご購入のご報告やご感想、本当にありがとうございます!
このWEB更新のほうも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
本日は4話更新です。
まずは1話目です。
みなさま、おはようございます。
本日は、子どものお茶会です。
ええ、私のかわいいかわいいかわいいかわいい妹のアデルリーナが、あんなにもあんなにも楽しみにしていた、お友だちのジオちゃんとハルトくんが我が家を訪問してくれる日なのです。
それに、レオさまもご一緒です。昨日、お母さまにそれを言われて、そうよね、家庭教師の先生だけでなく、ジオちゃんハルトくんのお母さまであるレオさまも一緒に来られるのが当然よねと、ようやく気がつきました。
ええ、家庭教師の先生がたの圧があまりにすごい、げふんげふん、先生がたもとっても楽しみにしてくださっていることが、あの栗拾いのときから十分伝わってきていましたので、わたくしすっかり失念しておりました。
でも、お母さまと仲良しのレオさまが来てくださるなんて、もちろん大歓迎ですわよ。
って、私、誰に言ってんだろ。
なんかもう、脳内で勝手にそういうナレーションが湧き起こっちゃうくらい、私も浮かれてるのよねえ。だってホントに、ホンットに、アデルリーナもお母さまも、朝からずっとにっこにこであんなに嬉しそうなんだもの。
それに、なんてったって今日はあのおっさんたち、げふんげふん、いや男性諸氏がいらっしゃらないからね。
お母さまによるとレオさまは昨日、リドさまがどれだけ同伴を熱望され策を弄されてきても、絶対に同伴を許さず柱に縛り付けてでも置いてくると断言してくださったそうだし。
さすがレオさま、本当に頼りになります!
いっぽうメルさまも、ご令息ユベールくんが『僕も就学前だから子どもとしてそのお茶会に参加しても』などと寝言を言い始めたとたん、ビシッとまた教育的指導をしてくださったそうです。
ホンットにメルさまも頼りになりすぎる!
そうするともう、お客さまはジオちゃんハルトくんとレオさま、そして家庭教師の先生お2人。
何気に家庭教師の先生お2人とまたお会いできるのが、私はちょっと楽しみだったりする。それは確かにちょっと圧が、いや、えっと、言外のご要求が強いところがお有りの先生がただけど、栗拾いのときには本当に貴重な情報、ご意見、ご感想をたくさん教えていただけたからね。
いやもう、ああいうわりと歳の近い先輩貴族女性との会話の機会って、本当にありがたいわ。
しかもお2人とも宮廷伯とはいえ、我が家と同格の伯爵家のご令嬢でしかも独身という立場も同じ。先生だから当然敬意を払うけど、こちらは雇い主でもあるので変にへりくだる必要もないし。本当にある意味、私にとってすごーく話しやすいお相手になるのよね。
朝食を済ませてお茶会用のデイドレスに着替え、居間に私たち3人そろって、今日のおやつもみなさま喜んでくださるわね、なんて笑顔で話し合っていたら、まずはリケ先生がご到着。
玄関でリーナも一緒になってお出迎えをして、全員で客間に移動した。
「本日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたしますね」
にこやかに挨拶を交わし、リケ先生は今日の手順をリーナに確認してくれる。
「リーナさんが本日のお茶会の主催者ですから、お客さまが到着されたら玄関でお出迎えをしましょうね」
「はい、リケ先生」
リーナが真剣な顔でお返事をしてるのがまた、本当にかわいくてかわいくてかわいくてかわ(以下略)。
「本日のお客さまは、公爵家のご令嬢とご令息です。お席の順はご年齢の順になります。爵位の違うお家から複数のお客さまをお迎えした場合は爵位の高さを優先し、同格の爵位であればご年齢順になるのです」
いや、思わず私も真剣に聞き入っちゃうわ。リケ先生のお話、めっちゃ勉強になります。
っていうか、私もこんなにちゃんとお茶会の手順を説明してもらうの、初めてかも。あの栗拾いみたいなとんでもない規模のお茶会や、大人数の試食会もすでに経験済みなのにねえ。
リケ先生の説明は続く。
「もし爵位もご年齢も同じお客さまであれば、主催者の意向でお席をお決めになって構いません。主催者がその日の話題にされたいことによって、お決めになることが多いですね。また、付き添いの保護者のかたは、別にお席を用意する形になります」
さらにリケ先生は、客間のテーブルや椅子の配置まで具体的に説明してくれる。
「ジオラディーネさまもハルトヴィッヒさまも、最高位貴族である公爵家のかたですから、お席はこのいちばん奥、主賓席になりますね。主催者のリーナさんはこちらに。そして付き添いの保護者であるレオポルディーネさま、それにルーディさんとコーデリア奥さまのお席はこちらにご用意してください」
リーナも私も、それにお母さまも、もうめっちゃ真剣にリケ先生の説明を聞いてます。
さらに執事のヨーゼフも、侍女のナリッサとシエラもめっちゃ真剣。すぐさまリケ先生のご指示通り、椅子やテーブルを動かして配置してくれちゃってるし。
もちろんリケ先生もその辺しっかりわかってくれていて、ヨーゼフやナリッサ、シエラにも指示をしてくれる。
「お茶とおやつのワゴンはこちらに置いてください。公爵家の侍女さんお2人と侍従さんもお給仕をされますので、ここからあちらに回ってお茶を出されます。その後、侍女さんや侍従さんも交代でお茶とおやつを口にされるよう、あちらにお席をご用意いただけますか」
「かしこまりましてございます」
すぐさまヨーゼフが答えて対応してる。
「わたくしたち家庭教師は、お子さまがたと同じテーブルに着きます。わたくしは、リーナさんのとなりのこの席に、それから公爵家の家庭教師はジオラディーネさまのとなりに着席します。ハルトヴィッヒさまにはまだ専属の家庭教師がおられませんので、少し変則になりますね」
そう言って、リケ先生は明るい笑顔をリーナに向けてくれた。
「最初のうちは、必ず家庭教師が同席してお手伝いいたします。それに、本日のお客さまはすでにリーナさんもよくご存じのかたばかりですから、とにかく楽しくお話しできれば大成功ですよ」
「はい、リケ先生!」
やっぱりどこかちょっと緊張してたっぽいリーナの顔が、パーッと明るくなった。
ああもう、ホントに、ホンットに、私の妹はどうしてこんなにもかわいくて素直で賢くてかわいくてかわいくてかわい(以下略)。
さらにいくつかリケ先生から注意事項を拝聴し、その後はみんなで並んでカーテシーの練習なんかしちゃったりして。
いやホントに、リケ先生って常に背筋がすっと伸びてて動作がすっごく優雅なんだよね。こんなに人懐っこい笑顔で気さくな感じの人なのに。
だからリーナの横に私も、それにお母さまも一緒に並んじゃって、なんかもう和気あいあいとリケ先生をお手本にカーテシーの練習しちゃったのよ。
うふふふふ、お茶会が始まる前からすでにとっても楽しいんですけどー。
なんて、すっかりみんなで和んでたら、突然お母さまが顔をくもらせて声を上げた。
「あら?」
そしてお母さまは、その顔を客間の扉のほうへ向ける。
どうしたのですかと、私が問いかけようとしたそのとき、その声が私にも聞こえた。リケ先生もリーナも聞こえたようで、ハッとしたような顔をしてる。何を言っているのかまではわからないけれど、男性の声だということははっきりわかった。
とっさに、私はヨーゼフを探した。
でもヨーゼフはいつの間にか客間を出ていたようで、姿が見えない。いつものように、ノッカーがたたかれる前に来客に気がついて玄関に出たんだわ。
お母さまが私に顔を戻し、そして片手を自分の耳に当て困ったように首をかしげて言った。
「どうやら、お招きしていないお客さまがいらしたようね」
思わず眉を寄せてしまった私に、お母さまは落ち着いた声でさらに言ってくれた。
「どこかの貴族家のお使いのようなのだけれど……ヨーゼフがはっきりお断りしているのに、お帰りくださらないようだわ」
固有魔力で【聴力強化】ができるお母さまはともかく、客間にいる私たちにまで聞こえるほどの大声を、そのお招きしていないどこぞの貴族家のお使いがあげているって……我が家にいったい何の用だっていうの?
でもヨーゼフが玄関でお断りしてるってことは、即お断りするような用件だってことよね?
それなのに、相手はそれを聞き入れようとしてないってワケね。
「わたくし、玄関に出て対応いたします」
またヨーゼフに暴力をふるうようなクズじゃないでしょうね?
それに、またお母さまに悪影響を及ぼすようなことがあったら……そう思うともう私は、居ても立ってもいられず客間を飛び出した。
なかなか子どものお茶会にたどり着けません(´・ω・`)





