31.ランクアップ
気温も高くなり、暑い日が続いて季節としてはエスタスに入り始めるころ。
ギルドに行くとリードさんから声をかけられた。
「カミト、ミトちょっとこい」
「リードさんおはようございます」
「おはようございます」
「おはようさん、それで2人に話があるんだがちょっといいか。」
何事かと思いながら2人はカウンターの方へと向かっていった。
「どうかしたんですか」
「いやあのな、そろそろランクアップしてもらおうと思ってな」
「いよいよですか」
「ほ、本当ですか」
「ああ確実に依頼をこなすし内容も丁寧だからな。そろそろ上がっても大丈夫だろう」
毎回協力しながら依頼をこなしていたため、ランクアップも早くしてくれたのだろうと思った。何故なら2人でやっているためランクアップするには倍の期間が必要なはずである。それが約3ヶ月で終わるということはそれなりの理由があると踏んだのだった。
「カミトくんやったね」
「ああ、いつも助けてくれてありがとうミト」
「それは私の方だよありがとうカミトくん」
「そういえばライトはどうなんですか」
カミトたちが呼ばれたことで、依頼を選んでいたライトはどうなのかと聞いてみた。自分の名前を呼ばれたことで話題が自分の内容だと感じたライトが3人のそばへ近づいてきた。
「俺の話か」
「ああちょっとランクアップについて聞いているんだ」
「お、俺もランクアップできるのか」
狭いギルドだから聞こえていたのだろう。しかし自分は呼ばれなかったためランクアップの話はないと思っていたところに呼ばれたことで、自分もランクアップできるのかとリードさんに聞きにいった。
「ライトはまだだな。」
「何でだよ俺の方が先に冒険者になったじゃないか」
「それは前にも説明しただろう。カミトたちに教えてもらうまでの評価が酷かったんだ。でも最近のお前は頑張っているからなこの調子で頑張ればすぐさ」
「でも…」
「リードさん何とかならないんですか」
「ミト、こればっかりは俺にはどうしようもできねぇ」
「リードさんお願いします。俺これからも頑張るから」
「お前ら…」
「2人とも…」
リードさんが話をしようとするのに被ってしまった。お互いはなすのを止めてしまったがリードさんが目でお前が先に話せと訴えてきたためカミトは続けて話始めた。
「2人とも少しストップな。」
「カミトなんだよ」
「あのなそりゃリードさんもあげられるならあげたいと思っているはずだぞ…多分」
何とか止めようとリードさんの気持ちを代弁しようとしたが途中で適当なこと言うのもなと考えてしまい聞こえるかどうかわからないような声で多分と付け加えてしまった。
「そもそも考えてみろ、確かに一緒に上がれれば嬉しいさだけど特別扱いは無理だと思う」
「何でだよ」
「ライトみたいに思う人が何人いると思う」
「え…」
「1人を特別扱いをしてしまうと大勢の人をランクアップさせなければならない可能性出てくるんだだから特例はあっても特別はできないと思うよ。」
「何だよ特例とか特別とかって」
「特別っていうのは人とは別扱いするってこと、特例はルールの中で例外を作ることなんだ」
「結局どういうことなんだ」
「ライトは人とは違う扱いされたいでしょ」
「うん」
「それが特別。ギルドのルールとかから一部の例外を作るのが特例なんだ」
「そういうことだ。ライト、お前さんが特別に上げて欲しいと言うがそれは全員思っていることだ、だからそのような前例を作るわけにはいかない。」
「そうなのか、じゃあ俺はどうすれば良いんだ」
「この調子ならもう少し頑張れば上がるさ、それでいいか」
「ちぇ、わかったよ」
何とか説明に理解を示してくれたライト。もしかしたらこの調子で詰め寄っていたら何かしらのペナルティがあったかもしれない。でも説明に納得がいかないものの何とか気持ちを抑えてくれたからリードさんからは特に何も言われずにこの調子で頑張れば良いと言葉ももらえたので一安心だろう。
「地道に頑張ろうよ」
「カミト、ミトすぐに追いつくからな」
「ああ先に行くが待ってるぞ」
「ライトくんなら大丈夫だよ、頑張ろうね」
慰めたカミトに対してライトは持ち直して自分の気持ちを2人に宣言した。ライトならすぐに追いついてくるだろうという確信を持てるような力強い言葉だった。その後ライトは自分も早くランクアップするために依頼を受けてギルドを駆け足で出ていった。
「それでリードさんランクアップするのに何か試験はあるんですか」
「Eランクに上がるのには特にない。そもそもEランクからが冒険者だからな」
「Fは見習いって言ってましたもんね」
「ああ、それで試験はないがその代わり1ヶ月は戦闘の指導を受けなかればいけねぇ」
「指導はギルドでやってくれるんですか」
「いややらんぞ」
「どう言うことですか」
話を聞いていくとEランクへは何もしなくてもランクアップできるようだったが指導を受けなければいけないようだった。ただその戦闘の指導もギルドが主体ではやってくれないらしい。
「それはな冒険者に頼むんだ」
「この村に僕たちの他に冒険者はいるんですか」
頻繁に来ていた自分やミトであったが他の冒険者に出会ったことは無かったためこの村には冒険者がいないもんだと思っていた。
「いるぞ、だが基本的に農民でイエンスになって寒くてやることが無かったらやる人が増えてくるな。」
「そうだったんですね。ただ寒い中で依頼をする人はそんなにいるんですか」
「そこまで多くはないが、蓄えに余裕がないやつとか、余裕を持ちたい奴が来るな」
「なるほどその方達に教えてもらうってことですか」
「いや違うぞ」
「「違うんかい(ですか)」」
説明を長々としてくれていたのにその人たちにも指導をされないと言われて思わずツッコミを入れてしまった。なぜか静かに見守っていたミトも突っ込んでいた。
「何言ってるんだ。お前たちには立派な冒険者が近くにいるだろ」
「いたかな…」
「カミトくん、カミトくん」
「ミトどうした」
「多分、アイクさんとサラさんだよ」
「そういえばそうだったな。うっかりうっかり」
「うっかりすぎるぞお前。そうだアイクとサラなら十分信頼もあるし指導も任せられる」
「もう受けてるんですけど」
「わかってるわ。形式上は名前だけでも必要ってことだよ。貴族とかは戦闘経験を持ってる奴も多いからな」
「そう言うことなんですね」
「お前たちにこれ以上言わなくても1人では行かないだろうからな。色々教えてもらって強くなれよ」
「「はい」」
リードさんの話によると父と母に教えてもらえれば指導の1ヶ月間は必要ない様子だった。貴族や同じように親が冒険者の場合の例外なのだろうこのような形を取るのも珍しくなく割とよくあることだと伺えた。
だからと言ってすぐにEランクの依頼を受けさせてもらえるわけではなく父か母が一緒ではないとダメな様子だった。
「ただいま」
「おかえりなさい。今日は早かったわね」
家に帰るといつもより早い帰りに母からの問いかけがあった。
「今日でEランクに上がったんだよ」
「それはおめでとうお祝いしなくちゃね。それで今日は…ああそう言うことね指導の期間に入ったのね」
「そうなんだ。手伝って」
「カミトとミトちゃんは十分な戦闘力はあるから鍛錬に時間を使いなさいな」
「でも依頼をしないとランクが上がらないんじゃ」
「ミトちゃんそれはね自然と上がるものだから焦らなくても良いのよ。それに私かアイクがいれば大体の依頼は受けれるし」
「わかりました」
当分はみんなで依頼を受けたりするため自分たちが慌てる必要がなく、まずは戦力を上げるのに時間を費やせるようだった。鍛錬だけではレベルが上がらないため討伐をたまにはする必要があるがライトのランクアップを待つこともできるとわかったのであった。
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