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34.家出騒動

「ライトくんこれで指導期間の1ヶ月は終わりだ」


「よっしゃあ」


「落ち着いて、まだ話はあるんだ」


「は、はい」


「指導期間が終わったとはいえライトくんはまだまだ足りない部分が多すぎる。勢いでやってしまおうとする点とかな。だからこれからも依頼を受けるときは1人ではダメだぞ」


「そそんな」


「ライトくん諦めろ」


「じゃあなんでカミトはいいんですか。俺だけ指導期間が続いて2人は特に何もないんですか。ずるいじゃないですか」


「カミトは俺やサラから指導を受けていたからな。ミトちゃんはカミトと一緒にいるから無茶はしないと思っているからだ。」


「そんなんじゃ納得しないですよ。俺だって父さんに色々教わってきたんだ1人でもできます」


「まだ心配だからな。我慢してくれ」


「いやです。1人でもできます」


まだまだ荒削りのライトは、もう少し指導した方が良いという父の言葉に全く納得ができなかった。ライガさんに教わってきたプライドや同い年のカミトに差をつけられていると感じてしまったのだ。


ランクアップの時にはなんとか自分も後少しという気持ちでがあったからこそ我慢ができたが明確な目標がなくなった今堪えることができなくなってしまった。

父に大丈夫だと訴えたが否定されたため走り去ってしまった。


「お、お父さんライト大丈夫なの」


「どうだろうなここを乗り越えればさらに強くなると思うんだが、とりあえず経緯をライガに伝えてくるからカミトはライトくんを探してくれ」


「わかった」


自分と父で二手に分かれ、それぞれ行動することにしたのであった。


「ライト、どこにいるんだよ…」


それからしばらくライトを探すためにいきそうな場所を回っていった。しかし普段ライトがいる場所はことごとく空振りになり、見つけることができなかった。そのため一旦探すのを中断して父と合流するために訓練場の方へと向かうことにしたのだった。


「お父さん、ライトが見つからないんだ」


「どこにいったんだ」


「行きそうなところはだいたい探したんだけど」


「家は探しにいったか」


「そこは行ってない」


「そこを探しにいこう。ライガすまんな」


「ああ一緒に行きたいところだが今日はここから離れられん。息子が手間をかけさせてすまんな。」


「そういう時期さ。じゃまたな」


「ああ」


父にいないことを話し2人でライトの家へ向かうことにした。


「ライトーいるか」


ドンドン

「サリーいるか」


「はいはーい。あらアイクにカミトくんどうかしたの」


「ライトくんは帰ってこなかったか」


「朝にアイクの家に行くって行ったままよ何かあったの」


「ちょっとすれ違いがあってなライトくんがどこかへ行ってしまったんだ。家にいなとなると心当たりはないか」


「えそんな…」


サリーさんにライトがいなくなってしまったことを話して、いそうな場所を教えてもらった。しかしそこは全て自分が回ったところでありそれ以上となると心当たりがないようであった。


「私が知っているとこをはそんなところよ。ねえ本当にライトは大丈夫なの。何かあったりはしないわよね」


「俺も何事もないことを願いたいがここまでいないとなると村の外へ出たか」


「え、まだ明るいけど後数時間で火がくくれるわよ。探すなら早く動かないと」


「そうだな。サリーはライガのとこへ行って捜索隊を組んでもらってくれ、俺とカミトは森に先に入っている」


「わかったわ。あの子をお願い」


「もちろんだ。カミトいくぞ」


「うん」


そう言って父と自分は村の外へ向かって走り出した。

門の近くにいた人に聞くとライトは案の定外へ向かっていったようだった。探し始めて1時間以上経過しており魔物を避け走っていたらそろそろ森に到着する時間帯である。


「ちょっと急ぐぞ、ついてこれるか」


父が走りながら一言言うとさらに加速した。その速度に追いつこうと自分はある魔法を発動させた。


「うん大丈夫『火よ 我を包み 加速せよ アクセルブースト』」


言うとすぐに体に魔力が溶け込んでいった。魔力が見える人がいたならば、特に足へ多くの魔力が吸収されていったことが見えたはずだ。

吸収が終了すると自分の体が爆発的な加速をし始めすぐに父を追い抜いてしまった。だがそこでペースを緩めることなくスピードを維持して森の方へ走っていった。


森へ入り、出会い頭のゴブリンを魔法や剣、時には体を使って吹き飛ばしながら先へ先へと進んでいった。


「どこだ、どこにいるんだライト」


森に入り小一時間ぐらい経とうとしていたその間、剣で切られた跡のあるゴブリンや戦闘の跡らしきものがいくつか見つけることができた。

だが一向に追いつけない姿に焦りを含めた声で呼んでいた。


「ライトーどこだー」


とその時


「ウォぉぉ」


小さな声だったが誰かが戦っているような雄叫びなのか叫び声がカミトの耳に入ってきた。そこに向かってカミトは駆け出した。


「ライトーー」


声のする方に近づいていくと段々と戦闘の様子が見えてきた。戦っているのはライトで合っている。相手はゴブリンだが数が多い、立っているのは約20対程度、上位種のゴブリンリーダーの姿も見える。ライトを囲むようにして対峙し上位種はライトがなぶられる姿を見て笑っていた。

ライトも抵抗しており数体のゴブリンが転がっていた。今も1体切り捨てていた。


「『火球よ 加速し攻撃せよ アクセルシュート』いけー」


詠唱をすると普段より数倍速いファイヤーボールが加速しながらゴブリンリーダーの方へと飛んでいって頭を撃ち抜いた。


ドスン

頭を焼失したリーダーは数秒間フラフラと立っていたが倒れた。その音で自分たちのリーダーが死んだことに気がついたゴブリンたちがライトの姿を発見した。


「ギャギャギャ」


「ギャーギャー」


代わりの指揮を取るゴブリンがカミトを脅威と見たのだろう。戦うように指示を出したのかボロボロになっているライトを放置し全員でカミトの方へと向かって来た。


「カミト逃げろー」


「そんなわけにいかないでしょ」


ライトはゴブリンの後ろからカミトに逃げるように促してきた。だが助けに来ているカミトにとっては逃げると言う選択肢はなかった。


「ゴブリン全体がライトから離れた。『火球よ 分身して攻撃せよ フェムバースト』」


火の玉が襲い来るゴブリンに次々と着弾していき数を減らしていった。それでも数が多く爆発を逃れたゴブリンが迫ってきた。その数約8体、剣を構えて向き合った。


「『ファイヤーボール』1体目」


先頭にいたゴブリンをファイヤーボールで倒す。詠唱を破棄したがゴブリンを倒す程度なら問題ない。それに爆発が大きければ自分が巻き込まれてしまう可能性があった。

次に襲いかかってきたゴブリンを剣で切り倒した。


「2体目、3体目、おら」


切り倒した勢いを使って近くのゴブリンを蹴り飛ばした。


「『ファイヤーボール』次ぃ」


ファイヤーボールを地面に撃ち着弾した時の爆風でよろけたゴブリン3体を切り殺した。


「6体目…逃がさないよ『火球よ 分身して攻撃せよ フェムバースト』」


形勢が悪いと判断するには遅すぎるほどに減ったゴブリン2体は方向を変えて逃げ始めていた。その後ろから5個のファイヤーボールが襲いかかり吹き飛ばした。


「他にゴブリンは…いないみたいだな。ライト大丈夫か」


「あ、あぁなんとかな」


「心配したんだぞ」


「ごめん」


ライトは村での様子と打って変わってとてもしおらしく、またおとなしくカミトに言われるがまま反応をしていた。


その後、村へと戻っている最中、追いついてきた父や捜索隊の人と合流した。ライトは迷惑をかけたことにライガさんやその他の大人の人にかなり怒られていた。またギルドでもリードさんにも冒険者としてのあり方を改めて聞かなければいけなかったようだった。その間当の本人はというと、周りの大人の言うとおりに粛々と聞いていたのであった。

お読みいただきありがとうございました。

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