28.ミトの初討伐
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「よし今日は全員でゴブリンの巣を討伐しに行こうか」
朝一でどこかへ行っていた父が帰ってきて開口一番、ゴブリンの巣の討伐を宣言した。
「家族でちょくちょく行ってるよね」
「今回は経験も積ませたいからライトくんとミトちゃんも連れて行こうと思っている」
「そうなんだ今すぐ呼んできた方がいい」
「リン少し話してからにしようか」
「はーい」
「大まかに話していくぞ、今回の討伐は森の浅い広場に出来始めている巣の討伐になる。と言っても規模としては少し大きくなる。」
「どのくらい」
「大体100体を超えるくらいか、いつものように上位種はいるだろう。それで上位種はこちらでやるが雑魚ゴブリンはライトくんとミトちゃんの2人が中心にやってもらおうと思っているがいいか?」
「いいわよ」
「サラとカミトもいいか」
「いいよ(わよ)」
「じゃあリン呼びに行ってもらってもいいか」
「わかったわすぐに行ってくる」
と言いながら姉は家を飛び出し2人の家に向かって走っていった。
「サラ、ミトちゃんの魔法は大丈夫か」
「うーん、なんとも言えないところね。でも多分初級の魔法使いをそろそろ出る頃かしら」
「そうか」
「お父さん、お母さん、普通の魔法使いってどのくらいの強さなの」
「普通の範囲がかなり広いのだけれどよく言われるのが中級の魔法を問題なく使えるや初級の魔法を止まっているものなら絶対に当てられるってところからかな」
「それなら上級は?」
「上級はこれと言った指標はないのだけれど、大体は冒険者のランクで見られることが多いわ。中級もそうだけど同じ中級者、上級者の中でもかなり幅はあるのよ」
質問に丁寧に答えてくれた母、上級以上もあるのかと聞こうと思ったのだがタイミング悪く呼びに言っていた姉が2人を連れて到着した。
「「おはようございます」」
「リンから少しは話を聞いているかな」
「はい、ゴブリンの巣の討伐に連れて行ってもらえるんですよね」
「そうだ、これまでは鍛錬が中心だったが、Dランクになる前に経験してもらおうと思ってな。2人はコブリンの討伐経験はあるかな」
「俺はあります」
「私はないです」
「そうか、ミトちゃんは初めてなのか。それなら今日は普通の討伐にしようか」
「大丈夫なの」
「ああゴブリンの巣はお父さんとお母さんでぱぱっとやっちゃうから」
まだ討伐を経験していないミトがいることがわかって巣を討伐から普通の討伐に切り替えた父。自分がなったように衝撃を受けてしまうことを懸念したのだろう。少しずつ慣れていく方法を取ることにしたみたいであった。
「ライトはいいのか」
「おう、アイクさんの言うことは聞けってお父さんに言われてるから」
正直行きたいと駄々をこねるかとも思ったのだが、この前の失敗などもあり少し丸くなったライト、自分のやりたいことだけを伝えるのではなく先輩である父の言うことをしっかり聞くようになっていた。ライガさんに父の言うことをしっかり聞くようにと言われているのも大きいと思うが成長を感じる一幕であった。
「じゃあ俺とサラで別々に行動しようか。」
「「「はい(はーい)」」」
討伐はできると言うことでライトから文句が出なかったのかもしれない。
別れ方は、父、姉、ライトの剣士チーム。母、自分、ミトの魔法使いチームで別れた。父たちはライトが討伐経験者ということもあり森の方へといくみたいであった。自分たちはというとミトが初心者ということもあり草原から開始することにしたのであった。
「さあミトちゃん。まずはスライムから倒しましょうか。詠唱はわかってる?」
「はい、カミトくんに教えてもらったので大丈夫です」
「じゃあやってみようか」
『はい『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』」
ファイヤーボールはスライムに向かって飛んでいきしっかりと当たった。
討伐は初めてでも今までの依頼や鍛錬で何回もコントロールする機会があり問題なく活動できるだろうと判断された。
何度かスライムを攻撃していき午前中は終わった。
「午後はゴブリンを倒しに森に入りましょうか。カミトは後ろの注意をお願いね」
「わかった」
「大丈夫かな。」
「大丈夫よ。ミトちゃんは筋がいいから」
そう言いながら辺りを注意しながら森へ入って行った。
やはりというか森へほとんど来たことがないであろうミトは母と自分の間で忙しなく顔を動かしながらあたりの様子を伺っていた。そして鳥が飛び立つ音とかに毎回びっくりして魔法を放ちそうになるためこちらも気が気じゃない行動が続いていた。
「いたわよ」
「え、あ 火の玉よ 敵を」
「ストーップ、まだ打つの早い」
ゴブリンがいたことを母が伝えたところ、ミトはどこにいるのかもわからないままファイヤーボールを打とうと詠唱を始めた。その姿を見たカミトは慌てて詠唱を止めていた。
「慌てすぎよ。ここから60mくらい先に3体ゴブリンがいるわ、近くまで静かに移動するわよ。近くまで行ったらミトちゃんにファイヤーボールを打ってもらうから心の準備だけはしておいてね」
「わ、わかりました」
母が落ち着かせるように詳しく説明をしていく。ミトの緊張がこちらへと伝わって来るようなほど声に固さがこもっていた。
先ほどまでの進みよりよりゆっくりとした歩みでターゲットのゴブリンの方へと3人は進んでいった。
「ここら辺ね。あまり体を出さないようにしてね」
「はい」
「スライムに当てたようにしっかり狙えば大丈夫よ。外しても私やカミトがいるから大丈夫。自信を持ってやって」
「はい『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』」
ミトが放ったファイヤーボールはゴブリンのすぐ脇を通り地面へと着弾した。急に飛んできた魔法にびっくりしたのかゴブリン立ち止まり慌てて周りを見渡し始めた。
「ごめんなさいー」
「いいわよ。今のうちにもう一度打って」
「は、はい『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』」
再度放たれた魔法は、直進していき1番近くにいたゴブリンの顔の横を通り過ぎてしまったがその反対側を警戒していたゴブリンの後頭部へと着弾し、小さな爆発を起こした。
魔法がもう一度放たれたことで方向がわかり発見されてしまった。倒れた仲間を一瞥すると、気にかける様子もなく残り2体のゴブリンはこちらへと向かってきたのであった。
「カミト、右側の一体よろしくね」
「うん、ファイヤーボール」
母に言われてすぐにファイヤーボールを右側のゴブリンに当てて息の根を止めた。母は当たる前には左側のゴブリンを切り捨てていた。
「カミトあなた詠唱省略持ってたっけ?」
「持ってないけど」
「詠唱なしで魔法使っていたわよね」
「そう?詠唱したと思うけど」
「気のせいだったかしら」
詠唱なしを悟られそうになったがうまく誤魔化せた気がするカミト、母の追求もそこまでなくゴブリンを倒したミトの方へと視線が向いていた。
「ミトちゃんどう?体調とか問題ない?」
「特に大丈夫です」
「え、本当に?」
「うん、カミトくん心配してくれてありがとう」
まだ冒険者になる前、攻撃魔法を使うことに対して否定の気持ちがあることを言っていたはずなのに、と1人寂しい気持ちになっていた。そしてこの世界の人は逞しい人が多いなと魔物がいるからこそ殺伐としたことにも耐性が割とあるのかと本気で思い始めていた。
攻撃に忌避感があるのと攻撃した後に来る感情とはまた別物なのだろう、そんな感じがした。
「攻撃魔法を使ってみてどうだった』
「うーん、そうですね。最初は無我夢中でしたけど今思うと少し嫌だなと思うくらいです」
「戦闘の時にためらったり、止まってしまいそうになるかな」
「それは大丈夫です。前教えてもらったように魔物よりも皆さんの方が大切なので」
「なら次にいきましょうか」
「はい」
ミトは母にそう返答して、さほどまでの怯えたような動きが嘘のようにしっかりとした足取りに変わっていた。
…そんな事はなかった。よく見ると音がなるとひっくりしたり足が震えたりしていた。
何回か索敵を繰り返し計15体ほどのゴブリンを討伐した。父たちのグループでは20体近くのゴブリンを討伐していたのであった。
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