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2.プロローグ2

ある休みの日、部活も終わり何をしようか悩んでいる時、ふと思いつきで岩盤浴へ行くことにした。


「久しぶりの岩盤浴だな、昔のように1時間を3セットいや体重も落としたいし5セット行こうか!!」


体型も気にしている俺は昔のようにいや痩せたいがためにきつめの設定をして岩盤浴へと向かっていった。


「ふぃー!気持ち良かった。ちょっと指先が震えてる‥脱水症状だな帰ったらしっかり水分取ろっと。」


岩盤浴でひとしきり汗をかき、温泉にも浸かりさっぱりしたところで体の違和感に気が付いた。

指先の震え程度であれば岩盤浴はもちろん運動後など何度も経験しており、ありふれていたためにこの時は気にも止めなかった。


「ただいま~‥‥う、心臓が痛い‥がは、呼吸が‥胸が痛い、うごぁ、はぁはぁ、あぐはぞごえ(まずは外へ)、がは、かひゅー、かひゅー」


扉を開け外に出た段階で呼吸が続かず力付きバタリと倒れてしまう洋治。

独り暮らしであるゆえに家には誰もおらず苦しんでるなか電話もすることができず、ただただその場で足掻き外へ助けを求るしかなかった。

しかし普段の生活でもすれ違うだけでも珍しいアパートでは、すぐに助けられることなく発見までに一時間以上経過してしまった。発見してくれた人がすぐに呼んだ救急車で病院に運ばれたがそのまま息を吹き返すことはなかった。



(ん、なんだこの感覚は、今どうなっているんだ)


「オギャー、オギャー」

(どうしたんだ?俺はどうなったんだ、助かったのか?眩しい!この状況はどうなっているんだ?!)


洋司は気がついていないが赤子であるために周囲を見渡すこともできず声を上げることしかできない。


(なんでこんな声しか上げられないんだどうしてだ)


声も30歳だった普段の自分が出すような太い声ではなく甲高く、声にならない叫び声しか上げられなかった。


(喋りかけてくる声が聞こえてくる。)

「よしよし〜、かわいいなあ、この子が俺とサラの子ども、名前はカミトだ。たくましく育てよ!」

(どういうことなんだ?どうなっている?あぁまぶたが……)


生まれたばかりの洋治は、思考もままならないまま眠りについてしまった。


それからと言うもの目を開けた時には必ずと言っていいほど女性が話しかけてきた。たまに男性の声も混じることもあった。それからしばらくしたのち…。


「オギャー、オギャ、オギャー」

(今どのくらい日数がったったのだろうか。何故かモノクロだった世界から少しずつ色づいてきた。)


生後3ヶ月ほどは目は見れるがモノクロに見えることや、2ヶ月ほどは視力が0.01ほどしかなく3歳にかけて徐々に視力がついてくることを洋治は知らなかった。


「アイク見て、カミトまた寝てしまっているわ。いつも大泣きして騒がしかったリンの時とは大違いだわ…」


「そうだねサラ、でもまだ生まれて3ヶ月だよ。泣くときは泣いてるしきっと大丈夫さ」


「それならいいんだけれど」


「………」

(なんか話されている気がする。声を出した方がいいのかな…(スヤァ))


この3ヶ月ほどで睡眠を繰り返し、少しの時間をぬって思考しまとめてきた。かと言って生まれたばかりである。大人だった頃の記憶があるにしろ幼児の体にもキャパシティがあり色々考えすぎると体の拒絶反応か気絶するように眠ることが多かった。その姿を見てアイクとサラは何処か不安そうな目で日々カミトの姿を見ていた。


それからしばらく経ち。


「バブ、バァ、ダダーーーー」

(よし少しずつ長く考えられるようになってきたし、全く動けない状態からほふく前進のようなこともできるようになった。手や足の感覚もこれまでと全然違うし、結局ここはどこなんだ?)


視力はいまだによくなくぼやけてしか周囲が見えないが、話しかけられる喋り方が、関西弁でも標準語でもない、聞いたこともないイントネーションや言葉が混じることもあった。そして聞いたこともない単語を理解しているような感じで聞くことができるという現象に戸惑っていた。



さらに日数がたった。薄々感づいてはいたが経験したことのないこの状況に思考をポイッと放棄していた洋治であったが、6ヶ月以上もたったことで考える必要が出てきた。

まともに立てない、歩けない現実から病院ではなく赤ちゃんに生まれ変わっていること、そして日本でではなく別の国に生まれたんだということを受け止めようとしていた。

記憶のある中だけでも赤ちゃんのような「オギャー」という鳴き声しか上げられず、男の声も女の声も怪我を心配しているような声掛けではなかったのも要因の一つである。



(もうここまできたらとりあえず整理しよう。これまで考えてきた候補は、1、生き残れた(まずない)。

2、現代の日本とは違う国に記憶を持ったまま生まれた。

3、過去の世界に飛ばされた。

4、違う世界へときてしまった(ありえるのか)。ってところか。でもこの現状から1はない、2も病院がないことを考えれば…でも海外ではまともに病院がなかったりする国もあるからな。3も可能性としてはあるけれどどうなのかな?)


洋司の考えとしては4は判断材料に足りえなかった。想像・空想の世界が本当に広がることがあるのかと思うのが普通なのだから。


カミトとして生は受けたが洋治としての考えがある今、この難問を早く解決したかったがいかんせん目がよく見えない。そんな状況では言葉から日本ではないだろうという判断しかこの時にはできなかった。


「ダァーーーーー」

(そうだ!!)

「急に叫び出したわ、何かあったのかしらご飯やトイレは済ました後だし…」


サラにそんな心配をされていた洋治であったがそんなことを聞いている余裕はなかった。


(そうだった。現代かどうかは置いておいて世界が違うかどうかは判断することができるかもしれない。)

「バブ!」

(ステータス……特に何も起こらないな)


「オギャ、バブ、ダダーダ…!!」

(詳細、オープン、ステータスオープン、かんてーい!)


矢継ぎ早に思いつく限りのことを言っていくと目の前に薄い液晶のようなものが浮き出てきた。


「ばああぁぁ」

(何か表示が出てきた気がしたが細かくてわからん、それに何の言葉で反応したかわからない。でも後半で出てきたってことはステータスオープンか鑑定だな)


「オギャーダー!」

(異世界だ!。まさかの4つ目だったとは視界に何か表示されたまま固定されてる。閉めるのも言わなきゃいけないのか)


まさかの異世界転生、病院にいるのと同じくらい、いやそれ以上に確率としてはないと思っていた現象であった。


「バブ、ダァ、ダダ」

(閉めろ、閉じろ、クローズ)


何回か繰り返していると表示されていたものが閉じていった。

今回の挑戦で考えたくもないが異世界に生まれ落ちたことを理解したカミト、生後間もないながら何日もかけ思考をまとめてきたが、頭の片隅にあった異世界への転生が現実のものだと確認できてしまった。

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