18.カミトの誕生日
「今日で俺も10歳だ」
「「「おめでとう(ございます)」」」
「いよいよ冒険者になる時が来た」
「その前にステータスでしょ」
「そうだった、そうだった。父さんと一緒に行ってくるわ」
「はーい」
今日が誕生日であり元気いっぱいのライトを見送り自分たちの午前のトレーニングを始めるのであった。
「やってきたぞ」
「おかえり、どうだった?」
「バッチリだぜ」
「どんな感じにしたの」
「おう見てくれ」
と言いながらライトはみんなにステータスが見えるようにした。
名前:ライト(10)
種族:人間
レベル:4
EXP:800/1000
HP :1600/1600
MP :50/50
STR :55
VIT :20
IMT :20
MND :20
DEX :20
AGI :40
LUK :10
スキル:水魔法1(5)剣士4(9)直感3(4)STR増加3(6)回避(1)見切り(3)
ユニークなし
「おおSTRとAGIが上がってる。お姉ちゃんスタイルで行くの?」
「いや本当はもっとVITも上げていこうとしたんだけどステータスポイントが足りなくてな、今後はVIT、STRを中心に上げていくつもりだぞ」
「なるほどね私も負けてられないわね」
こうしてみると姉よりもスキルのレベルが違う、合計で21ということは生まれた時にもらえるポイントが少なかったことがわかる。生まれた時にこの差があるとレベルが上がってからはともかく最初の方は苦労しそうだなと他人事のようにカミトは考えていた。
「水魔法を取ったのはお姉ちゃんが火魔法だから?」
「そうだな被ってもなって思って」
「スキルなんて自分の好きなように取ればいいのに。」
「今後パーティを組むことを考えるとな」
「そんなの僕かミトが魔法を覚えるんだからどうとでもなるんだよ」
「コクコクコク」
「そうだけどさ、ダンジョンに潜っていて1人になった時とか、ずっと一緒にできればいいけど別れることになった時に水は必要になるだろ」
「ライトあなた以外に考えてるのね」
「リン姉ちゃん意外ってどういうことだよ。俺はいつだって知的だぜ」
「え…あごめんなさい」
戸惑いの声を上げたのは、以外にもミトであった。声を上げた後にみんなの視線が自分に集中している事に気がつきすぐに謝っていた。
「ミトそれはないぜー」
「みんながそう思っているってことよ。ミト安心してね私も疑問に思ったから」
「良かった」
「よくねーよ」
「それは置いておいて、ライトはこのまま冒険者登録もするのか?」
「それはもうしてきたぜ!!ほら」
見せてきたプレートにはFの文字と名前が書いてあった。
「帰りに寄ってきたのか?」
「そうだよ。だってこのために今日まで頑張ってきたんだからな。」
「まあそうだよな。もう少しよく見せてよ…へえこんな感じなんだ」
「お前、アイクさんやリン姉ちゃんのカード見たことあるだろ」
「そういえば見せたことなかったわね」
「男なら気になるだろ。俺は父ちゃんに見せてもらってたぞ」
「まあ別に教えてもらえるしいいかなって、この材質ってなんなんだ?」
「聞いてない。興味もなかったしな。でも無くしたらもう一回作って貰うのに金貨5枚だってよ。無くし過ぎたらそれだけ信用度も落ちていくらしい。」
「高いな、ライトは大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃねーよ。普段から物無くしやすいのにどうすりゃいいってんだ」
「無くさなければいいんじゃない」
「そんな簡単なら酷くなってないよ」
「ずっと持ってるとか」
「それしかないよな」
物を無くしやすいライトはすごい不安そうであった。ただ金貨5枚もするということは、手間の他にもこの物体が良い素材で作られていることは確かである。転売とかで儲ける人が出ないのかなと思うカミトであった。
その後は、ライトは依頼をこなし、姉は鍛錬もしくは父と共に討伐にいく日々が続いていった。
そしてヤグルの25になった。
「「「誕生日おめでとう」」」
「みんなありがとう」
朝一番から家族にお祝いされたカミトであった。人生2周目と言ってもここまで祝われるのもむず痒い物であるが。いつになっても嬉しい物である。
「まずは神殿だな、いついく?」
「ご飯食べてからでいいよ」
「分かった。そうしようか」
朝食を食べ終わり姉と同じように全員で神殿へと向かっていった。
「カリドおはよう。」
「アイクさんおはようございます。今日は…あぁカミトくんが10歳になられたんですね」
去年来たように家族全員で来たから想像がついたのだろう何しにと聞こうとしたところでカミトの方を向いて話してきた」
「はい僕が10歳になったのでステータスを更新しにきました。」
「わかりました。では一緒に来てください」
「はい。行ってくるね」
「「「行ってらっしゃい」」」
神殿に入りしばらく歩いていくとホールの脇の扉から別の通路へと入っていった。それを追いかけるようにしてついていくと突き当たりの部屋の前でカリドさんは立ち止まった。
「ここの部屋です。ギルドでも更新できることからここの部屋を使う人はあまり多くないんですよ」
「そうなんですね。どのくらいの頻度で使われるんですか」
「そうですね。初めてステータスを触れる10歳になった人と。冒険者登録をしていない人になりますが。更新を頻繁にやる人はいませんからね1日に10人来れば多いですよ。」
「どっちの方がいいとかあるんですか?」
「神殿の方がいいステータスをもらえると言っている人もいますがどうなんでしょうか。こう言ってはなんですがしっかりと自分と向き合えていればどこでも同じだとは思いますが、神殿を管理するものとして神殿の方が良いと言っておきましょうか」
「えぇそれでいいんですか?」
「内緒ですよ」
「わかりました。何かルールなどはありますか?」
「特にどこでも同じですが、部屋の中には神様の像があります、そこに向かってお祈りをしながらステータスを開くと何を取得して配分をしていくか触ることができます。最後に決定と意識することでそのステータスが体に定着していきます。決定と意識しなくてもあの部屋から出ると自然と定着します。
「わかりました。ありがとうございます。部屋に行くのは1人ですか」
「そうです。これはそこに付き添ったものの意思を入れないためです。よく考えて振り分けてくださいね」
「はい。では行ってきます」
「カミトくんに幸多からんことを」
一通り説明を受け部屋に入っていった。部屋の中には大きな神像が置いてあり、その前にはスキルを触る場所なのだろう椅子がポツンと置いてあった。
「ここの世界でニ礼二拍手一礼とかの作法の概念はないのかな」
(特にないから自由にしていいよ)
「え?誰かいるのか」
(とりあえず椅子に座って祈ってよ。こっちにきてもらうから)
「…部屋には誰もいない、言われた通りにするしかないか」
急に返答が来てびっくりしてしまったカミトであったが部屋の中に自分以外いないことを再確認すると薄寒いものを感じながらも椅子に座り目をつむった。
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