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異世界恋愛系 作品いろいろ

かつて私には婚約者がいたのですが、浮気され、その関係は終わってしまったのでした……。~穏やかな幸せを手に入れられて良かったです~

作者: 四季
掲載日:2026/05/15

 かつて私には婚約者がいた。

 その青年の名はアブリ。

 学園卒業の日に「ずっと気になっていた、婚約してほしい」と言われ、話し合いをした後に婚約し、特別な二人となったのだった。


 ……だが良い関係は長続きはしなかった。


 婚約してから一ヶ月半も経たないうちにアブリがラーラという女性と浮気していたことが発覚。それは両家の間で問題として持ち上がる。両方の親も交えて話し合い、アブリは謝罪、ラーラとは関係を終わらせると言った。


 それによって関係は継続することになった。


 しかしアブリは凝りていなかった。

 謝罪から一ヶ月ほどが経った頃からリーナという女性――彼女はラーラの妹だったのだが――と浮気していたことが明らかになる。


 二度目の裏切りに激怒した私の父は、アブリに対して婚約の破棄を告げた。


 だがアブリは謝罪しなかった。それどころか「悪いのはあんたの娘じゃん、地味だしパッとしねぇし。そんなだから俺が悪人になってまで浮気しなくてはならないんじゃん」などと言ってきて。この時のアブリは『自分は悪いことはしていない』といったようなことばかり言っていた。自身の罪に目を向けることを、彼はもう一切しなかった。


 こうして私たちの関係は終わりを迎えた。


 アブリの両親は謝罪してくれ慰謝料も払ってくれた、そこだけは幸運だったと思う。

 けれども、婚約が破棄となった後しばらくの間アブリは私の悪口を言いふらしていたようだったので、非常に不快だった。


 ……ただ、それも、やがて終わりを迎える時が来る。


 周囲には私だけが悪いかのように話していたアブリだったが、ある時リーナと二人きりで過ごしているからと油断して「あんなダサい女、切れて良かったわ」とか「周りのやつらもさ、馬鹿だよな~、俺の言葉信じて俺には一切非がないとか本気で信じてやんの」とか言っていたところを友人数名に目撃されてしまい、それによって嘘をついていたことが明るみに出た。


 その結果、アブリは居場所を失った。


 婚約者が悪いのだと嘘をつき、裏では周囲の人たちのことを馬鹿にしている――そんな男に友好的に接する者なんているわけもなく、アブリはあっという間に孤立していった。


 そしてやがてリーナにも振られてしまう。


 知人や友人たちにも好きな人にも構ってもらえなくなってしまったアブリは、急速に心を病み、ある日の晩に家の近くの崖から身を投げるという形で自らこの世を去った。


 婚約者であった私を二度も裏切り一切反省せず悪口を広めるなどという悪行にまで手を染めたアブリは呆気なくこの世界から去っていったのだった。


 ちなみに、ラーラとリーナにも、幸せな未来は待っていなかったようである。


 ラーラは後に怪しい青年に惚れてしまったらしく、彼のために家の資産を使い込み、その結果両親から縁切り宣言をされてしまったそうだ。


 リーナはアブリを振った数年後飲み屋で知り合った十歳以上年上の男性と親しくなったそう。

 しかしその男性が実は既婚者で。

 それでも関わりを続けた結果、揉め事に巻き込まれることとなり、男性の奥さんから強く責められてしまったのだとか。

 その男性とはそこで別れることとなったのだが、その後も同じようなことばかり繰り返していて――そんな中で、怨みから発生した事件に巻き込まれ、路上で襲われ落命するという最期を迎えたようであった。


 アブリも、ラーラも、リーナも、光射す道を歩むことはできなかった。


 だがそれはある意味そうであるべきなのだろう。

 彼らは他人を傷つけるようなことをした人間なのだから。


 心ないことをしておいて自分だけ幸せになろうだなんて強欲過ぎる。



 ◆



 あれからどのくらい時間が流れたのだろう。

 もう数えきれない。

 けれども確かなことは穏やかな日常の中で生きてきたということだ。


 ――私は良き夫と共に幸せに生きてきた。


 夫となってくれた彼アンバールは優しい人だった。

 彼とだからここまで来られたと思う。

 いろんなことがあったけれど乗り越えて歩んでくることができたのは彼の支えがあったからこそ。


「みかんジャムを作ったぞぃ」

「ホントに!?」

「ああ、前美味しいと言ってくれていただろぉい? だからまた作っておいたんじゃぁ。また食べたいと言ってくれておったからのぉ」


 私は七十歳、彼は七十二歳、三人の子と十人以上の孫がいる。


「あとな、今度孫たちが来るじゃろ?」

「ええ。その予定よ」

「だからのぉ、ロロイとナナハンとママリアが前に好きだと言っておったいちじくジャムも作っておいたぞぉい」

「ああ、あれね! 美味しいわよね」

「ミミラとハハナとリリアンとミレレナが瓶丸ごと食べたいちごジャム、ネネリアとヤヤレンとレニニマが気に入っておるアーモンドミルク味のペースト、ランババとエレネネとナッタタがまた食べたいと言っておったりんごキャラメルペーストも作っておいたんじゃぁ」

「それは素敵ね! 色々準備してくれてありがとう」


 決して迷わない。

 過去の悲しい記憶などどうでもいい。


 今、確かに、ここにある温もり。


 それだけを見つめ。

 それだけも護って。


 そうやって生きてきたし、これからも、そうやって生きていくつもりでいる。


 可愛い孫たちに会えることが最高の幸せ。


 ちなみに。

 ロロイとナナハンは十五歳、ミミラととママリアは十四歳、リリアンは十二歳、ネネリアとヤヤレンは十歳、レニニマは九歳、ミレレナは八歳、ランババとエレネネは六歳でハハナとナッタタは五歳だ。


 彼ら彼女らの成長が楽しみでワクワクが止まらない。


「じゃ、トーストを焼くわ」

「ジャム使えぇい!」

「そのつもりよ。……先に二人で楽しんでしまいましょ」

「そうじゃのぉ、名案じゃのぉ、ふっふっふぉふぉっふぉふぉん……楽しみでよだれが垂れそうじゃぁ」



◆終わり◆

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