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1 【AIと人間】

「HISA、サスペンドを解除」


 ヒューマノイド型サポート秘書ロボット。HISAは日本有数のヒューマノイド型ロボットメーカーである株式会社神堂インテリジェンスで用いられているロボットである。


「御用でしょうか。お嬢様」


 AIが生活の中で頻繁に用いられるようになったこの時代では、人間の生活はAIによって豊かなものとなっていた。


「ええ。今日のスケジュールを教えて。それとこの後、新しくできた公園に行くから一緒に来てちょうだい」

「承知いたしました」


 HISAは女性——神堂インテリジェンス代表取締役社長 神堂真紀の言葉に淡々と答える。


「本日は午前中に取引先の会社との打ち合わせ、午後は開発部部長の赤城との会食のみです」

「ありがとう。では、行けるかしら?」

「可能です」


 今は2月の中旬。ブラウスにロングスカートなどという薄着では到底外出などできない。真紀はコートを羽織り、ブーツを履いて公園へ向かった。

 公園までは30分と、かなり距離があるが真紀の申し出により歩いていくことになった。

 しばらく歩いていると、大人と子供が歩いていた。親子だろう。HISAは聴覚機能を強化させた。


「ねえ!お母さん、かっこいい男の人がいるね」


 少女が母親と思われる女性に話しかける。少女が見ているのはHISAだ。


「しっ。あれは人間じゃないの、ロボットよ」

「えっ、ロボットなの!?あぶないね。あたしがお母さんをまもってあるくね!」


 少女は母親を庇うような姿勢となり、再び歩みを進めた。


「エミちゃんは偉いね。そうよ、AIなんていつシンギュラリティーを起こして私たちを襲ってきもおかしくないんだから」


 シンギュラリティー——それは、人工知能(AI)自身の「自己フィールドバックで改良高度化した技術や機能」が「人類に代わって文明の進歩の主役」となる時点のこと。


「HISA,気にすることはないわ」


 真紀はHISAno聴覚強化によって得た音声を聴くことができている。


「ご存知のように自分はロボットです。何も感じません。自分の責務を全うするまでです」

「……そうだったわね……」


 この時代には2種類の人間が存在する。

 1つは、AIと人間の共存を望む者。——真紀もこの中の1人である。

 2つ目は、先程の親子のようにAIを危険視し、忌み嫌う者。


               ***


 会社を出発して15分程度たった。HISAはあることに不安を抱いていた。それは先程の親子の会話である。彼は、もし自分がシンギュラリティーを起こしたら真紀は自分を拒絶するのではないかと()()()()()


(——恐れ?)


 HISA自身『恐れ』という言葉自体の意味は知っていた。恐れという感情を抱くのは心がなければ不可能だ。それが可能なのは動物と——シンギュラリティーを起こしたAIのみである。


(いつ自分は……)


 動揺が止まらない。

——真紀は自分を恐れるのか

——真紀は自分を拒絶するのか


「HISA?」

「——っ!」


 急に声をかけられて音声(こえ)にならなかった。


「い、いえ。なんでもありません。御用でしたか?」

「用ってわけではないんだけど……」


 HISAは彼女が何を言いたいのか察していた。しかし黙ってしまうのも居心地が悪いのでとっさに話しかけた。


「お嬢様、もう少しで着きますよ」


 HISAは少し不自然な気がしたが、何も言わないよりはましだった。

 彼は、もし自分にシンギュラリティーが起きても真紀と共に人間のために働くつもりであった。決して人類に危害を与えるつもりなどない。しかしそれはHISA自身の勝手な想い。真紀がどう思うのか心配だった。

 そう考えていると、公園に着いてしまっていた。

急に世界観変わったけど許してください……

またすぐに戻るつもりです。

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