9.初めてのスキル取得
俺は4歳になった。今のところステータスには変化はないが、もう少しで3レベに上がりそうである。
この時に知ったがカミトはヤグルの25日に生まれたと聞いた。
この世界は1月が30日であり、16ヶ月で1年となるようだった。
(1日で経験値が1上るのを考えると1年が400日を超えるのはわかっていたが、480日もあるとは思わなかったな。距離や時間の単位など地球と同じ単位が使われているからほとんど一緒なのかと思ったら大幅に違うところが出てきたな)
1日の時間も30時間あったりとカミトは気がついていなかったが違う点はまだまだある。それを知る機会は、まぁ母からの勉強で少しずつ知っていくことになるのであろう。
ちなみにヤグルは日本で言うところの3月にあたる。
クロッカ(4月)に入り暖かくなってきた頃唐突に父が言った。
「鍛錬も1年を超えそうだ、そろそろ武器を使った鍛錬も始めていこうと思うんだが、リンはどのようなスタイルでいくか決めたか?」
「お父さん私は剣士になろうと思うの。」
「武器を扱いたいのか、剣でよかったのか?」
「他に何かあるの?」
「そうだなスキルで取れるのは、剣、槍、斧、鎌、鎚、鞭、暗殺、弓、盾だ。一般的なのが、剣、槍、斧、弓、盾の5種類で特殊なのが鎌、鎚、鞭、暗殺の4種類だな。この中で使いたい武器はあるか?」
「うーん、剣かな」
「わかった。なら剣の鍛錬を進めていこう。他の武器に興味が出てきたらやってみるのもいいぞ。」
「うん」
「剣で一般的に使われるのが鉄の剣になるんだ。それが大体3キロ程度ある、お父さんのを貸してあげるから持ち上げられるか試してみよう。ただし持てても振り回してはダメだぞ。」
「はーい、うーん、うーん、重いけど持てた。」
「よくやったぞ。これを戦闘中に振り回さないといけないから、1日10回振れるようにしようか。後は剣を正しく振れるように軽いこの木刀で練習していこう」
「はーい」
姉は剣士になるようであった。父が使っている重そうな剣を頑張って持ち上げていたが、振り回すことはできずゆっくり持ち上げ重力に任せて落とすような感じになっていた。
「カミトはどうする?後1年、なんなら7歳くらいまでに方向を決められれば大丈夫なんだけどな」
「ぼくは魔法使いになりたいです。」
「そうかそれなら鍛錬はお母さんと一緒だな。姉弟で前衛と後衛で分かれてバランスがいいかもしれないな」
「はーい」
姉弟のスタイルが決まった。ただカミトは、魔法とと言っていたがいずれ剣士も取りたいなと考えていた。
この約1年で考えながらスキルを取得していった結果がこれだ。
スキル:隠蔽1、ポイント+α、必要経験値減少1、必要経験値増加1
ユニーク:異世界人
ステータスポイント:110
スキルポイント:8
ポイントが足りなくて流石転生と言ったところであろうか割と強力なのが揃っていた。ただ全員が取れるものではなくなにかしらの要因で転生、転移、召喚された人にしか備わっていないスキルであるらしかった。具体的な内容は、
隠蔽:レベルと同じ項目だけ隠すもしくは改ざんをすることができる。
ポイント+α:レベルアップ時のステータスポイント+5、スキルポイント+2
必要経験値減少:必要経験値が基礎値からレベル×50%減る。
必要経験値増加:必要経験値が基礎値からレベル×50%増える。その代わりレベルアップ時にスキルレベル×1ポイント(ステータスポイント)が増えていく。
これによってカイトはレベルアップ時にステータスポイントが16、スキルポイントが10にもなる。スキルポイントに限っては普通の人に比べて倍のスピードでポイントが貯っていくことになる。
(こうなるんだったら最初からスキルを取りにいっておけばよかったな。ポイントを少し損してしまった。ただ最初に見たときにこんなスキルなかった気がするんだけどな…)
ゲーマーであった頃からのもので少しでも強くありたいと思っているカイトは、1回分のポイントを損にしてしまったことに後悔していた。ただ時間を見つけてみていたのにも関わらずこのスキルは見た覚えがなかった。考えても仕方がないのだが何かきっかけでもあったのだろうかと考えていた。
「カミト魔法のトレーニングをやるわよ、こっちにきて」
「はーい」
「あなたそろそろ自分で魔力を操作できるんじゃないの?」
「え?できるかな」
「少し前から、難しい顔をしなくなったものできるんでしょ」
「うーん、じゃあやってみるね」
カミトは自分の中に語りかけるようにそっと魔力の放出を高めようとした。
「ほら、指先はできるけど全身はできないんだよね」
「指先だけでも大したものよ。でも中心部分が動いている感じがしないね。どうしてかしら?」
「多分、自分の魔力は把握できたけど中心部分がどこにあるかわからないんだよね。」
「なるほど、押すやつは魔力の流れを把握することができるけど、末端部分が鮮明になるやり方なのね。ならあなたの指先から私に魔力を送ってみましょうか。手を出して」
「わかった。こうかな…うわ」
最初はうでにしか感じなかった魔力が母を通すことで魔力が巡回し始め、今まで感じてこなかった流れを感じ取れたためびっくりしたのであった。
「わかったようね。それでも理解するまでに十分早いから大丈夫よ。これを続けながら自分でもできるように練習していきましょう。」
「わかった」
「じゃあもう一度手を繋ぎましょう」
何回も繰り返し練習していくうちに少しずつ中心部分の濃い魔力も動き始めている感覚がした。
午後からはいつものように走るために村の外に出てきていた。この1年で走れる距離も伸びてきた。今では調子が良ければ5キロくらい走れるようになってきていた。姉もそれについてくるように距離を伸ばして行っていたがまだ負けたことはない。
ある夕食の時、
「お姉ちゃんは魔力を感じるのがすごい早いから魔法使いの方が向いているんじゃないの?」
「そうね、魔法使いの才能も確かに高いわよ。」
「えーでも体をうごしている時のほうが好きだしいいの」
「そうだぞ、魔力を感じることができると言うことは、魔法を感知しやすいから物理職にもあったほうが生き残りやすいし強くなれる。それに好きなことをやる方が伸びはいいからな。」
「そう言うもんかぁ」
会話の中で、魔力を感じる力はどの職業にも必要になると言われた気がした。カミトはより魔力の扱いを上手くなろうと心に決めた。
その夜、カミトはいつものようにベットに座り目を瞑っていた。
「今日感じた魔力の流れをより大きく動かしていこう。お、動いてきたぞ。もう少しこうかな」
カミトは独り言をぶつぶつ言いながら少しずつ動かせるようになっていった。今まで感じたことがない中心部分も重い動きからゆっくりと歯車が動き出すように動き出した。
繰り返しやっていると動き出しも早くなってきた。右回りに回したり左回りに回したり早くしたり遅くしたりと変化をつけることもできるようになってきた。
「よし、最後に抑えてみよう」
集中し、魔力を中心へ中心へと動かしていった。そうすると少しずつ表面にあった魔力が薄なってきた。中心部分がさらに濃くなった気がしたがまだまだ集められそうな感じがした。
「上手くできたな。今日はもう寝よう」
カミトは気が付かなかったが、体全体の魔力を理解してから、全体を操作できるようになるにはさらに3ヶ月ほどの時間がかかるものである。1日でやってしまったカミトはおかしいのである。ただ気がつくまでに他の人よりも時間がかかているのだが。
お読みいただきありがとうございました。