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Vanishing Village.  作者: 凪沙一人
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消失

「見ていたよ。義娘を助けてくれて、ありがとう。」

「… 俺の趣味だからな。礼を言われるような事じゃない。」

 風壬は村長に促されて縁台に腰を降ろした。

「我らの… この村の事、気づいているんだろ? 」

 視線を合わさずに、風壬は二、三度首を縦に振った。

「なら君に、あの義娘を託しても、いいかな? 」

 そこで風壬は、ようやく村長の方へ視線を向けた。

「16年前、神木に雷の落ちた日に、あの子は現れた。我々は混乱したよ。こんな廃村に赤ん坊なんて、どうしたものかとね。我々が覗き込むと、あの子は笑ったんだよ。人に見えないはずの我々を見て。そして、あの子の屈託のない笑顔を見て我々は育てる事を決めたのさ。義務教育までは何とかなったが、それ以上は無理だ。だから通信制の高校を受けさせた。それでも、この先どうするか。どうやって人の世に返すか。就職となれば村を出ていくだろうか、農家を継ぐと言い出したらどうしようかとね。もっとも八角の奴は本気で嫁にしたいと思っていたようだが。君なら安心して義娘を預けられそうだ。」

「勝手だな… 。だが引き受けよう。だが、この後はどうするつもりだ? 」

 縁台から立ち上がると、風壬は村長に尋ねた。

「確かに身勝手な話しだな。怪異に誑かされたと思って、眼を瞑ってくれぬか? ここは、あの子の成長を見守る為だけに作られた虚構の村。あの子が居なくなれば消えるが運命さだめ。」

「いいのか? 」

「なに、あの子は我らにとっては竹の代わりに神木から生まれたかぐや姫のようなもの。月の代わりに人間界へと帰る日が来るのは覚悟しとったさ。」

 そう口にした村長は、やはり寂しそうだった。

「俺を呼び寄せたのは村長か? 」

「別に君を特定していた訳ではないがな。あの子を狙って導尊がやって来た。我らが騒げば誰か能力ちからのある者が助けに来てくれるやもしれぬと。まさか聖霊が人間に転異して来るとは予想外だったが。」

「… お互い、美樹には内緒だな。」

「そうして貰えると助かる。いずれ、この村の記憶はあの子から消えていくが… もし、遊びに来る事があったら知らせてくれ。その時には、またこの村を作って待っている。」

 村長の差し出した右手を風壬は力強く握り返した。




 数日後、風壬と美樹の送別会が開かれた。名目は大学受験の為に都会の予備校へ通うため。他に知り合いも居ないので風壬が面倒をみる事になったと。村長夫妻はやはり寂しそうにしていた。八角は不機嫌そうだった。智子は少し羨ましそうにしていた。こうして二人は旅立ち、最初から無かったはずの村が一つ、消失した。

Hideland Highschoolと接点のあるような、ないような。本シリーズ次回はどれか他の連載が終わった頃に。気長にお待ち頂けると嬉しいです。

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