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馬車から落ちた

結局業者は止められず、予定通りの外出に向かっていたが憂鬱なままでした。


馬車に揺られ、今日は友人のお茶会に行くところです。

今日はお茶会といっても小さなガーデンパーティーのようにするようで、友人の婚約者の方も来られるようです。


でも、私にはクレイン様が側にいないので一人で行くことになってます。


しかし、ブレンダ様はどうしましょうか。

一緒に暮らすのが嫌になってます。

ダンスの講師の役割も果たしてないのだから、いる必要はない気がします。


ここは虎の威を借る狐になって、クレイン様と決めましたと嘘をついて追い出しましょうか。


でも、クレイン様がお客様と認めていたらどうしましょうか。


…それにしても、ガタガタと今日はよく揺れますね。

友人は街から出た、カントリーハウスでお茶会をするから、少し遠いのですが…。


その時、急に馬車のスピードが上がったと思うと、ガタンッと勢いよく揺れました。


「…!!」


そして、何故だか、馬車の扉が開き私は馬車の揺れと共にそのまま、馬車の中から放り出され、馬車の外に落ちてしまいました。

運動神経の皆無な私には咄嗟にどうにかできる身体はありませんでした。


「キャアァ…!?」


馬車から落ちた私は街道の草が芝生のように生い茂っているところに落ち、致命傷は避けられたけど、痛いのは痛い!


大体どうして馬車の扉が開くのですか!?

普通鍵を閉めているはずです!


「…あの…大丈夫ですか…?大丈夫なら…」


大丈夫なら何ですか!?

この御者は何を言っていますか!?


御者はちょっと不味いぞ、という雰囲気だったけど、落ちたことを心配しているようには見えなかった。

いや、私の怪我を心配してないのかも!?


「扉は!?扉を閉めなかったのですか!?」

「し、閉めましたよ…!大丈夫なら早く乗って下さい!みっともない!」


草の上に転がり、両手をついている私を起こす気は全くないようです。


その時、誰かが来ました。


「何をやっている!?」


馬が近づき馬上の上の男の方はさっと降りて私に駆け寄ってきた。


「大丈夫ですか!?どうされたのです!?」


颯爽と現れた男の方は腰を落とし私を心配していた。


「…馬車から落ちてしまって…」

「どうしてこんなことに…貴様が御者か!?何をやっているんだ!?」


いきなり現れた男の方は、御者を問い詰めるように怒鳴り始めた。


足は痛いし、手足に擦り傷もある。

顔に土もついているから、顔にも擦り傷があるとわかる。

顔に触ると手の擦り傷と同じように少し血がついた。


一体何故こんなことに…。


泣きたいのを我慢していると、もう一台馬車が近付き止まった。

馬車の家紋はオルコット男爵の馬車で友人の一人クラリータが乗っているとわかった。


クラリータは馬車を止め、私とわかるとすぐに降りて来てくれた。


「エステル!?どうしたの!?」

「クラリータ…」


クラリータは自分のドレスが汚れるのも構わず私を軽く抱き締めた。


「馬車から落ちて…」

「馬車から!?どうやって!?あり得ないでしょ!?」


本当にその通り。

馬車は毎日整備されているはずだし、扉が壊れているなんてちょっと考えにくい。


通りすがりの男性は、馬車の扉や鍵をじっくり見ている。


そして、筒を懐から出し狼煙を上げた。

狼煙を見て、きっと憲兵はすぐにこの場所に来るだろう。


しかし、懐に狼煙を持ち歩くなんてこの方はどなたでしょう。


「…ご令嬢、すぐに手当てを致します。この御者は憲兵に突き出します。」

「馬車に不審な点がありますか?」

「まずは手当てを…」


片膝をついて丁寧な男性はマントを私の肩にかけてそう言った。


御者は座らされて、逃げたいのか立とうとすると男性が腰の剣をスラッと御者の首元に突き出し御者は逃げたら斬られると思っているようだった。


「あの、もうすぐで友人のカントリーハウスがあります。そちらで手当てを致します!」

「クラリータ…」


クラリータはそうしよう!と私に同意を求めるように言った。


クラリータが支えてくれて、クラリータの馬車に乗せてもらい男性にお礼を言う為に窓から顔を出した。


「助けて頂いてありがとうございます。お礼を致しますのでお名前を…」

「…レーヴィです。」

「ウィルクス公爵邸を訪ねて下さい。必ずお礼を致します!」


レーヴィ様は、まるで部下のように頭を下げクラリータの馬車を見送ってくれた。





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