20.魔法実践
「おはよう。お母さん早くいこ」
「落ち着かないわね。朝ごはんを食べてからにしなさい」
「え〜」
「少しくらい待てないの?」
「リンだって朝行く時にはお父さんを急かしてたじゃないか」
「え、覚えてないよ。」
「ははは、まあ初めての時はみんな気持ちは一緒だよ。お父さんもそうだった」
「そうだったの」
「ああ」
家族でそんな話をしながら準備をして朝食を食べていった。
「お待たせ。いきましょうか」
「うん、すぐいこう、今すぐいこう」
「ふふふ、だから準備できたって」
こうして初めて村から離れるように歩き始めた。村から出てしばらく経つと村と森の中間地点あたりにきた。
「ここら辺でいいかしらね」
「そういえばお母さんなんで魔物は村に近づかないの?」
「たまにきているわよ。ただ魔物もある程度の判断ができるのか、多くの人には近づかないのよね。」
「お父さんたちは見回っているだけじゃなくて倒してたんだね」
「もちろんよなんのための自警団よ。弱い魔物に対しては村の人で対処できる時もあるから呼ばれる時にはよっぽど多いか強いかね」
「そんな魔物でるの?出るわよ森に近いってそう言うことなんだから。人数か少ないとあまり来ないけど魔物が100体以上増えてくると村でも関係なく攻めてくることはあるのよ」
「そんなこと頻繁にあるの?」
「そう頻繁に起こるわけではないけど数年に1度はあるわよ。」
「この辺でも起こるの?」
「それはわからないわよ。ただその前には異変があるようだから見逃さないようにしないとね」
「どんな異変が起こるの」
「色々よ、普段見かけない魔物がいたり、魔物がいなくなったりとかね。」
「ふーん」
「さあ話はここまで。魔物を倒すわよ。」
「はーい」
「100mくらい先にスライムがいるわ火魔法で倒しましょう」
「どうやって使えばいいの」
「お母さんに続いて言ってね、『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』よ」
「『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』 うお」
詠唱らしきものを読み上げると空中に30cmほどの大きさの火の玉が形成されてスライムに向かって飛んでいった。
ドン
ファイヤーボールは直線的に飛んでいき小さな破裂音と共に当たった。
「外れた…」
当たったのだ…スライムの横の地面に
「当てるにはコツがいるのよ」
「コツって何?」
「それはね。練習あるのみよ、さあどんどん撃つわよ」
「え、ただでさえ恥ずかしいのに何回も言わなきゃいけないの」
「何か言った?」
「言ってないです」
始めの人生は魔法がなく詠唱をしようもんなら厨二病を疑われていたのだ、その精神があるのに詠唱しなければならないなんてどんな拷問かと口に出してしまったが母に聞かれてしまったので慌てて訂正した。
「『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』くそ、 『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』 なんでだよ」
結局当たったのは数回繰り返した後だった。的が小さく狙いを定めにくく少しづつ近づいてやっとのことで当たった。
「やっと倒したわね」
「そんなこと言わないでよ。初めてんなんだからさ」
「そうね、ごめんね」
「スライムを倒したけど取れる素材ってあるの?」
「あらよく知ってるわね。スライムジェルというのが取れるんだけど火魔法を使うと取れないのよね」
「じゃあなんで使ったの」
「特にお金になるわけじゃないし今日は討伐の練習だから」
「そっかお母さんはどうなの。お手本見せて」
「いいわよよく見てなさい。『ファイヤーボール』どう」
「すごい一発であたった」
「それはそうよ。魔物を倒すなら動いている敵にも当てられるようになっていかないとね。」
「そうだよな。スライムは動きが遅いけど動きが早い魔物もいるんだもんな」
結局この後はスライムを見つけては倒していった。少しづつ詠唱にも慣れてきたんじゃないかと感じるカミトであった。
「ただいまー」
「おかえり。どうだった」
「スライムを何匹か倒したよ」
「よかったわね倒せて」
「本当に良かった。何か失った気がするけど」
「何を失ったの?」
「え、いや、なんでもない」
「それならいいけど」
「でもなかなか当たらなくて困ったよ」
「へえそうなのね」
「でもカミトったらすごいのよ。何回も外したけど当たるまで頑張ってたのよ。」
「へえ、お母さんそんなにカミトすごかったんだ」
「そうよ、でもなんでMPが切れなかったのかしら。あれほど打てば普通ならMP切れで打てなくなってもおかしくないのに」
「た、たまたまMP回復と合ってたんじゃないかな」
そんなはずはないのだが言い訳をしてなんとか乗り切らなければと思った。初級魔法の使用MPは10のため家族に見せたMPでは30回も打てば枯渇いてしまうが嘘のため使い過ぎてしまったのかも知れなかった。興奮し過ぎて覚えていなかった。
「回復が早いのかな…まあいいわ」
「乗り切った」ボソ
「でもスライム倒せて良かったわね。次はゴブリン倒すの」
「できればそうしたいなと思ってるけどまずはスライムに当たるようになってからかな」
「そうよね。タイミングが合えば一緒に狩に行きましょ」
「そうしてくれると嬉しいな。今日は早く寝ることにするよ。おやすみなさい」
「「「おやすみなさい」」」
1人部屋にはいると…
「さてと今日はどのくらい経験値もらえたかなっと」
EXP:808/1000
「スライムってやっぱり序盤なのかね。全然経験値入らないじゃん。1日経ってるからそれを差し引いて7か、6匹倒した気がするから経験値は個体によって違うみたいだな。」
初めて倒した魔物に感慨に浸りながら戦闘を思い返しているとふと思った
「そういえば詠唱どうにかならないかな、詠唱するのは気持ち的にマシになってきたけど何回も打つには時間がかかってしょうがないしな、詠唱省略の効果ってなんなんだ」
詠唱省略:レベルが上がるごとに詠唱を省略することができるようになってくる。イメージを持ちやすくなる。
「イメージを持ちやすくなる…ということはイメージをしっかり持てれば詠唱はいらない…のか」
詠唱省略の説明を改めて見ていると気になることが書いてあった…そこから想像するのは難しくないただ成功するのか不安であった…
「ただ家の中で試してみるのは怖いな、明日こっそりやってみよ」
次の日、朝ご飯も食べ人があまり来ない村の片隅に来ていた…
「よしまず試してみようか。『火の玉よ 敵を打て ファイヤーボール』よし出るな。『ファイヤーボール』…あれ?でないなぁなんでだろ」
イメージを固めたはずだが魔法は発言しなかった。なぜだろうかと繰り返し試して行った。
「『ファイヤーボール』…やったでた。イメージって言ったからすぐできるかと思ったけど、前の世界で火の玉が飛んでいくって怪奇現象以外なかったわ見たことないけど…見たくもないけど。ただ燃えているものを投げるイメージをもったら上手くいったな。これからはどうしてそうなるのかと似たような行為を想像できればいいってことだな。ファイヤーボールを見たから燃える概念さえわかればできると思ったけどもう少し補填しなくちゃいけないんだな」
魔法の概念自体は理解できていなかったが、日本での知識で補填できるということが今回の検証で分かった。他の魔法やオリジナルの魔法も知識を組み合わせればいけるのではないのかと光が見えた瞬間であった。
「よっしゃ、これはお母さんに報告しようかどうしようかな」
MPのことで疑われていることもあり伝えるのはどうしようかと考えていた。母から教えてもらったことだが工夫をすることでスキルがなくてもできるようになると。それを信じるなら言ってもいいかなと思ったが…
「まあいっか。1人で練習して驚かせよ」
言わないことにしたのだった。
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