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お食事

翌日の昼には私はクレイン様の邸に帰り、昼食を摂っていた。


食堂の真っ白いクロスの敷かれたテーブルの向かいにはブレンダ様がワインを片手に昼食を摂っている。


ブレンダ様の昼食はいつも通り豪華で、私にはカチカチパン一つとミルクのみ。


このあからさまな仕打ちは何ですか?


この食事に突っ込むのか、飲んだくれのブレンダ様に突っ込むのか、はたまた執事チャーリーを筆頭に使用人に突っ込むのが先か、それとも私が出ていくのを待ってますか?


「チャーリー、昼食が沢山あるから使用人達にも分けてあげなさい」

「はい、ブレンダ様」


沢山作ったなら私に出して欲しいんですけど。


「ブレンダ様、食費など邸にかかる日常のお金はどこから出ていますか?ブレンダ様のお金ですか?チャーリー、食費はどこから出ていますか?」

「食費もろともウィルクス公爵様であるクレイン様からですよ」

「邸の維持費などはクレイン様からと決まっているでしょう。もの知らずね」


それは、私にと、クレイン様とお義父様が出しているお金だったはず!

私の遺産を使う必要はないと言われて、クレイン様が…。

私に必要なお金は私の口座から出てないですか?

定期的に私のお金としてクレイン様から振り込まれていたはずですよ。


「チャーリー、私にもきちんとした食事をお願いします」

「意地汚いわね。食事なら目の前にあるでしょう」


足も痛いのに部屋に持って来てくれないから、我慢して食堂に来たのに、こんなカチカチになったパンを出すなんて、どうかしてます!


そう思った時に、食堂の扉が声かけもなく勢いよく開いた。


「失礼致します!」


入って来たのはジャンと何故だかレーヴィ様だった。


「お食事中とお聞きしましたが…チャーリー!お嬢様は怪我人だぞ!何故部屋に食事を運ばないのだ!」


入るなり、ジャンは怒りを露にしてチャーリーに詰め寄った。


「こちらに来ましたので」


チャーリーはいつものようにツンとして言い、飲んだくれのブレンダ様はワインを飲みジトリと見ている。


「ジャンさん、この食事を見て下さい!」


レーヴィ様はいきなりジャンに私の食事を指摘していた。


…何故レーヴィ様がいるのでしょうか?


ジャンさん…て、知り合いですか?


「…食事?…!!何だこの食事は!?お嬢様になんて食事を出すんだ!」


ジャンはレーヴィ様に指摘された食事を見て怒りが沸騰していた。


確かにこのカチカチパンにコップ一杯のミルクは驚くだろう。

囚人でもスープぐらいついているんじゃないかなぁ、とか思う。

しかも、目の前のブレンダ様にはスープに三種類の美味しそうなパンにサラダにオムレツにローストビーフに…と一人では食べられないくらい並べられていたのだから。


「レーヴィ様!お嬢様をお部屋にお連れするんだ!」

「はい!」


ジャンはレーヴィ様と言っているけど…この二人はどんな関係!?


「エステル様、失礼します!」


レーヴィ様は言われるがままに私をあっという間に横抱きにして食堂から走って出ていった。


「ま、待って!ジャンー!」

「お嬢様!すぐにこの私がお食事を準備致します!」


ジャンは、レーヴィ様にさらわれるように連れていかれる私に大声で叫んでいた。












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