2話
さて、今まで話してきた事はお母様が何故この土地に来たのかでしたね。では、次のお話は何故私たちが二人暮らしだったのかを話します。まぁ、簡単なことお父様がわたしが産まれる前に死んでしまったみたいだからです。
何故そんなにあやふやなのか、それはお母様がお父様のことは一切、話してくれないからです。聞こうと思った事もありますよ?けど、いざしようとしたら急に違うことを思い出したり、何を聞くつもりだったのか忘れたりして、しばらく経ってからまたふと思い出すんですよ。それを幾らか繰り返したらどんなに鈍くても分かります。ああ、お母様は聞いて欲しくないんだな。と。
それが分かっちゃうと聞けませんでした。なので、そんなにも話したくない訳を考えたら話したく無いぐらいの辛い過去だった。てことは、死んでしまったか別れなければいけない何かがあった。けど、別れたのならばお母様は気持ちが落ち着いたら話してくれるだろう。とすれば、死んでしまったのかなと結論を出しました。まぁ、死んでいなくてもわたしが産まれる前でも十数年あるのに連絡や接触がないとはつまり、もう関わる気がないのでしょう。それに、わたしが産まれていることも知らないのでしょう。
となると、わたしにとっては赤の他人。気にしなくてもいいのです。と、ここまでがわたしの半生と自己紹介でした。後は後々お話しさせていただきますね。あ、丁度ベリーの生垣に着きましたね。では、早速摘み採ります!あまり、採りすぎると野生動物の餌が無くなりますので今日のケーキの飾りとジャム中瓶一つ分になったら帰りましょう。あまり、遅くなると夕食にケーキが間に合わなくなってしまうので。
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必要な量を摘み終わり、帰ろうと思って振り返ると後ろに男性が倒れていらっしゃいました。
皆さん、ん?は?ってなってますでしょう。わたしもです。
前振りもなく、唐突ですみません。
けれども、わたし自身混乱しています。出会いの神様、何故こんな所に男性を置いたのですか。もう少し先に家への通り道で川があるじゃないですか。
そこなら、あまり混乱せずに対処できるのに。その少し手前には開けた空間があるからそこでも良かったじゃないですか。
なんで、わたしのすぐ後ろなんですか。普通に考えてもう少し特別な出会いにするでしょう。
えーこれどうすんですか。えー。
「………おなかすいた………。」
えぇ……。