第十三話 頭のおかしい父親
久々投稿かな?
「して、今日は何用だ?」
店のカウンターに両肘をつき、そちらを見るアレクさんの顔は歪だった。
あのあとカレンちゃんにあんな挨拶を教えた事について、アレクさんとメア師匠の間で口論になりアレクさんが「はっ、これだから凡人は……!」と言ったところ、それにブチ切れたメア師匠がSSランクのステータスでアレクさんの顔を往復ビンタ、手はぐーだったけど。それでアレクさんが泣き喚くがカレンちゃんが慰めて復活。そして今に至る。
「こいつの防具が買いたい、いいのあるか?」
「ふむふむ、この小僧の防具をか……」
アレクさんは僕の体を舐めるように見つめ始めた。
「身長は165センチ弱、体重は50キロ前半といったところか……小僧、お前はまだ駆け出しだな? 体の筋肉に不自然さが少ない」
唖然とした。先程までの顔つきと比べるとまるで別人。
その視線には一切の妥協が感じられず、真剣な表情で僕の身体を見ている。
「バランスタイプ? いや、スピードタイプか……そうなると軽い素材、マルゴース石か? いや駆け出しのことも考えると……」
自分の世界に入ってしまったアレクさん。さっきまでは少し心配だったけど……杞憂で良かった。
「なぁ? 凄いだろ。古今東西、武具店では、クレームが日常茶飯事にある。しかしこいつの店は、経営を初めてから十年、たった一人のクレーム客もでていないんだ。
こいつの目利きは確かで、尚且つ真剣さも伝わってくるからな。普段はあんな態度だが、顧客も多く、その中には古参も大勢いる」
確かに知識とかも凄そうだ。武具素材の名前かどうか知らないけど今もブツブツ呟いてるし。
「ねーねー」
「ん? どうしたのカレンちゃん」
「お兄ちゃん弱そー」
「んなっ!?」
「ひんじゃく」
「そんな言葉誰に教わったの!?」
「おとーさん」
おいコラ、子供に何教えてるんだアレクさん。
「僕はこれから強くなるんだよ?」
「うっそだぁー。ひんじゃくだもん」
「ひんじゃくも強くなれるんだよ?」
「ほんとー? じゃあカレンも強くなれる?」
「う、うーん、多分、強くなれるんじゃないか……な?」
「おとーさんがカレンはひんじゃくだからおよめにいくな、しょやにたえられないっていってた」
流石にダメだろ!? 子供に何教えてんだ、あの人。
「どういうことー?」
「え、えーと。うん、カレンちゃん、おとーさんにいわれたことは全部忘れようね? 嘘つかれてるから」
「おとーさんうそついてるのー?」
「そうそう」
「なんでー?」
なんでと言われてもな、カレンちゃんのことを思ってしたんだろうけど……
「えっとね、カレンちゃんが嘘を信じてるのを見て、アレクさん面白がってるの」
「むき──!!」
僕の嘘にカレンちゃんは頬をパンパンに膨らませてアレクさんを数十秒間じーと見つめた後、プイッと顔をそむけた。
「ふむ……まぁこのウィンカー石主体にゴリカ鉱石少量混ぜれば……よし、小僧」
「あ、はい」
「取り敢えず……ってなんでカレンと一緒にいるんだ、殺すぞ。カレ〜ンこっちにおいで〜」
「……おとーさんきらい」
「……ん? すまんカレンもう一度言ってくれないか」
「おとーさんきら──」
「おおっとぉ!? それ以上いうなカレン俺のメンタルにクリティカルヒットして即死する」
「おとーさんだいっっっっっ嫌い!」
「………………」
あれ? なんも言わない……どうしたんだろ。
……あ、死んでる。
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