傭兵団
「そんなわけで、協力してほしいんだけど」
昼。獣人族の縄張りに辿り着いたオレは、ネェイに切り出した。
ネェイは獣人族の傭兵団長だ。傭兵団長なんていかつい肩書きの割に、可愛らしい猫耳をしている。
「話は分かったけど、ギャラは?」
「前金で五万ゴールド、上手くいったら追加で五万ゴールド払う」
けっこう奮発した。それだけ、ネェイは欲しい人材である。
「悪くはないわね。けど、勝てるの?」
「勝てる」
即答した。
「ジャングル戦でダークエルフや獣人が、人間に負けるわけない」
「それには同意だけど。数が違うでしょ?」
「そんなの戦い方しだいで、どうとでもなる」
「具体的なプランは?」
「従来のような、正面切っての戦いはしない。伸びきった敵の補給線を徹底的に叩く」
「ふんふん」
ネェイは頷いた。機嫌がいいのか、大きく尻尾を揺らしている。
「そうして敵を撤退させ続け、常勝の実績を作り、旧魔王軍の連中を集める。勝ち馬に乗ろうとするヤツは、たくさんいるだろう。魔王様の仇討ちという、分かり易い大義もあるしな」
「そう言われると、行けそうな気がするわね」
「行けるさ」
握り拳を作って、力説する。
「オレの創る新しい魔王軍に、魔法軍団とかは必要ない。重たい鎧や、盾なんかもな」
「どういうこと?」
「ゲリラ戦において重要なのは、機動力と隠密性だ」
「ってことは、つまり――」
ネェイは考える素振りをした。
「オレが組織する軍では、軽装弓兵を主力に据える」
「重装歩兵とか、騎兵じゃなくて?」
「ああ。最新の強弩を装備した、軽装弓兵だ」
「なるほど。それであたしらに、声をかけたってわけね」
納得してもらえたらしい。理解が早くて助かる。
「そうだ。獣人は目の良さと素速さにかけては、ピカイチだからな」
「最新の弩っていうのは?」
「従来の弩とほぼ同じ重さで、射程も威力も倍近くある」
「凄いじゃない」
「ああ。だから、負けるわけがないんだ」
握り拳を固くする。かなりの自信があった。
「分かった。この依頼、受けるわ。くれぐれも、あたしらを後悔させないでよね」
「もちろんだ」
頷いて、ネェイと握手した。
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