44.溢れ出すゴブリン
遅くなりました。
今日もさらに冷え込みましたね。
雪積もって欲しいな。
そこから順調に討伐を続けていった。初日はゴブリンのみの戦闘だったが、日が経つにつれて上位種の存在も見かけるようになってきた。
「今日もありがとうございました」
「ありがとう」
「おいオズちょっといいか」
今日の討伐を終えてギルドで解散しようとしたときにオズさんがリードさんから声をかけられていた。
「どうしました」
「この件が片付いたらミルバ以外の3人もCランクにCランクにランクアップできるぞ」
「本当ですか。アズルはやっぱりダメなんですよね」
「ああ、今回の討伐に参加しているわけじゃないからこればっかりはな」
「あいつもわかってるだろうししょうがないさ」
“鋼の盾”最後のメンバーはアズルさんという剣士である。少し調子に乗りやすく、今回の討伐に参加できない理由は、楽な依頼だと調子に乗り油断して怪我をしてしまったそうだ。
怪我をしてしてしまうと、今回のアズルさんのように依頼に参加できない期間や休まなくてはいけない期間を作らなくてはいけなくなるため他の冒険者に比べて遅れていってしまうので注意が必要だ。
今回はたまたま大規模であるがゴブリン退治の依頼があったため、他のメンバーも休まないといけなくなるということにはならなかった。
「それなら俄然やる気が出てくるな」
「ああ…」
「そうですね、ついに私もCランクですか。嬉しいですね」
ランクアップできると聞いた3人はもちろん一緒に行動してきたミルバさんも混ざって嬉しそうに話し始めていた。
「皆さんおめでとうございます。今日はこれで失礼しますね」
「3人ともおめでとう」
「ありがとう、明日もよろしくね」
「「はい」」
まだランクアップしたわけではないがこの依頼が終われば、確定ということもあって喜びはまだまだ続きそうだった。一緒に参加している状態ではあるが、この喜びは今まで組んできたからこそのものでもあるので早めに別れることにしたのだ。
でも…この喜びで気が緩んで大怪我や死ぬなんていうフラグが立たないことを祈るばかりである。
「「ただいま」」
「お帰りなさい。今日はどうだった」
家に帰るとすでに父と母は家に帰っていた。最近はゴブリンキングの周辺の討伐を行なっているため、大きな変化がある場合を除き数日に1回の報告てよくなったそうだ。
「昨日までと同じように上位種が増えてきたわ」
「そうか、ゴブリンキングの周辺から上位種が減っているようには見えないんだけどな。」
「ゴブリンキングはどのあたりにいるの」
「まだ見つかっていないというのが正直なとこだ。そろそろ上位種の数も減ってきても良い頃合いなんだがどこからそんなに出てきているんだろうな」
上位種やゴブリンを何体も倒し続けて1週間以上が経過したが、なかなか数が減ってこない。最初の予想である合計で500体以上倒しているのに変化がないのはおかしいことだと、この依頼に参加している全員の認識になりつつあった。
次の日早朝、村に鐘の音が鳴り響いた。
「カミト起きなさい」
「んー、どうしたの」
「急いで準備して魔物が襲ってきてるわよ」
「え!!」
父と母に急かされ準備を始める。村に鳴り響いているこの鐘の音は緊急事態に鳴らされるものであまり使用されることはない。カミトもこれまで生活した中で1度も使用されたことはなかった。
基本的な役割として、この鐘が使用される時というのはその村や街、都市の大きさによって違うが緊急事態に待機している人たちだけでは対処不能を示している。
だからこそ戦える人は一旦ギルドによりどこの方角に危険が迫っているか確認しにいく。たまに叫びながら走り回り教えてくれる人もいる。
ということで準備ができたので全員でギルドの方へと向かった。
「何があった」
父がギルドの扉を開けながら大きな声で入っていった。
「アイクいいところに来てくれた。森の方角からどんどんゴブリンが出てきている。向かってくれ」
「向かってきているのか」
「いやそういうわけではないみたいだ。ただいつでも動けるように現地での応援を頼む」
「わかった。みんな向かうぞ」
リードさんからの指示を素早く聞き門の方へと向かっていった。
門の方へと到着すると100人近くの人たちで入り口付近はごった返していた。
「あ、ルードさんこっちに来てください」
「わかった3人はこの辺で待っていてくれ」
「わかったわ」
警備隊の人に呼ばれて父はいってしまった。
入れ替わるようにして“鋼の盾”の人たちがこちらに向かってきた。
「サラさん、リン、カミトおはよう」
「「おはよう(ございます)」」
「おはよう、いつもこの子達をありがとう」
「いえいえ、俺たちも2人には助けられているので」
「それならよかったわ。多分もう少しお願いすることになると思うけどいい」
「もちろんですよ」
母とオズさんとで意味深な話をしていた。それでも話の流れから、今回の集まりも父と母と組むのではなくオズさん達と組むことになりそうなのはわかった。
「それで今どんな状況かわかる」
「あ、はい聞いた話になるんですが」
そこからオズさんが話をしてくれた。
明け方になりつつある時に森からゴブリンが数体出てきた。そこまでは対処できると思い様子を見ていると次々に出てきてすぐに100体ほどになったそうで、急いで自警団とギルドに連絡をしにいったということらしい。
現在ではさらに増え草原に出てきているだけでも200体近く、森の中にはさらにいると予想されている。また上位種の姿も森の中で確認されているのでゴブリンキングの軍勢が攻めてきたと間違いないと言われているらしかった。
「ありがとう。それでまだ焦っていないということは集結しているだけで変化はないってことよね」
「はい、今集まった人たちでどのように攻撃をするか話し合っているはずです」
「この場合の指揮権て誰になるの」
「カミト難しいことを知っているな。基本的には村長、ギルドのどちらかになるだろうな」
「そうね、そこはアイクに聞きましょう」
指揮権の話を振った時にちょうど父が駆け足でこちらに向かってきた。
「すまんちょっと抜けてきた。簡単に説明するぞ。俺とサラ、Cランクパーティーの8人で迂回してゴブリンキングを討伐しにいく。その他のメンバーで正面から攻めてきたゴブリンの討伐と村の防衛になる」
「僕とお姉ちゃんはオズさん達と一緒に行動するってこと」
「ああそうだ、今回も申し訳ないがお願いする」
「大丈夫ですよわかりました」
自分たちには足手まといになるのと危険が伴うため、大人数で行いまだ危険度の低い防衛戦の方へと配置されることになった。
その後、父は再度集まりに向かっていき、そこに母もついていった。姉と自分はオズさん達とパーティーを組むことになった。オスさんはリーダーとしてどこを担当するのかの話し合いに向かっていった。
「こういう緊急招集見たいのって経験あるの」
姉がミルバさんに話しかけていた。
「俺たちが参加したことあるのは一回だな。ただその時には俺がDランクになりたてだったのと強い人がそこそこいたから支援に回っていたんだ。だが今回は高ランクはアイクさんとサラさんくらいだからリンとカミトも戦闘に加わると思うぞ」
「そうなのね。やる気が出てきたわ」
「あまり迂闊に動くなよ。パーティーでの戦闘とは違って多くの人との連携が大切になってくる。突出してしまうと連携が崩れてしまうからオズ、もしくは俺の指示に従ってくれよ」
「わかった」
ミルバさんの注意に気を引き締める姉は、先日の戦闘で数の多さで押し切られそうになった状況を思い出していた。
今回の数の多さでは前の数十倍にもなる。自分が原因で村がなくなりましたや他の冒険者たちに迷惑をかけるなんてことはしたくないと考えていた。
「お待たせ」
「どうだった」
「俺たちは、盾持ちが2人いるってことで中央を担当することになった」
「そうかわかった」
縦持ちがいるといっても密集隊形が取れるほど人数がいるわけではないため押し切られないようにするための措置だろう。
「怪我をしたら無理をせずに後ろにまわってくれ、その時には必ず一言言うこと、急にいなくなったら連携が取れなくなるから」
「「はい」」
自分たちのわからない部分を説明しながら準備を続けていく面々。
ゴブリンが動く前に動き出すために素早く準備を進めていく。
約30分後には準備を終えた冒険者達が村の前に並んでいた。
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