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ヤバイ奴ら・・・に出会う前の俺

作者: 辰年の蠍座

人見知りで無口な男がヤバイ奴らに出会う前の話

■街の不良

ジャラジャラと不良の全身のいたるところに存在している鎖が音を鳴らす。

全身鎖人間が俺に向かって言う

「おい。お前、俺と組め。俺はここらへんじゃ一番強い。損はさせねえ」

「お前の噂は聞いてるぜ」

「仲間を売らない為に自分で舌を半分以上切って喋らない覚悟を見せたらしいな」

「イカレてるぜ。最高にクールだ。そんな相棒が欲しかった」

「密告者や裏切り者には素手で舌を引き抜くらしいな。ヤバすぎだぜ」

「うっ。体調が・・・どうやら俺は金属アレルギーらしくてな」

「このままじゃ命の危険があるそうだ」

「最後に一花咲かせてえんだよ。どうだ?俺と組まねえか?」

「だんまりか・・・分かったよ」

「いや、分かってた。俺なんかじゃお前の相棒にはなれない」

「格が違う。お前はもっとヤバい奴の相棒になるべきだ。じゃあな」


■俺の心の声

「自分で舌を切るアホがいたらもうこの世にいないだろ!」

「仲間を売らない為に自分の舌を切るって何?フィクションでも見ないよ・・・」

「俺は全くイカレてないよー、むしろ周りがイカレすぎてて怖いよ」

「素手で舌を引き抜ける人いるのかな?見たくないし、会いたくないけど」

「金属アレルギーって分かってるなら外せよ」

「何で原因が分かってるのにあえて全身に着けてるのかが理解できないよ」

「死にたいの?」

「鎖を外して長生きしなよー」

「あの人よりヤバい人を実際に知ってるから嫌なんだよなー」

「自分は一人が良いので相棒はいりません」


■金属バット

カキーン。カキーン。と快音を響かせるバットを振っている男に呼び止められた。

「よう。調子はどうだ?」

「ふっ。相変わらず無口だな」

「いや、悪いことじゃねえ。なんでもかんでもペラペラ喋る野郎は信用できねえ」

「なあ、どうだ?俺とコンビを組む話は考えてくれたか?」

「俺は自分で言うのもなんだが、ヤバイ奴だぜ?」

「この前、バッティングセンターへ行って160キロをホームランだ。凄いだろ?」

「このバットがあれば俺は無敵さ。いや、違うな」

「お前とバットがあれば鬼に金棒だ?違うか?」

「ふっ。分かったよ。道具に頼る奴とは組めないんだろ?」

「お前は素手が基本だもんな。悪いな呼び止めて」

「だが、気が変わったらいつでも声を掛けてくれ。待ってるぜ」


■俺の心の声

「メジャー行きなよ!マジで!」

「なんていうか普通のスポーツマンなのよな」

「ていうか俺とメジャーに行きたいっていう話なのかな?」

「比較的まともな人なんだよね」

「この前、人の悲鳴と金属バットの快音がしたけど、まさかね・・・」

「素手が基本て何の基本?」


■ナックル

シュッ。シュッ。とシャドーボクシングをしている男が隣に来た。

「よう。奇遇だな。ランニング中でよ」

「俺の拳はまだまだ成長しているんだ。こいつを食らえばどんな奴も一撃さ」

「お前を除いてな」

「どうだい?決着をつけるかい?今、ここで」

「・・・ふっ。今の俺じゃ、まだまだってところか。お見通しなんだな」

「以前の俺は調子に乗っていた。お前と出会ったことで世の中の広さを知ったよ」

「俺の最速のジャブをお前は見切っていた・・・」

「最初から当てる気は無かったが、何のリアクションも無いのはショックだったよ」

「眉すら動かさねえ。度胸だけじゃ無理だ。身体が勝手に反応するからな」

「じゃあな。チャンピオン。俺が自信を取り戻すまで、誰にも負けんなよ」

「負けるわけないだろうがな・・・」と言って去って行った。


■俺の心の声

「うん。いつでも殺されちゃうな」

「一撃で」

「ジャブの前から俺飛んでたからな(脳が考えるのを止め、死んだように動かなくなるやつ。※注。意識は飛んでいない)

「あんたがチャンピオンだよ」

「プロボクサーになって成功してほしいよ」


■死神

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「やるか?ついに?」

「・・・」

「やらないのか?」

「・・・」

「・・・」


■俺の心の声

「この人、ヤバいらしいけど・・・」

「お互いに喋らないから何にも発展しないんだよな」

「なんでもどっかのマフィアお抱えの殺し屋さんらしいんだけど」

「噂では姿を見ただけで殺されるらしいんだけど・・・」

「あれ?でも、それだと噂が流れないから・・・」

「ま、まあそうだよね?」

「さすがにね?」

「手に暗器みたいの持ってる・・・」

「さよなら!」


■ボスの右腕とボスの息子

「ガハハハッ。お前か。人の舌を素手で引きちぎる奴ってのは?」

「自分の舌も切ったんだろ?イカレてるよ。俺はそんな奴が大好きだ」

「何て呼べば良い?ああ、そうか、無駄なお喋りはしないんだっけか?」

「良いことだ。無駄口をたたくやつは信用できん」

「え?俺が今無駄口をたたいてるって?ガハハハッ。確かにな」

「ああ、そうだった。お前をスカウトに来たんだった」

「拒否権は無い。というか、お前にはこの生き方しかない。違うか?」

「舌を引きちぎり保管している奴なんてヤバすぎる」

「その力と仲間を売らない忠義を俺達の組織で活かせ。お前のためだ」

「ほれ。この方が俺のボスのご子息だ」

「お前の相棒になる。お前を俺に推薦したのはこの方だ」

「お前の信じられないような逸話を聞いてな」

「俺は絶対にお前が欲しいと思ったんだ」

「さあ、詳しい話はアジトでしよう。車に乗れ」

「ボスには機会があれば会える。まあ、すぐさ」

「お前はヤバイ。ヤバイ匂いがプンプンしてやがる」

「俺には分かる。ご子息とお前が新しい組織を築いていくのが」

「さあ、出発だ。舌抜きのジョー」

「いや、パーフェクトサイレンサー(完璧なる沈黙者)の方が良いか?」

「ガハハハッ」


■俺の心の声

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(意識が飛んでいる)」




fin.

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