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龍の国の女帝  作者: 一希
出来損ないの魔女
1/5

序章

 




 ーーー昔々あるところに大きな国があった。






 その国は龍達により造られた国だった。

 水脈は潤い川に水が途切れることなく流れ、野畑は草木で溢れ多種多様な作物が採れる。様々な鉱石が埋まっている山々に囲まれ、他国との国境は厚い木々の壁により自然の国璧ができていた。





 そのため国は栄え、永きに渡り繁栄を保っていた。そんな金なる木の大国を他のは王達が手を出さないはずがない。特に人間の王達は、この大国を欲しがった。近隣諸国は兵を次々に送り侵略しようと試みた。





 だが、どの国もこの大国を侵す事は出来なかった。なぜなら、国境沿いに繁茂する森林に足を踏み入れ、前進するも出口は毎回最初に入ってきた場所なのである。また、木々を切り開き進行した国の軍隊は一寸の先も見えない霧にたちまち囲まれたのち、恐ろしい幻影により惑わされ命からがら逃げ帰るのである。そして、切り倒された木々はまた元の姿に戻り大国を守るのであった。

 




 これらから、大国は近隣諸国から恐れられ誰にも侵せない『龍の国』として畏怖されるのである。


 







 さて、少し話が変わるのだが、この大国の正式名称はハルフィリア帝国であり、治める者は龍帝と呼ばれ龍達を纏め上げている。だが、この国の名は他国は知らない。それは何故か、その答えは龍達の性質によるのかもしれない。





  長命で、膨大な魔力と如何なる生物も敵わない武力により人間ができるよりも前、龍達がまだこの大国の外にもたくさん存在していた時代、龍達には仲間内の争いが絶えなかった。





 龍達は長期戦に入りいつになってもつかない決着に心も体も疲弊していた。



 そして、争いが始まって以来の大きな戦が行われようとしていた。

 この戦いで、全てが決まるように。終わるように…。








 だが、()()は突如として現れた。






 龍達が昼に始まる戦に備え、体を休めていた早朝、あたり一帯は目も開けられぬ程の光に包まれていた。得体の知れない閃光に龍達が硬直していると光は徐々に収まった。


 恐る恐る龍達がテントから外に出るとそこには夜の暗闇を、その光をもって照らす満月のようななめらかな銀糸に、朝焼けの紺と紅の境目にできる儚げな紫色に夜空に輝く星々をちらした眼をした少女がいた。






 『私は、父となる主神の命で舞い降りました。主神は、ーー《もう龍達の争いで龍の心も地も荒れ果てる様を見てられぬ。この世に龍以外のものを創る。そこで、龍達がまだ争いを続けるというなら龍達を消すことにした。争いを止め、協力して行きて行くというなら龍達だけの国を創ろう。何ものにも侵されない国を創ってやろう。》ーーとおっしゃいました。

 お願いです。どうか、考えて。貴方達は、主神が創った生命体の最高傑作です。主神は、貴方達が手を離れ自分達で生活し始めた時、とても喜びました。

 そんな主神の……、父の喜びを感じて私も幸せでした。ですが、貴方達が争い始めた時父は悲しみ苦しみました…。私はあんな父の姿をもう見たくないのです。だから、お願いです。どうか、どうか考えてくれませんか?』

 





 少女はそう言いながら涙を流した。痛ましい、幼気な少女が涙を流している姿を見た龍達は停戦協定を結び、其々の長が集まった。少女の説得のもと長達は話し合い、和解し自分達の国を造る事を決めた。少女は主神から龍達の国造りを手助けする様に命を承っていた。なので、長達に協力を申し出て国造りに手を貸した。そして、少女は長達と試行錯誤を繰り返しながら今のハルフィリア帝国を造ったのである。





 少女は、国を造りながらある若い龍と恋仲になった。龍は若いながらも長を務め自分の民達を守っていた。今回も民が平穏に暮らせるならばと少女と長達の間に立ち少女の補佐をしていた。



 そんな龍の誠実で実直なところに少女は惹かれていった。また、龍も自分達の国造りに全力を尽くして取り組んでくれ、知恵も力も惜しまずに注いでくれる少女に惚れ込んでいた。





 少女と龍は夫婦の契りを交わし子を作った。





 ハルフィリア帝国の皇の座には、少女と龍の子が就き国を治めた。建国の女神と崇められた少女と龍の子孫の繁栄を祈って。



 そのためか、皇の座に就く者は少女の面影を継ぐ。なめらかな銀髪に朝焼けの紫の星々が煌めく眼を。



 それは、長子でも末子でも関係なかった。何故なのか、数多の研究者達が調べても分からなかった。



 ただ、少女の面影を継ぐ者が治めた世は平穏である。それだけが、事実だった。







 今世の皇も少女の面影を継ぐ者だった。だが、この皇は歴代の皇が妻を持ち次代を作っている歳になっても、妻一人、子一人持っていなかった。



 これに焦りに焦った臣下達は、国にいる婚姻適齢者を次々に皇に会わせ嫁候補を作ろうとした。


 しかし、皇はこの行動に全くもって興味を示さなかった。皇は、最初は気にしもかけていなかったが臣下達の次代の催促にだんだんと無視できなくなり、遂には折れ、臣下達に言った。





「よかろう。そんなにも余の次代が欲しければ、余の至宝を見つけて参れ。傷一つ無く保護し、余の元に連れて来たのならば、次代をやろう。」






 臣下達はそれを聞いて、嬉々として世界各国に名のある武人達を送り出した。





 少女と龍達が国を造り上げてから丁度1万年である。

 


 


 


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