ブラック
悲しい嗚咽が聞こえる。
僕を可愛がってくれたご主人、奥さん、兄ちゃん達が泣いている。
僕は、さっきまで身体が重たくて、手足の感覚もなくて、目も見えなかったけど、今は良く見えるようになった。
此処何日も点滴をしていたから、急に元気が出たんだ!
小さい頃、僕は公園に捨てられた。公園で遊ぶ兄ちゃん達に拾われたんだ。
「キューン」
「おーい来いよ、子犬がいる」
「ほんとだ、可愛いな!おいで」
「飼いたいなぁ、駄目かな?」
「母さんに頼んでみようか!」
「お前、家の子にして貰えるように頼んでやるよ」
「心配するな!」
兄ちゃん達は、何度も何度もお願いをしてくれたなぁ・・・
あれ?あの頃の僕になってるよ !
ご主人と兄ちゃん達は、身体が大きくなった僕の為に立派な小屋も建ててくれた・・・
ブラックの家と大きな名前付きだった! 庭の芝生も兄ちゃん達と良く転げまわった。
僕達はいつも一緒でさぁ、
夏はご主人が川遊びに連れて行ってくれて、兄ちゃん達と泳いだよね!
愉しかったなぁ・・・
朝の散歩は、奥さんで 夕方の散歩は兄ちゃん達、一緒に見る夕焼けは綺麗だったなぁ・・・
僕は、この家の仲間になれて幸せだよ!
「ヮゥー・・」
「ブラッーク!」
{ブラックはななと一緒に飼われていました。今朝、なながいる天国に召されました}