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使用人達の護送

クレイン様に抱えられて玄関に向かって進んでいるが、視線が気になる。

クレイン様の部下らしい方々が皆私達を見ている。


「クレイン様…降ろして下さい。歩けますよ」

「足が赤くなっていたじゃないか…ダメだ」

「赤いだけで大丈夫ですから…」


そう言いながらも、クレイン様はそのまま真っ直ぐに玄関に向かっていた。


「クレイン!騎士団を連れて来たぞ」


先ほどクレイン様にナイフを投げられた方が、玄関から呼びかけていた。


「エステル、あれは友人でもある第2王子のルーファスだ」

「第2王子ですか?ご挨拶をしないと…クレイン様お願いです。降ろして下さい」

「別にこのままでもいいだろ?」

「…恥ずかしいのです…絶対離れませんから降ろして下さい…」


降ろして欲しい。

第2王子の前でお姫様抱っこなんて恥ずかしすぎる!

私はもう17歳なんです!


「離れんなら降ろそう」

「はい」


第2王子はそんな私達のやり取りをニンマリと見ている。

そんな私をやっとクレイン様は降ろしてくれた。

しかし、手を添えられてクレイン様の腕に回された。

どうやら、クレイン様の腕にしがみついておけ、ということだろう。


「君がエステルか。クレインから毎日聞いていた。俺は第2王子のルーファスだ」

「初めまして…エステル・セルウェイです」

「中々帰れず申し訳なかった。俺からも謝罪しよう。詫びも必ずする」

「そんな…もうクレイン様は帰って来て下さったので…」


クレイン様の腕に絡み付いたまま見上げると、クレイン様はまた私をうっとり見ていた。


ルーファス様はそんなクレイン様に街の騎士団長を紹介し、捕らえた使用人達の護送の話を始めていた。


「急なことでしたので、5台ほどしかすぐに持ってこれませんでしたが…」

「構わん。使用人は縛って荷馬車にでも押し込んでおけ。格子つきのものにはチャーリーとブレンダをそれぞれ乗せろ」


クレイン様はてきぱきと指示を出していた。


「エステル、次は使用人達を捕らえている部屋に行くぞ」


返事をするとまたクレイン様は抱きかかえ、歩き出した。


どうやら、歩いてはいけないらしい。


使用人達を捕らえている部屋に到着するとすすり泣きも聞こえ、皆の動揺と恐怖で部屋は満ちていた。


部屋の扉を開けるなり、使用人達はクレイン様に泣きついた。

そして、私を降ろし先程と同じように腕に絡ませた。


「クレイン様お許し下さい!」

「私達は何もしてません!」

「チャーリー様やブレンダ様に従っただけで…!」


すがるように泣きついてくるメイドや下僕達にクレイン様は冷たい目で見下ろした。


「随分俺がいない間に好き勝手していたようだな。エステルを小娘と罵り陰口を叩き、茶の一つ準備したことがないそうだな。玄関を閉めたこともあると報告されたぞ!」


私は玄関を閉められたことは言ってない。

周りを見渡すと斜め後ろにレーヴィ様がいて、しんみりと頷いた。


きっとレーヴィ様が使用人から上手く聞きだしたのだろうと思った。


「エステルの食事を改善した者はいたか!?真に仕えた者はいたのか!?」


クレイン様の冷たい迫力に使用人は、誰も言い返せない。


「エステルを普段から敬称で呼んでいた者はいるか?いるなら出てこい…だが、この場しのぎの嘘なら容赦はしない」


そう言いながら、またナイフをチャキッと出すと、合わせたようにクレイン様の部下の黒ずくめ達は使用人達に剣を向けた。


嘘をついたらどうなるか、想像だけで恐ろしい。


さすがに出てくる者はいない。

普段から私に挨拶なんかしないし、よく聞こえるように陰口を叩かれた。


「あんな小娘なんかとクレイン様が結婚するわけない」

「元子爵令嬢なんか貴族じゃないのに、小娘に仕える必要はない」


と、色々聞こえていた。

私をエステル様と、呼ぶ使用人はいなかった。


「こいつらは全員罪人だ!公爵家に不敬を働き、公爵家を私物化しようとしていた者に荷担していた。全員縛り上げ連れて行け!虚言をする者に容赦はいらん!」


メイドや下僕に料理人達全ての使用人が縛られ、屋根だけある前後左右は見通しの良い馬車三台に次々と押し込まれるように乗せられた。


使用人達は、長期の勾留にはならないだろうが、クレイン様は許さない。


皆が前科者になり、まともな職に就けないだろう。



そして、晒し者のように見通しの良い馬車で街行く人の道を通り、使用人達は騎士団の拘留所に護送された。







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