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【第4話】 『魔纏』

 ロビンとアリスは男にお礼を言う。

「助かったぜ。ありがとう。」

「ありがとうございます。」

「いやいや、先輩としての責務を全うしただけさ。」

男は謙虚しながら団員の治療をする。

「そういえば、まだ名前を言ってなかったね。僕の名前は村崎むらさき 樫茂かしも。階級は仙級だ。よろしく頼むよ。」

「俺はロビン・アポローヌだ。」

「私はアリス・クローヴァーです。」

「いい名前だね。君たちは幼馴染みかい?」

「まあ、そういうところです。」

樫茂の質問にアリスが答える。

「それじゃ、状況を教えてくれないかい?」

「たしか、1時過ぎくらいに観測員から連絡が入りました。私が駅についたのは15分後くらいですね。そこから少し持ちこたえてロビンに救援を頼んみました。確か、1時40分くらいですね。」

「なるほど。」

樫茂は顎に手を当てる。

「後のことは僕に任せてくれ。君たちは帰って休むといい。」

「いえ、仕事なので最後までやりますよ。」

「でも君たちは負傷している。先輩として、負傷した後輩に仕事を任せるわけにはいかない。」

「わかりました。ありがとうございます。」

「悪いな。」

2人はお礼を言い、その場を離れた。


 家に帰る途中、スマホにメールが届く。送り主は昨日の人物だ。

「どうやら今日、駅に魔獣が現れたみたいだね。悪いが集合場所を本部の集会所に変更させてもらうよ。時間は前と同じ18時だ。もし疲れているのなら、少し遅れても構わない。」

まるでこちらの行動を知っているかようなメッセージだ。

「なんで昼のことを知ってるんだ?」

疑問に思うロビンだが、昼間の疲れで家に帰ることしか考えていない。ロビンは足を引きずりながら家へと向かった。



 帰宅してすぐ、ロビンはシャワーを浴びる。肋骨を骨折したが、アリスの治療魔法ですぐに回復した。内臓の損傷も治療したが、特に違和感はない。

 シャワーを終え、ソファに寝転ぶ。現在の時間は2時半を過ぎたくらいだ。

「疲れた……。」

ロビンはいつの間にか眠ってしまった。




「……んぁっ…?」

ロビンは目を覚ます。時間は5時を過ぎていた。

「やべっ、寝坊するとこだった。」

ロビンは急いで着替え、集会所へと向かう。



 大魔統制会集会所。魔道士たちが集まり、戦闘の疲れを癒す憩いの場(?)である。ロビンは集会所で飲み物を飲みながら待っていた。疲れた体に染み渡る。

「君がロビン君かな?」

突然後ろから声をかけられた。振り返ると、そこには1人の男が立っていた。いかにも高身長イケメンという言葉が似合う容姿をしていた。

「ん?そうだけど。」

「やっぱりか、会えて嬉しいよ。僕は神宮寺じんぐうじ 春蘭しゅん。気軽に春蘭と呼んでくれて構わない。あぁ、君の自己紹介は必要ないよ。」

春蘭はロビンの反対側に座る。

「さて、会ってそうそうだが食事にしよう。着いてきてくれ。」

「……どこで食べるんだ?」

「君の要望に答えて、お寿司を食べに行くよ。ちなみに、僕の奢りだからね。」

「あの話はマジだったのか……。」

ロビンはそんなやりとりを思い出した。


寿司屋前……

「なぁ……。」

「なんだい?まさか……不満だった?」

「いや、別に不満はないけど……ここって、街一番の高級寿司屋だよな?」

「うん、そうだよ。それがどうかしたのかい?」

「人に奢るために来るような場所じゃない気が…。」

「遠慮しなくていい。お金ならいくらでもある。」

「……お前は金持ちのお坊ちゃまなのか?」

「まあ、そんなところかな。」

 店内に入ると、この店のシャリの独特な匂いがする。

「らっしゃい。」

「大将、予約した神宮寺だ。」

「あいよ、あちらの席だ。」

2人は大将が指さした席に座る。

「何を注文する?」

「そうだな……。おすすめは?」

「今日は大トロとウニだな。」

「んじゃ、この海鮮まとめ1を1つ。」

「僕も同じもの。」

「あいよ。」

注文し終えると、春蘭がロビンに話しかける。

「さて、寿司が来るまで話をしよう。」

「その前に、お前が何者か教えてくれよ。」

「君は冷静だね。」

「当然だろ。知り合ったこともないのに、急にメールがくるんだぜ?恐怖以外の何がある?」

「そうだね。……改めて自己紹介しよう。僕は神宮寺 春蘭。君と同じ魔道士だ。階級は伏せさせてもらう。」

「なんで?」

「僕の階級を公にすると、少々面倒なんだ。」

「そうなのか…?俺はロビン・アポローヌ。階級は中級。」

「自己紹介も終わったし本題に…」

「へいおまち。」

大将が寿司を持ってきた。

「お、きたきた。ありがとう。」

大将は調理場に戻る。

「……本題に入ろう。君を呼んだのには理由がある。」

「理由もなきゃ呼ばねえだろ。」

「はは、そうだね。」

春蘭は真剣な表情で話を続ける。

「君に質問したいことがあるんだ。君は『魔纏まてん』というものを知っているかい?」

「『魔纏』?聞いたことないな。」

「体の一部や物に魔力を纏わせることだ。駅前での戦いで、君が使用したって聞いたよ。」

「聞いた感じた、それっぽいことをした気が……って、なんでそのことを知ってんだよ!?」

「本部でそのことを耳にしてね。君が魔纏を知らないということは、意図して使ったわけではないのか…。戦闘中、何かしたかい?」

「確か……魔獣を攻撃するとき、"拳に魔力を集中させた"気がする。」

「君はどこで魔力を一点に集中させる方法を知ったんだ?」

「……いや、感覚でやった。」

「何……?」

春蘭はロビンの返答に驚きを見せる。

「それは、今日初めてしたことかい?」

「そうだな……、今日が初めてだ。」

「なるほど。君は自分がしたことが、どれほどのことかわかるかい?。」

「まったくわからない。」

「まず魔力を一点に集中させる。君はこれを感覚で行った。君は魔道士になってからそれほど年月は経っていないはずだ。因みに、魔道士になって何年経ったんだい?」

「2年だ。」

「そのぐらいか。僕の知る限りでは、2年で『魔纏』を使えるようになった魔道士はいない。僕は魔纏を使えるようになるまで6年かかった。」

「そんなにかかるのか……?!」

「こんなものさ平均で5~7年。遅くて10年だ。だいたいの人が、練習し続けて2年ほどで魔力を集める方法を習得する。つまり君が感覚で使えたのは、かなり常識外れのことなんだ。……大分話が脱線したね。君を呼んだ理由は、君の戦闘スタイルが気になったからだ。」

「いやさっきの本題じゃねえのかよ!」

「さっきのは今日知ったことだからね。……君の話を聞く限り、君は武器を使わない、素手での戦闘をメインに戦っているんだね。」

「自分に合う武器がよくわかんねえんだ。」

「よくそれで上級と戦ってたね。」

ロビンは寿司を食べ終え、湯飲みに注がれたお茶を飲んだ。

「よし決まった。明日、君の新しい武器を決めに行こう。」

「どこに?ていうか、今日から明日にかけて外出するんじゃないのか?」

「確かにそうだったね。でもその予定でも、行く場所は変わらないさ。行き先は僕の故郷さ。」

春蘭はニイッと口角を上げる。

「今更言うけど……この話、ここでして大丈夫だったのか?」

「さあ、わからない。」

ロビンは少し呆れ、ジト目を向けた。


「あー、美味かった。」

「やっぱり、ここの寿司はいつ食べても美味しいね。」

2人は店をあとにする。

「悪いな、着いてきてもらって。」

「別に問題ないよ。それじゃ、明日迎えに来るから。」

「わかった。また明日。」

「うん。また明日。」

春蘭は夜闇へと消えていった。

魔纏まてん 

・魔力を体や武器に纏わせ、自己強化を行う技。使用中は、常に魔力を消費し続ける。

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