表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才的だけどコミュ障な女子高生が、数学部で仲間たちと切磋琢磨しながら過ごす3年  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/124

問い納めの夜、わたしが選んだ“なぜ”

冬休み直前・数学部の恒例行事

12月下旬、終業式の前日。

部活動としての“締め”を飾る行事──


『問い納めの会』

=部員それぞれが「今年最後に考えたい数学の問い」を1つずつ発表し、

自由に語り合う。


会場は、暖房のきいた静かな部室。

チョコレートとマシュマロ入りのホットココアが用意され、

ホワイトボードの上には「問い納め2025」と書かれていた。


順番に発表される“問い”

2年の先輩・日下の問いは、


「“無限”は本当にあるのか?」

という、哲学的な命題。


1年・葵の問いは、


「なぜフィボナッチ数列は、花の構造に現れるの?」

という、美と自然に関するもの。


そして──


紅葉の番。彼女の問いは静かだった。

「わたしの問いは、

“なぜ、数学に惹かれるのか?” です」


一瞬の沈黙。

でも、日下も葵も、すぐに静かにうなずいた。


紅葉はホワイトボードに、丸く優しい文字で書いた。


「数学はなぜ、人を魅了するのか?」


プレゼンではなく、語るように

紅葉:「私、たぶん“問いを愛してる”んだと思います。

解ける問題より、“わからない問題”に心が引かれる。

……不安定で、終わりがないのに、それでもずっと考えていたいって思う」


日下:「……それ、“答えがない”ことを恐れてないってことか」


紅葉:「むしろ、“答えが出た瞬間”にちょっと寂しくなることもあって。

この問いを考えてる間は、世界がずっと続いていくような気がするんです」


葵:「だから、紅葉のノートっていつも余白が多いんだね。

“考えるスペース”を残してるんだと思う」


紅葉:「……うん。考えるって、“対話”なんだと思います。

問いと、数学と、自分と」


会の終わり──紅葉の記録

紅葉は、ノートに静かに書きつけた。


■2025年・問い納め


「数学はなぜ、人を魅了するのか?」


答えは、出ない。

出さないまま、生きていくのかもしれない。


でもその“考え続ける過程”こそが、

わたしにとっての、数学の“解”なんだと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ