シュークリームって響き可愛いよね
だいぶ遅くなりました二話になります、毎話それなりの長さにしちゃうとたいやきさんのメンタルがフラダンス踊っちゃうので短めにしていきたいと思います!!!!!!
どうぞお付き合いしていただけたら嬉しい所存であります!!
後悔していた。
陰鬱だった。
もう何もしたくなかった。
全てが無駄だったんだ。
何もかも上手くいかない。
出来るわけがない。
思考がまとまらない。
家に帰りたい。
帰りたい。
私は人と関わる様な人間では無かった、あの日を境に全てが壊れた、否、否、そんなの言い訳だ、あれは切っ掛けに過ぎなかった。そんな事が起きなくともどうせ全てが壊れていたさ。
私がいくら足掻こうとも一人も護れやしない、関わるだけで悪化する、腐っていく、壊死していく。
鏡に映るあいつはこう言った。
「ーーーーーー」
その通りだ、この世界に存在する意味など初めから無かったのだ。
少し怪訝な顔をしながら佐々木は私の目を見て話す。
「んな事きまってんだろ、ここはガッコー本当にお前大丈夫か?」
こんこんと頭こつく、リアルに心配そうな顔をされて軽く腹が立つ。
「そう言う事じゃねぇよ、俺が聞きたいのはここはどう言う世界かって事だよ」
「んーどう言う世界かぁ、そうだなぁ〜」
深く頭を抱える、佐々木は顔が整ってるせいもあって無駄にこう言うポーズが映えるまるでシャーロックホームズだ。んな事口が裂けても言わないが。
「お前はさ、ムカついたーって思う事あるか?」
「あぁ、今現在ムカついている」
じろりと佐々木を見る
「あぁ、そうかい、じゃあさ俺がお前にやったシュークリーム食べてみ?駅前で買った最高にうまい奴だ」
可愛らしい花の模様があしらったビニールの小包を開ける、ホワイトパウダーがまぶされていてスーパーやコンビニで見る様なシュークリームと一線を画している事がハッキリと分かる。
パクリ、と一口頬張る
サクサクの生地からとろとろのクリームが口の中に溢れ出す、バニラビーンズがとても香り高く、品のある甘さだ。
「美味い、さすが甘党なだけあるな」サンキュ
「だろ!?俺のお気に入りなんだ、ここまで完成されたシュークリームこの街以外どこにも無いぜ!」
「それは言い過ぎだろ、だけど本当に美味しいよ」
「でさ、お前はイラついてるの治ったか?」
「まぁ、多少はな」
「俺はさこの世界はそう言うもんだと思うんだよ、腹が立ったり嫌な事って生きてりゃそら無限に湧いて来るだろうよ、でもさ、本当に美味もん食った時や幸せな事があったらそんなのどうでもよくなる、嫌な事があった分だけ幸せに感じる事だってある。仕事だってそうだろ俺なんかわざわざババーのクレームなんか聞きたくねーよ、でもなこれを乗り越えたらまた可愛い生徒たちに会えるんだその為なら頑張れる、そう言う気持ちが大切なんじゃねーのかなー、それが重なり合って社会や世界が成り立ってるんじゃねーのかなぁ」
「いやー、俺テツガク語っちまった〜照れるなぁ」
ぽりぽりと恥ずかしそうに頬を掻く。
「知らねーよ!てか長ーよ!質問が悪かったな、今って何年だ?」
「本当に頭でもおかしくなっちまったか?それとも未来からきたとか?それなら面白いけど」
「前置きはいいから早く言ってくれ」
「今は2009年だ」
パカリと携帯電話を開いて黒で統一されたシンプルな待ち受けを見せてくれる。
2009年2月2日月曜日16時50分。
どくりどくり心臓がめいいっぱい脈打つ。
全身から嫌な汗が流れ落ちる、喉が乾く。
「あんた達早く仕事しなさい!さっきから喋ってばっかじゃない!」
唐突に甲高い声が響く、振り向くと背が高くモデルのような体型をした女性が立っていた、銀縁の眼鏡をかけキツネのような顔をしている。
「希か!びっくりしたぁ、急に後ろから話しかけんなよ〜」
佐々木が両手を上げて驚いたようなポーズをしてニヤニヤする。
「何ニヤついてるんですか、もうすぐ保護者の方来るんじゃないんですか?」
ぷく〜っと頬を膨らませている、顔に似合わず可愛らしい。
「あっ、やっべもうこんな時間かすまん!ありがとな!ちょっと生徒呼んでくるわ」
ドカドカと走りだしてしまった。結局佐々木は私と話に来てくれたようだ、授業の後様子のおかしい私を心配してくれたのかも知れない。優しい男だ。口が裂けても言ってやらないが。
「ちょっと!!!!まだやってるんですか!!!!じ!!!!か!!!!ん!!!とっくに過ぎてるんですけど!!!!!!!」
ガシャん!!とドアを破壊するかの如く開かれた、撫でたくなるようなサラサラの髪を逆立てそれに似合わない深く優しい色をした琥珀の髪留め付けた、女の子が私に向けて叫ぶ
「す、すまん」
完全に忘れていた、四時半はみさきと図書館に行く約束をしていたのだ。