1話
初めまして。序章を読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。初めて小説というものを書かせていただいております。なので、拙く文章もちゃんと成り立っておりませんが少しの間お付き合いいただけましたら、幸いです。誠に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
こんにちは、皆さん。アルミリヤ、今日で12歳になります!2年前にお母様が亡くなり、今までずっと一人暮らしだったのですが、やっと小慣れて来た気がします。
最近では、料理のレパートリーを増やしたいのでパイ料理に挑戦しているんですよ!ふふん!っと話が逸れたのですが、先ほど言った通り今日はわたしの誕生日です。2年前までは母が居たので一緒にお祝いして居たのですが、死んでしまったのでわたし一人でお祝いします。寂しいですけど、寂しくないですからね。
今日は朝から材料を採りに行きます。夕食にお祝いをするので、ご飯の材料はあらかじめ買い置きしています。今からは、ケーキに使う果物を採りに行くつもりです。わたしが住んでいる処が森の奥深くなのでちょっと探索すると野いちごとかクルミとかの木の実がすぐに見つかるんですよ。前に探索した時は艶々とした黒いベリーを見つけました!
このベリー、育てられた物と違って甘さが酸っぱさに負けてないんですよ!
売り物は酸っぱくて嫌いじゃないんですけど、好きでもないんですよね。チョコレートケーキならあれぐらいが丁度良いんですけど、今日はフルーツタルトなので今回は止めておきます。またの機会にしましょう。
さて、ベリーが生っている場所まで距離があるのでわたしの自己紹介でもしておきましょうか。この世界は色彩豊かに構成されています。なので、皆さん髪も肌も目の色も様々なんです。金髪に碧眼、赤髪に金眼とか青髪に薄紅の眼とかね。そんな中わたしは、黒髪に青眼なんですよね。何というか、黒髪青眼はお母様から継いだんだと思います。お母様は黒髪に翠眼でしたけど。お母様はとっても偉大な魔女でした。お母様の一族では稀代の天才だと言わしめた程です。得意な薬草育成に加え、空地火水全てに干渉できるすごい人なのです。これが何故すごいのかというと、自然に干渉できる方はこの世界ではほぼ、いえまずいないでしょう。水や火を出したり点けたりをできる人はいるでしょうけど、お母様は風と熱を操り雨雲を造ったり地と水を操り遠いところから水脈を引っ張って干からびた土地を再生したりするんですよ。こんなことが出来る人はお母様以外に居ないです。ね、すごいでしょ!
そんな人から産まれたわたしは魔女としての資質は十分でした。髪は黒、代々魔女の家系では一般的な青眼、もうすっごく期待の星だったんですけど、わたしには魔女としてあるまじき欠点がありました。それは、魔力の素質が見つからなかったんです。
魔女から産まれた子はどんなに弱くても魔力の素質が絶対に見つかります。じゃなきゃ、魔女は子が出来ないからです。魔女は魔力を持つ者以外と子を作ろうとしても絶対に子は出来ません。身体の構造がそうなっているからです。普通の人でも魔力の素質が見つかる人もいます。魔女は魔力を持つ者同士でしか子を作れないので、一族で好い人が見つからなくても外から魔力を持つ者を見つけてきて結婚したり、子だけ作ったりします。一族も一部の者を除いたら、血が継がれるならどういう方法でも良いという家系が多いですからね。なんとでもなるのでしょう。
さて、わたしの話なのですが伝説級の魔女から産まれた無魔力のわたしは当然一族の出来損ないという烙印を押されました。ですが、伝説級の魔女の子です。たとえ、わたしが無魔力でもわたしの子は優秀な遺伝子を継ぎわたしが無魔力な分お母様並みの魔力を持つ子かもしれないので一族的にはわたしは無魔力でも美味しいのです。なので、わたしに子を産ませて自分達の家系を盛り上げようなどと考えた者達を恐れたお母様は一族から逃げ居場所が割れないように旅を続け、遠く離れた森の奥深いこの土地に移り住んだのでした。
補足説明
魔女一族: 魔女と呼ばれる者達の総称。魔女の中には男も存在するが、そちらは乳離れをしたら親の手を離れ一般の家庭に預けられる。なので、普通の人間から産まれた魔力持ちはその子孫が多い。
家系: 一族の中でも個々の血の繋がりがある者達。魔女が女しか居ないので、跡継ぎなどは関係ない家系から離れると決めた者以外は其々が持つ家に居る。むしろ、長子以外は割と束縛的な婚約はされないので子を産みたければ産み、産みたくなければ産まないでも良いので家に縛られずに居られるため出て行かない者が多い。