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嫌われ者少女と自分と…  作者: R.MAY'S
2/3

喧嘩と喧嘩と癒しと…

4月22日(金)

「おっはよー、屋内クン。今日も真面目に授業受けてて偉いねー」

今日も遅刻し、1限目の途中から来た仙崎さん。

「おはよ、仙崎さん。」

一応授業中なので小さい声で挨拶を返す。

相変わらず授業は崩壊気味(…気味?)。

ただ少し変わったことが1つ。

昨日から後ろの席の不良?達が来るようになった。

ずっと自分の方を見て(睨んで)いる気がする。

相手をしろと言わんばかりに。


昼休み。

仙崎さんと笹嶋さんの2人と一緒に校内をフラフラしていたら

「ヒャッハー!、転校生!! 調子乗ってるらしいな、ヒャッハー!」

「ボコボコにしてやるぜ、ヒャッハー!」

みたいな感じでヒャッハー集団が現れる。

明らかにザコそう。

そしてバカそう。

あと…ついに現れてしまった…

自分に敵対する奴らが。

このまま一生現れず無事に学生生活を送れることを願ったのだがダメだった…

話し合いとかで解決して、引いては……くれそうもない。

しかも仙崎さん達の前。

カッコ悪い姿は見せたくないから逃げも負けも出来ない。

仕方がない…

「頑張るか…」

ヒャッハー集団(4人)の襲撃。

多少は喧嘩慣れしているのか作戦なのか4人同時にかかってくる。

一方からまとまってきたり四方に散ってからきてみたりとなかなか上手な喧嘩をしてくる。

けど、なんか強くない。

囲まれているのに囲まれている気がしない。

穴があると言うか粗があると言うか。

1人1人が全然強くないからか?

これならBP(ボールポンポン)先輩達の方がまだ強かったような…

ヒャッハー①②が斜め前から、ヒャッハー③④が右斜め後ろから殴りかかってくる。

しゃがんで二方向の攻撃を避ける。

しゃがんだ体制のまま一歩前に出てヒャッハー①の腹部を2度殴る。

立ち上がりながら身体を後ろにひねりヒャッハー③に右肘当てからの右手の甲で一撃。

前から来るヒャッハー②へ一蹴り入れて、後ろにいるヒャッハー④へ背中を当てる。

怯んだヒャッハー④の方を向き数発殴る。

後ろから来るヒャッハー②に馬のような一蹴り入れる。

……

誰も向かってこなくなった。

一息いれる。

…勝った。

まあ、雑魚だったけど。

ヒャッハー集団退散。

「流石だね、屋内クン。すごく強い。」

仙崎さんに褒められた。

「動きが…変。」

笹嶋さんからも一言頂けた。

とりあえず仙崎さん達に良いところを見せれてよかった。

…見せれた?

…見せれたよね?

…見せれたと思う。

…と願う。



4月25日(月)

「まてーゴラー、相手しろやー」

「逃げんなや-」

「…あーもう、面倒臭い。」


ただいまの時刻15:25。

あと10分で部活が始まるというのに、絶賛不良達に追いかけ回され中の自分。

「もう…しつこいな。」

今朝、登校中に3人程に襲いかかられたため、適当に相手して撃退。

その後昼休みに人数を2人増やして5人が来るが、まあまあ相手して撃退。

そして放課後。

さらに3人増やして8人でくる。

なんとか2人はやれたが残り6人。

部活にいきたいので残り10分で6人をなんとかしたい。

…でも朝からの疲れが出てきている。

まともに相手したら逆にやられるかもしれない。

どうするか考えながら逃げる。

残り…9分。

①6人まとめて相手する。

 1人1分でやれれば部活には間に合う。

 ただし今の状態では逆にやられる可能性がある。

②このまま逃げる(帰宅する)。

 奴らを相手しなくていい変わりに部活に行けなくなる。

 …これ以上不良と思われたくないので部活はしっかりと出たい。

③誰かに相手を任す。

 任せられるのは(頼れるのは)仙崎さんか田辺さんぐらい。

 数日前に頼ってもいいよと言われはしたが自分の変なプライドがあるせいでなんか頼りにくい。

 というか、そもそも2人が今どこにいる分からない。

④職員室に逃げ込む。

 基本、生徒同士の問題は見て見ぬふりするけどわざわざ問題を持っていってあげれば何かしら対応してくれるかもしれない。(望みは薄いが…)

 あと、奴らも職員室で喧嘩とかはさすがにしないと思う。

 …しないよね?

⑤部活後に相手をする。

 待っててくれるかな?

 説得できるかな?

 話聞いてくれるかな?

残り…8分。

そろそろ何をするか決めないといけない。

このまま逃げ続けるだけじゃいずれ詰む。

…⑥相手1人を一瞬(なるべく早く)で倒し、必要以上に痛め付けて、奴らに恐怖を与え撤退していただく。

 必要以上痛め付けるとなると自分の印象がかなり悪くなってしまうが、上手くいけば一番手っ取り早いしこの際、不良達にどう思われるようになろうとどうでもいい気がする。

 それに上手く顔を殴れば出血は派手だが大した怪我をさせずに相手に恐怖を与えられる。

 あとは適当に威嚇とか威圧とかしておけば…

 …奴らが逆上して襲いかかってきたら仕方がない、諦めて部活は遅刻しよう。

 顧問(担任)に謝ればなんとかなる。

残り…7分。

「やるか。」

まずは人気の無い場所へ逃げる。

3Fの西側の廊下端。

目的地についた瞬間に振り返り奴らに向かって走っていく。

そして一番前にいた奴の鼻をおもいっきり殴る。

”グジャッ!” ”ビキッ”

吹っ飛んでいく奴①。

自分が走って殴ったということに加えて相手が向かってきていたということが加わりいつもよりも殴る威力がとても高い。

そして…

『ーーーッ!!』

同時に自分の拳にかかる負担も高い。

『指痛めた! …やばい、指が伸びない!』

しかし痛いからといって攻撃をやめれば作戦⑥の意味がなくなってしまう。

痛めたのは右手示指・中指の付け根。

そこに気を付けながら奴①に追撃。

倒れている奴①を無理矢理起こし再度鼻を殴る。

正面から当てるのではなく鼻を横から抉るように。

倒れる前に服の襟をつかみ今度は口を殴る。

力はそれほどいれないで、歯で口内を傷つけさせるようなイメージで。

襟を離し倒れさせるように蹴り。

『さてと…相手の顔は』

いい感じに血だらけ。

奴らその他は動けていない。

何が起こっているのか分かっていない様子。

残り…6分。

奴らその他にも分かりやすいように奴①に馬乗りになり顔を殴る。

わざと大きく腕を振りかぶって殴っているアピール。

威力は抑えながらだがすでに奴①は戦意を喪失しているから問題ない。

あとなるべく血が見えるように血を撒き散らし、血のついた手を奴らその他に見せつけるかのような動きをする。

『仕上げするか。』

奴①の顔を殴り続ける。

殴るというよりかは無理矢理、顔(首)を左右に振らせる感じで。

あまり痛くはないが自分の意思とは関係なく顔(首)を動かされる事で殴られている感を感じさせる。

5、6発殴ったところで

「…もう…も…ゆるじで…。ごべ…ご、め……い。…ごべ、んなざい…」

泣きながら許しを求め、謝り始める奴①。

その姿を見て駆け寄ってくる奴らその他。

自分は馬乗りになったまま動かず、後ろから寄ってくる奴らその他の方にゆっくりと顔を向ける。

顔を向けた瞬間に動きが止まる奴らその他。

『ビビってる。』

手を出したいけど出せない感じがよく伝わってくる。

ちょっと動いては下がり、自分が少しでも動けば”ビクッ”と反応して後ずさる。

…作戦⑦は上手くいったぽい?

「ごめん、ごめん…なさい…ごめ…さい…ごめん…」

泣きながら謝り続ける奴①。

固まって置物のように動かなくなってしまった奴らその他。

…………

キーンコーンカーンコーン…

15:30を告げるチャイムがなる。

残り5分。

時間も時間だしこれ以上は奴①が流石に可哀想になってきたのでここら辺でやめることに。

ゆっくりと立ち上がる。

奴らその他が”ビクッ”と反応する。

…涙目になって、固まって全く動かない奴が1人。

膝が小刻みに震えている奴が1人。

ゆっくりと後ろに下がっている奴が2人。

『…あれ? いつの間にか1人いないし。…逃げたか?』

下がっている2人は”動けている”ので要注意。

襲ってくるかもしれない。

『…念のため釘を指しておくか-』

わざと動けている2人に近付き、すれ違い様に

「次は容赦しない。」


「ハァ、ハァ…」

あのあと全力疾走でグラウンドに向かいなんとか部活開始時刻に間に合った。

「ハァ、ハァ…」

部活を始める前から物凄く疲れた。

しかも右手示指・中指の付け根が今もまだズキズキと痛む。

とりあえず指は動くし、開くようになったから大丈夫そうだけど。

部活に間に合った変わりに疲れと痛みを受けた。

『あーやっぱり相手にするんじゃなかった。』

少し後悔をした。



4月26日(火)

朝。

指はまだ痛みはするが動くし、開く。

少し赤くはなっているが大丈夫そう。

『…今日は極力喧嘩するのはやめておこう。』

そう決意はするが…そうはさせてはもらえないらしい…


学校放課後。

「しっかりと掴まえておけよ!!」

羽交い締めされている自分。

自分の前にはやたらとうるさい男子。

右腕をブンブン振り回している。

「やーれ!!」 「やーれ!!」 「やーれ!!」

そしてうるさい数人のギャラリー(多分敵)。

「ウッシャー!! いくぜー!!、ザコー!! アッークス・ボンバー!!!」

うるさいやつが自分に向かって腕を叩きつけようとしてくる。

迫ってくる右腕。

絶体絶命のピンチ(多分)。

『…さてさてさてと…』

ではここでなぜこうなったか経緯の説明をしようと思う。


うるさい奴が率いるうるさい軍団が喧嘩を売ってくる。

「おおい!! 転入生! 喧嘩だ!、勝負だ!、リングへ上がれ!!」

『…なんかまた頭のおかしそうな奴がきた。リングってなんだよ? ここ学校だぞ? そんなもん無いだろ。』

「嫌です。」

「あっ?! 嫌だと!!? …お前まさか怖じ気づいたのか?! この俺様に恐れをなしたか?! …なんだザコだな。ザーコ、ザーコ!!」

「ザーコ、ザーコ!」

うるさい奴に続いてうるさい軍団も煽ってくる。

『こいつらムカつくな…』

しかし今日は極力喧嘩をしないと決めた。

なので冷静に

「それでいいです。別に自分は強いとか弱いとかどうでもいいんで。」

その場から立ち去ろうとするがうるさい軍団に囲まれる。

「お…お前、ここで逃げたら…ザコだぞ! ザコ! ザコ中のザコだぞ!! …ザーコザコ-、やーいザーコ。」

「ザーコ、ザーコ、ザーコ。」

必死に煽ってくるが"ザコ"以外の言葉を知らないらしい。

ザコとしか言ってこない。

「ザーコザーコ! ザーコ、ザコ!!」

…なんだか少し可哀想になってきた。

きっとザコ以外言えない呪いにでもかかっているのだろう。

「雑魚でいいので通して下さい。」

「あ? あっ? あっ?!! いいのか? ザコで?! それじゃあこれで一生ザコだ! ザコでザコでザコだ!!」

ザコしか言えないうるさい奴がなんだか少し面白くなってきたが、だいぶ面倒臭くもなってきたので

「雑魚でいいって言ってるでしょ? どうぞ他の人にも「あいつはザコのザコのザコだ!!」って言いふらしておいてください。」

「あっ……あっ…ザコ!! ザコ!? ザコ?? …ブッ殺してやるー!!」

ついに頭がおかしくなったらしい。

『…こんな奴らの相手なんかしたくない…』


っという流れからうるさい軍団の1人に羽交い締めされている状態になる。

「ーーーアッークス!、ボンバー!!」

前からうるさい奴の右腕が迫ってくる。

後ろはしっかりがっちりと固定されている。

ちょっとやすっとじゃ崩れそうもない。

「ハァ…」

『しょうがないやるかー…』

後ろで支えてくれているのを利用して両足を揃えて跳び、そのままうるさい奴に両足キック。

"ボッ!"

顔を狙ったのだが跳んだ高さが足りず胸部へ。

後ろへ吹っ飛ぶうるさい奴。

自分を利用されて『しまった』とでも思ったのか後ろの奴の締めが急に緩んだ。

その隙を逃さず脱出。

脱出ついでに左手で顔に2発殴っておく。

立ち上がるうるさい奴。

自分に前屈みで突っ込んでくる。

「お!?」

今まで喧嘩してきた奴らと違い動きがいい。

立ち上がるのも立ち上がってからの動き出しも結構早い。

避けれそうもない。

ので、受けることに。

"ドッ!"

まあまあな威力。

『でも、このぐらいなら…』

とか思っていたら、胴体を掴まれて

「フロンート!!、スープレッークス!!」

自分の足が地面から離れ、身体が宙に浮く。

「は?」

そのまま頭から落とされていっている感覚が分かる。

「やば!!」

このままではまずいと感じ身体を横に捻る。

"ボンッ!!"

床に叩きつけられる。

「うっ…ぐっ…」

なんとか体勢を崩させ頭から落とさせることは回避できたが横から転げ落ち背中を打つ。

『こいつ…やばい。こんなところで(廊下)投げ技なんてしやがった。』

マットでも畳でもないところで投げ技を、しかも頭から落とすタイプのやつをなんのためらいもなくやってきた。

もしもあの時、技から逃げようとしなかったらと考えると物凄く怖くなる。

『こいつとはやりたくない。』

「ラリー!、アッート!!」

とも思っていられないらしい。

また迫ってくる右腕。

『…痛いが右手を使うしかないか…』

とりあえず迫ってくる右腕を左手で止める。

すかさず右手でうるさい奴の顔面に向かって掌底。

からの右手をうるさい奴の後頭部へやり頭を手前に引き寄せる。

と、同時に左手で顔面を殴る。

"プビャッ"

うるさい奴の鼻から血が吹き出る。

が、うるさい奴は動じない。

これ以上近くにいるのは危ないと感じ一歩下がり距離を取る。

「フロントハーイ!、キッーク!!」

うるさい奴が右足底を突き出すようにして蹴りをしてくる。

「遅い…」

身体を捻りながら右に避け、その回転を利用してうるさい奴の左脇腹へ左甲当て。

続いて右手で顔面を思いっきり殴る。

"ド"

『…受けられた…』

殴った感じ与えられたダメージが少ない。

顔を殴ったにも関わらず身体が一切ぶれていない。

『これはまずい…』

殴った右腕を掴まれて下へ引っ張られ、前屈みの状態へ。

そして自分の頭を両脚で挟んでくる。

何をしようとしているかは分からないがとにかく危険(やばい)ということだけは分かる。

うるさい奴は自分の胴体を両腕で抱え、持ち上げながら

「パイルードライバー!!」

といい勢いよく座り込み、自分の頭頂部を床に叩きつけようとしてくる。

「~~~ッ?!!」

『やばいやばいやばい。』

どうにかしなければとにかくやばいと感じる。

頭を脚から抜こうと必死にもがく。

…なかなか抜けない。

"ズッ" "ドンッ!!"

床につく瞬間、脚から少しだけ頭を抜くことができなんとか直撃の大ダメージは避けられた。

けれど挟まれた脚から衝撃が頭へ伝わり意識が朦朧とし、視界がぼやける。

身体が動かない。

「ウオオオォォー!!」

うるさい奴が雄叫びをあげる。

「ウオオォー!!」

うるさい軍団も叫ぶ。

「ウオオォォー!!」

自分に技をかけた状態のまま叫び続ける。

『………うるさい。』

そう思った瞬間、身体が動き始める。

頭はクラクラしているが身体はしっかりとしていた。

自分の両脚でうるさい奴の頭を挟み、締め付ける。

「あっ!? なっ!? いでっ! ギャアアアア!!」

うるさい奴がさっきとは違う叫び声をあげる。

腹筋に力を入れ、上半身を起こす。

バランスを崩したうるさい奴は床に倒れる。

…形勢逆転。

ここからは自分の時間。

挟んでいる脚を頭から胴体へ移動し馬乗り状態にする。

4、5発顔を殴る。

右手がズキズキと痛み、意識がしっかりとし始める。

痛みのお陰で意識は回復してきたが、これ以上殴ると手が駄目になりそうなので蹴ることに。

自分が立ち上がった瞬間にうるさい奴も立ち上がる。

『こいつ本当に動きがいいな…』

相手の動きに警戒しつつ自分の攻撃を当てられる距離まで近づく。

一足(一跳)で攻撃を当てられる距離まで近づくことができた。

これでいつでも攻撃できる。

しかしそれはうるさい奴も同じ。

………

先に動くか、後に動くか。

先手必勝、後手必勝。

………

「うおおぉぉー!!」

うるさい奴が動いた。

距離を詰めながらジャンプし

「ドロップキッーク!!」

両足で蹴りをしてくる。

『避け…いや、受ける!』

しっかりと踏ん張り右上腕で受ける体勢をとる。

受けきれれば立っている自分の方が次の行動が有利になると考えた。

”ドッ”

右上腕に鈍い痛みがはしる。

よろけそうになるが脚に力を入れ、耐える。

”ベチッ”

うるさい奴が床に落ちる。

『…耐えた…』

床に落ちたうるさい奴が起き上がる前に動く。

”バンッ”

うるさい奴の左太ももを蹴る。

地味に痛いやつ。

これで立った時に多少は痛みで隙をつくれる。

”バシッ”

今度は左上腕を蹴る。

蹴ると同時にうるさい奴に蹴った方向に転がられて手応え(足応え?)はいまいち。

「…チッ。」

本当に動きがよくて少しイラつき、思わず舌打ちが出てしまった。

けど次の行動には移させない。

逃がさないし、立ち上がらせない。

…もう容赦しない。

立ち上がろうとするうるさい奴の顔に一蹴。

”バキッ”

「ウボッ!! …ボッ…」

倒れこもうとするが倒させない。

服の襟を掴み右手でうるさい奴の顔を殴る。

”ゴッ”

殴る、殴る。

”ボッ” ”ドッ”

最後にもう一発。

”ボゴッ”

倒れこむうるさい奴。

しかしまだ動こうとする。

とどめにもう一発殴ろうとした時にフト思った。

『そういえばうるさい奴の攻撃ってプロレス技じゃね?』と。

なのでプロレス技でとどめを差してやることに。

プロレス技。

プロレス…技?

…技?

…考えても何も思い浮かばない。

そういえばプロレスなんて全然知らない。

……

「あっ」

一つだけそれっぽい技が思う浮かんだ。

少し助走をつけてジャンプし、倒れているうるさい奴の上に落ちる。

「グハッ!!」

うるさい奴が一声あげる。

『”ボディプレス”ってやつ? よく知らんけど。』

とにかくこれで決着…と思ったがまだ動こうとする。

『プロレスでの決着は…』

うるさい奴を下敷きにしたまま数を数える。

1(ワン)2(ツー)3(スリー)…自分の勝ち。」

うるさい奴が動かなくなった。

……………これで終わった?

………これで勝ち?

…疲れた。

うるさい軍団はただ黙って立っているだけで襲いかかってはきそうになかった。

自分はヨロヨロと立ち上がりその場を去る。

『…痛い。身体中が痛い。右手痛い、右手痛い。背中痛い。首痛い。頭痛い。』

満身創痍状態。

『あいつ強かったなー』



4月27日(水)

昨日の喧嘩のせいでフラフラヨロヨロの状態で登校。

身体中痛いし疲れがまだ全然とれていない。

そんな状態でも相手には関係なく、容赦や手加減なんてしてくれない。

「オイ! そこだ、やれオイ!」 「オイ! いくぜオイ!」「オイ! こいつなんか疲れてるぜオイ!」 「オイ! オレらつえーぞオイ!」 「オイ! いまだオイ!」 「オイ! くらえオイ!」 「オイ! ーーーオイ!」 「オイ! ………オイ!」

オイオイうるさいオイオイ集団。

身体中痛いし、疲れてるし、うるさいし…

『もう休みたい…』

様々な負荷が身体に加わり頭がボーとする。

"カコッ"

不意に喰らった一撃で視界が歪む。

脚に力が上手く入らなくなり立っているのも難しくなる。

平衡感覚が無くなりフラフラクラクラする。

『やば…い、脳が揺れた。』

不意に喰らった一撃は運悪く顎に当たり軽い脳震盪を起こしたらしい。

立っているのがやっとな自分をオイオイ集団が見逃すはずがなくここぞとばかりに襲いかかってくる。

腕、胸、頭、脚、腕、背中、腹、腹、腕、背中、胸…

至る所に痛みが走る。

ボッコボコにされる。

動かない身体をなんとか動かし、無理矢理右拳を一発繰り出す。

"コッ"

とりあえずオイオイ集団の1人に当てはできた。

警戒したのかオイオイ集団が離れる。

『…助かった…』

そう思い一息入れる。

ふらつきは大分良くなってきたが元々満身創痍のような状態。

身体が上手く動かない。

『やべなー』

とか思っていたらオイオイ集団がまた襲いかかってくる。

攻撃を避け、防ぎ、受け、反撃する。

しかし上手くいかない。

反撃の威力が弱い上に当てどころも良くない。

これじゃあ相手は倒せない。

かなりの苦戦を強いられる。

……。

………。

…………。

とても疲れてきた。

物凄い強い睡魔も襲ってくる。

全てが自分の敵だと感じ始める。

襲ってくるオイオイ集団も、思った通りに動いてくれない身体も、呼んでもないのにくる疲労や睡魔も、動きを制限する服も、常に負荷をかけ続けてくる重力も…全て。

でもそんな中、その場に一つだけ1人だけ救いが、助けが、味方がいた。

いや、来てくれた(・・・・・)

「もうそろそろ大丈ばないよね?」

そう一言いい、自分の目の前に1人の女の子が現れる。

それは転校してから一番多く、一番長く目にしてきた子。

「仙…崎さん…」

「屋内クン、あとはやっとくね。」

G's 仙崎怜子登場。


選手交代。

自分から仙崎さんへ。

「オイ! なんだよ、お前オイ!」 「オイ! 邪魔すんなオイ!」 「オイ! 嫌われものの分際でよオイ!」 「オイ! 消えろやオイ!」

「あーオイオイオイオイうるさいなー。屋内クンの代わりに私が相手してやるって言ってんの。来るなら来いよ。来ないなら失せな。」

「オ、オ、オイ! 悪魔めがオイ!」 「オイ、オイ! とっとと消えやがれオイ!」

「…聞こえなかった? 屋内クンの代わりに私が相手してやるって言ってんの。喧嘩したいんでしょ? …ほら、かかってきなよ。私に勝てたら屋内クンの相手してもいいよ?」

煽る仙崎さん。

「オ、オイ! 疫病神が調子に乗んなよ?オイ!」 「オイ!ブッ殺してやるよ、ブスがオオイ!」

…さっきから悪口は言うが一向に手を出そうとしないオイオイ集団。

『怖がってる?』

そんな中

「オイ! 死ねや、性悪グズめオイ!」

オイオイ①が動き、仙崎さんに殴りかかりに行く。

対する仙崎さんは右拳を握り、振り上げ…

"ボゴッ!!"

オイオイ①を殴り付ける。

オイオイ①の身体は床に倒れ、ワンバンウンドし宙に浮き、再び床に倒れると動かなくなる。

…………とんでもない威力。

もしかしたら死んで…

「……う…ぐ…」

苦しそうにオイオイ①が唸る。

『よかった。死んではなかった。』

それにしても本当にとんでもない一撃が出た。

まさか一撃で倒すとは。

「…で、次はどいつ?」

「オイ! -~ッ~ーーオイ!」

残りのオイオイ集団が仙崎さんに襲いかかる。

"ボガッ!!"

顔を殴られオイオイ②が吹き飛ぶ。

"グギャッ!!"

腹を殴られオイオイ③が蹲り動かなくなる。

"コカッ"

オイオイ④の拳が仙崎さんの顔に当たる。

"ゴガッ!!"

顔を殴られオイオイ④が一回転して床に倒れる。

"バシッ"

最後の1人のオイオイ⑤が仙崎さんに蹴りを入れるが受け止められる。

『…田辺さんと比べると凄く遅くて弱い蹴りだな。』

受け止めた足を左腕で掴み、右腕を大きく振りかぶる。

「ヒッ…やめ…」

"ボグッ!!"

殴られた瞬間「ヴぇ…」と一声あげてそのままダランとなり動かなくなるオイオイ⑤。

………オイオイ集団全滅。

全員1人一撃で倒してしまった。

G'sの皆が「レイは強い」とは言っていたがこれほどとは…

「さてと…」

仙崎さんが口を開き少し"ピクッ"っと反応してしまう。

「とりあえず保健室行こうか。」

いつもの優しい仙崎さんだった。


仙崎さんの肩を借りながら保健室へ。

保健医曰く、怪我も頭(脳)も多分問題ないだろうとのこと。

ただ、しばらくは大人しく寝てろと言われ、半強制的にベットへ寝かされる。

………。

……………。

…綺麗すぎるベットに薬品の匂い。

そしてすぐそばには保健医。

…なんかとっても嫌。

『…保健室のベット落ち着かない。』

と、いうことで抜け出すことに。

今いるベットの隣にもう1つベットがあり、それを越えると廊下へ出られる扉がある。

そーっとベットから抜け出し、音を立てないようにカーテンを空ける。

保健医は机で書類仕事をしている。

『これならいける。』

なるべく気配を消し隣のベットを越えて扉の前へ。

そーっと扉のを開ける。

そして廊下へ…と思ったが扉を開けて目に入ったのは廊下ではなく仙崎さんだった…

「あれ? 大人しく寝てろって言われなかったっけ?」

「あ、いや…その…」

なんて事をしていたら保健医に気づかれてしまう。

「こーら、寝てろって言ったでしょ? まったく。」

無事捕まりベットへ戻されてしまう。

「くっ、次こそは…」

「「寝ろ!」」

仙崎さんと保健医の2人に言われてしまった。

「はい…」


しばらく寝ていたが何かを感じ目が覚める。

目を開けると視界が塞がっている。

そして周りは楽しそうに騒いでいる。

「…?」

とりあえず視界を塞いでいるものを取る。

…ハンカチだった。

「…?」

起き上がると布団の周りに花らしき物が沢山置いてある。

「?」

そして笑っているG'sの皆。

『あっ…これは自分を死んだことにして遊んでたな。』

皆、自分の方を見ている。

…何か面白い反応を期待しているかのような目。

「………」

「「「「……………」」」」

再び寝て、布団を頭までかぶる。

「「「「あっ」」」」

声を合わせて同じ反応をしてくる。

「「「「……………」」」」

「屋内がいじけた。」

「…泣いてる…?」

「ごめん、ごめん、屋内クン。いじけないで、泣かないで。」

「おくうち~? 大丈夫~? わたしが~

なぐさめてあげるね~ だから~泣くならわたしの~胸の中で泣きな~?」

多分倉原さんに頭を撫でられる。

「よしよし~泣き虫さんですね~」

『あー…人に頭を撫でられるなんて久し…初めてのような気がする。』

「って、泣いてないわ!」

起き上がる。

「おはよ~ じゃあ、泣く~?」

「泣かないよ!」

「…泣け…」

「まさかの命令!?」

「泣かしてあげようか?」

「実力行使!?」

「よーし、じゃあスネでも蹴って泣かせんぞ。」

「やめーい!!」

「おはよう、屋内クン。」

「おはよう、仙崎さん。」

…なんか一気にまた疲れた。

でも皆は楽しそうに笑っている。

「フフッ」

なぜか分からないけど笑えた。

疲れたけど楽しい。

この人達といると本当に。


「てゆーか、オマエもう少し寝てろよなー」

不満げに言う田辺さん。

それほどお葬式ごっこが楽しかったのだろうか?

「ね~。もう~少しだったのに~。」

「…残念…」

「…? 何かしようとしてたの?」

「もう少し寝てたらレイがキスする予定だった。」

「!!?」

「やっぱり眠り姫には王子様のキスだろ?」

「!!?」

「あっ、いや、その… じゃんけんで負けちゃって、その、それで… で、でもキスっていっても頬とかに軽くするだけのつもりだったし、その…やる前に屋内クンが起きてくれたし…」

めっちゃ焦りながらめっちゃ早口で言う仙崎さん。

この人がさっき男子を1人一撃でぶっ飛ばしていた人だと思うとなんだから少し笑えてくる。

「とは言え、レイはじゃんけんで負けたんだからキスしろよ。」

「!!?」

「お、屋内クンもう起きちゃってるよ!?」

「負けは負け。罰は罰。それに今日は屋内のための日にするってレイが言った。…レイ、キス!!」

「えっ、でも…」

「………」

この状況でどうしたらいいか分からず皆の会話をただ聞いているだけの自分。

逃げてもいいのかこの場に居ないといけないのか?

「じゃあ~ハグでも~いいよ~? ギュッとして~あげるの~」

「…キスかハグか…」

「えー…」

困惑する仙崎さん。

自分の方をチラチラ見てくる。

「レーイー。顔真っ赤だなー。恥ずかしいのか?」

とても楽しそうに言う田辺さん。

ていうか、自分と仙崎さん以外、皆ニヤニヤしてて楽しそうにしている。

仙崎さんは頬を真っ赤にしている。

自分もいま置かれている状況を理解し始め、だんだんと恥ずかしくなってきた。

顔もなんだか熱い。

「チュッか~、ギュッか~どっちにするの~? はやく~決めないと、わたしが~レイを~襲っちゃうよ~?」

「わ、わかった、わかったよ。……ハグにする。…屋内クン、嫌かもだけど動かないでね。」

「「「「おお~~!」」」」

皆から歓声のようなものがあがる。

自分の心臓が弾け飛ぶんじゃないかと思うぐらい強く鼓動する。

……………………………………………………。

静まり返る保健室。

()()()()()()…”

静かになったせいで余計に心臓の音が大きく聞こえる。

何か物凄く恥ずかしくなってきた。

仙崎さんが自分のすぐそばまでくる。

………

”ギュッ”

仙崎さんに包み込まれる。

「「「「おお~~…」」」」

周りから変な声があがるが自分の耳には届かなかった。

柔軟剤なのかその家のにおいなのかはわからないが人工的ないい匂いと仙崎さんの優しい、いい香りがする。

そして温かく柔らかい感触。

男をぶっ飛ばすほどの腕力があるからもっと筋肉質なのかと思っていたが全然そんなことなかった。

とても心地がいい。

………………。

………………………。

「はい、終わり! あー顔、熱!」

自分から離れ手の平で顔をあおぐ仙崎さん。

「………」

離れたあとも少しの間、仙崎さんの香りと感触が残っていて、まだハグされているような気がした。

「………」

「おーい、そろそろ戻って()・い()!」

”ピシッ”

おでこにデコピンされて我にかえる。

仙崎さんのバグが気持ち良すぎて、心地よすぎてなんだかよく分からなくなっていた。

「あっ、…うん。…ただいま?」

「おかえり~。そんなに~よかった~? レイとの~()・グ()。」

「………うん。」

恥ずかしいくせに素直に答えてしまった自分。

顔から火が出そう。

「大人しくハグされてえらい、えらい。」

なぜかハグをした仙崎さんではなくハグをされた自分を褒め、頭を撫でてくる笹嶋さん。

「え? う、うん?」

…よく分からない。

「…屋内……手…出して…」

川井さんにそう言われ、右手を差し出す。

”ギュッギュッ…”

急に自分の手の平を指で押し出す川井さん。

「? えっと…?」

何がなんだか分からない。

「…身体にいい…」

…身体にいい?

『手の平マッサージってやつ? ツボってやつ?』

「逆の手やる~」

と倉原さんが左手マッサージ?し始める。

「ワタシは肩でも揉んでやるか。屋内、少し前に動け。」

田辺さんに言われた通りに前に動く。

そうすると田辺さんがベットに立て膝をついた体勢で自分の後ろにきて、肩を揉め始める。

「??」

「じゃあ私は…」

今度は笹嶋さんが何かをしてこようとするが

「ちょ、ちょっと待って。え? なにこの状況? 何で自分、今日こんなに高待遇なの? 何このハーレムみたいな状態? ……ん?」

突然、皆の接し方が変わり戸惑う自分。

いつもの皆なら”喧嘩で負けそうになって、仙崎さんに助けてもらった”なんて事があったらメチャクチャいじってからかうはずなのに。

「今日は~屋内を~ねぎらう日なの~」

「ねぎらう? 労を労うってこと?」

”日頃の喧嘩、お疲れ様。今日はゆっくりしてね。”ってことか?

「少し違う。労を労うよりか功績をたたえる。」

「功績をたたえる? なんか誉められるようなことしたっけ?」

喧嘩ばかりでG‘sに対して何か利益をもたらした訳でもない。

授業はしっかりと受けていたがG‘sとは関係無い。

「…何かしたっけ?」

本当に分からない。

「何ってお前…元ランキング21位の”闘男(レスラー)”に勝ったじゃねえか。」

「…ランキング? …れすらー? …レスラー?」

『ランキングってなんの? …レスラー?』

レスラーというのは十中八九、昨日のうるさいやつだろうとは分かる。

が、ランキングなんていうのは知らない。

しかも”元”。

『…今は?』

何も分からず困惑の表情をする自分。

そんな自分を見て、仙崎さんが説明をし始めてくれる。

「えーとね、屋内クン。ここには…ここ周辺の地域には主に学生を対象とした”力”の順位があるの。」

「”力”の順位…」

「そう、”力”の順位。それがランキング(”力”の順位)。…それは分かった?」

「…ランキングが何かはちょっと分かった。で、その|”力”の順位《ランキング》って、ただの喧嘩の強さで決まるの? レスラーってやつ(うるさいやつ)が21番目に強いってこと? その順位って試合か何かで決まるの? 元って…」

”ビシッ”

「!?」

「質問が多い!」

田辺さんにチョップされた。

「屋内、落ち着いて。レイが困ってる。質問は1つずつ。」

笹嶋さんに宥められた。

「…柄のもない…」

確かに川井さんの言う通り。

いつもの自分らしくないと言えばらしくない。

なぜか少し動揺していたみたい。

気を落ち着けるために小さく深呼吸をすることに。

「スゥー…」

「レイに~ギュッっとされて~興奮しちゃったんだよね~」

「ハァー…ッ、ゴッ、ゲホ! ゲホッ!」

倉原さんからの思わぬ一言に反応しきれずむせてしまう。

「あーそうかー。レイと話すとドキドキしちゃって早口になってんのかー」

「純情少年。」

「…変態…」

「えっ…いや…違っ…」

違うのかどうか分からないためはっきりと否定できなかった。

「あ? 違うのか? 放心してたくせに?」

「はっきりと否定しない。そして確実に放心はしていた。ということはドキドキは事実。つまり屋内は今、興奮している。」

「…ド変態…」

「わ~ドッキドキの展開~」

「ちょっ、ちょっと待って。」

いつもの冷やかし+いじり。

こうなるとなかなか止まらない。

が、"いつもの"やつなのでさっきのハーレム状態よりかは馴れてる。

だからなんやかんや言って"いつもの"冷やかし+いじりの方がいい。

それにこっちの方がG'sの皆らしいから。

「おい! ドキドキ少年。今ならもう1回レイにギュッとしてもいいぞ。」

「最初の計画でやるはずだったキスでもいい。」

「…助平…」

「イチャイチャするの~」

「………」

「ギュッかチュッてしとけ。今日のお前なら許される。」

「大丈夫。レイは私達が押さえとく。」

「…淫乱…」

「キャ~!」

にしても今日のいじりはいつも以上に酷い。

さすがにそろそろ…

"ゴッ!!"

音と共に田辺さんが吹き飛ぶ。

「話…続けていい?」

やっぱり仙崎さんのお怒りの一撃が飛んできた。


「えーと、じゃあ1つづつ屋内クンの質問に答えていくね。」

「はい! お願いします。」

「皆も静かにね。」

「「「はい!!」」」

一撃で場を治め皆を手中に収める。

仙崎さんはやっぱりすごい。

「まずはランキングの順位の付け方について。これは全ての力を総合的に判断したもの。」

「…全ての力?」

「うん、全ての力。喧嘩が強い、つまりは"筋力"だったり"身体能力"、"判断力"。あとは"技術力"とか"知力"もあるかも。…で、ここからが重要。これ以外の"力"として"権力"、"財力"、"統率力"、"魅力"…その他その人が持っている力や使える力、全てを合わせて"力"なの。」

「………」

「えーと分かりやすく?言うと…どれだけ"影響力"を持っているか。その人が周りの環境にどれだけ影響を与えられるかっていうこと。…分かった?」

「なんとなく分かった。…例えば喧嘩だけ強くても権力や財力で押し潰されちゃうような人はランキングが低くなる。逆に喧嘩がそこまで強くなくても強い人に取り入れれる力がある人や強い人に勝てるだけの力を持った集団をまとめあげれる力を持った人はランキングが高くなる…こんな感じ?」

「うん、そんな感じ。さすがだね。私達と違って頭がいい。」

「へへっ」

誉められた。

素直に嬉しい。

「あとランキングの決め方だけど……これは私にははっきりとは分からない。」

「?」

「このランキングは2ヶ月に1回、奇数月にとある集団?からランキング紙が出される。」

「??」

「よく分からないよね。私も分からない。ただそういうことをしている集団がいるの。そこが独自に"力"の高い低いを判断してランキングが決まる。」

「……じゃあそこの集団?が勝手に決めてるってこと?」

「そうなる……そうなっているんだと思う。本当にそこは謎が多い部分なの。…でもランキング自体はそれなりにしっかりしている。上位の奴らは皆が否応なしに納得できるだけの"力"がある。一応ランキングは30位までなんだけど上位10人は本当にヤバイ奴らばっかり。喧嘩はメチャクチャ強くて、それぞれのグループのトップや幹部って言われるようなやつらだから仲間も多い。………屋内クンは関わらないほうがいいからね?」

「うん、そんな危なそうな人達とはなるべく関わりたくない。」

元21位にやられかけたのでそう思う。

「…"闘男(レスラー)"が元21位ってことは少なくとも21人はあいつよりも厄介なやつらがいるってことになるんだよね…」

「あー…あいつは今はランキング圏外だから少なくとも30人はいるの… それと2年前に"最きょうの世代"っていうのが出てきてランキングがトップから30位までほとんど総変わりしたから元1位~20位+現1位~30位で少なくとも50人近くはいる… 本当に相手しちゃダメだよ?」

「…あー…」

”力”の順位(ランキング)

ちょっとぐらいなら面白いかなとほんの少しだけ思ったが危なそうだし大変そうだしなによりも面倒臭そう。

多いし。

「…そういえば仙崎さんはランキングにはのってないの? 物凄く強いのに。」

「私はのってないよ。やだなー、私は屋内クンが思っているほど強くも力もないよ? 屋内クンが過大評価してるだけ。評価してくれてるのは嬉しいけど。」

「よく言うぜ。3位の朝ひ…」

"ゴッ!!"

復活してきてた田辺さんがまた吹き飛んだ。

きっと聞かれたくないこと、言ってはいけないことを言いかけたんだと思う。

自分は何も聞いてなかったことにした。

「えーと、で、そのランキングの元21位の人に勝ったからそのご褒美?的なやつで今日の自分は高待遇になったってこと?」

一番始めの疑問にようやく辿り着けた。

「そうだよ~ すごいすごいね~ よしよし~」

倉原さんに頭を撫でられる。

「そういうことだから今日は私達からの労いを素直に受けて。」

「…悪いようにはしない…」

皆のやりたいこと、言いたいことは分かった。

気持ちは素直に嬉しい。

けど…

「…とても光栄でありがたいことだけど…自分的にはいつもの皆の対応の方がいいかな… なんか落ち着かない。」

「屋内クン。膝枕してあげるからこっちきて。」

いつの間にかベットに座っている仙崎さん。

「えっと…あの…」

「は~い、いい子ですから~寝んねしますよ~?」

仙崎さんと倉原さんに半強制的に横にされ寝かしつけられる。

"ギュッギュッ"

笹嶋さんと川井さんがまた手の平のマッサージをし始める。

「えー…あー…」

話を聞いてはくれなそう。

「お前らー5時に終れよー 私も帰りたいから。」

「「「「はーい。」」」」

保健医も止める気は無さそう。

……まあ、せっかくなので皆の好意を受けることに。

「あー…」

………よほど疲れていたのか少しして意識が無くなった。

………。

………………。

………………………。


5時になり起こされ時には身体がかなり軽くなっていた。

これでまた明日から頑張れそう。

…出来れば平和に過ごしたいけど。


ーーー→

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