14.あいさつまわり
翌朝目が覚めるとすぐに部屋から出て父が帰ってきているかを確認した。
「お母さんお父さん帰ってきた?」
「もう帰ってきてるわよ」
「どこにいるの」
「外で剣でも振っているのではないかしら」
「ちょっと行ってくる」
「もうすぐ朝ごはんだからねついでにお父さん呼んできてー」
「はーい」
母の言葉を背中に受けながら急いで外へと出ていった。
バタン
「お父さんどこー」
「ここにいるぞ、ちょっと待っててな…どうしたんだそんなに慌てて」
「慌ててじゃないよ、慌てるでしょ。それで話はどうなったの?」
「そうだなその話はリンも一緒に朝食の時にしようか」
「今聞きたいんだけど」
「少しぐらい待ってな」
「だけどさー、お母さんがご飯だって言ってたから早く行こう。」
待ちきれないカミトに慌てるなという父、今話してくれることはないようだったが今すぐ聞きたい気持ちがかなり強かった。
「そうかそれなら向かおうか」
朝ごはんを食べ終わり…
「それでお父さんどうだったの?」
「結論としては許可してもらった」
「やった」
「だけど制限というかお願いはされた」
「え?どうゆうこと」
「やはり心配は心配だそうである程度の知識は俺とお母さんでつけてくれって内容だな」
普通に過ごしていれば村の中で人生を終えるであろう2人を連れ出すのだ、親が見ていない経験したことがない世界に送り出すのに不安は当たり前である。自分が教えられれば1番であるが自分も知識がない身、教師としてやってきた力をまだ活かせないのかと少し落胆するのであった。
「そっか、お父さんごめん」
「謝ることはないぞ、お前たち2人にも伝えなくてはいけないことは山ほどあるからそこに2人追加されても大した手間ではないさ。それに同年代の相手がいた方がお前たちのやりがいにもつながるだろうしな」
「ありがとう」
「リンもそれで大丈夫だな」
「うん、そうと決まったら一緒に鍛錬するためにこれから呼んでもいい?」
「それもいいぞ。ならライトくんは剣士志望だから俺が、ミトちゃんは魔法使い志望だからリサにお願いしようかな」
「いいわよじゃあいつから鍛錬する」
「今日から!」
せっかちな姉は仲間になると決まった途端どんどん話を進めていった。それを頼もしく感じるカミトであった。
「その前にいいですか?」
「どうしたの、どうでもいい事だったらまた怒るわよ」
「お姉ちゃん怖いよ。ライトとミトの親さんに許可してくれてありがとうとあいさつに行きたいんだ。」
「お礼を言うのは大事だなよしこれからみんなで行くか」
「はーい」
「急いで行かないと仕事に行ってしまうかもしれないからすぐに出るぞ」
「準備できたよ」
「早いな、じゃあ行くぞ」
持つものも特にないため全員あっという間に準備ができてしまった。
「ライガいるかー」
「おう、アイク昨日ぶりだな。今日は家族揃ってどうしたんだ?」
「こちらこそありがとう。それでうちの息子のカミトがお礼を言いたいんだと。奥さんはいるか」
「なるほどそれは丁寧に、とっと待ってな。おーいサリーちょっときてくれ」
「あなたなあに?」
「アイクのところの息子さんが話をしたいんだと」
そういうと2人はカミトの方へ顔を向ける。
「あ、あの、今回の件でライトが一緒に冒険者になってもいいと許可をいただきありがとうございます。」
「あいつも君たちと行動しているのを楽しく話していたからなこんな風になるんだと思ってたんだよ」
「そうよただ無茶なことだけはしないでね」
「わかりました。気をつけます。」
(よかった。意外に前向きに捉えてくれていたんだな。冒険者は危険とも言われているししっかり頑張ろう」
「次はオウルんとこだな行くぞ。ではライガありがとう。これからもよろしくな」
「おう。また訓練で」
こうしてライトの両親へのあいさつは終わった。
「おーいオウルいるか…いないみたいだな畑の方に行ってみるか」
「わかった」
「お、いたいた。おーいオウルちょっといいか」
「アイク昨日はありがとな、それでどうした」
「こちらこそありがとう。それでうちの息子のカミトがお礼を言いたいんだと。奥さんもいいか?」
「うーん、ちょっと待っててくれよ。」
ミトのお父さんは父の言葉に少し渋い顔をしながら承諾しお母さんを呼びに行ったようだった。
「お父さんお仕事の邪魔だったのかな?」
「まあ急ぎではないけど大切な話だからな早めの方がいい」
「待たせたな」
「オウルさん、ミリさん今回はミトが冒険者になることを許可してくださりありがとうございます。」
「冒険者ってのはなったことないからあまり言えないんだけど魔物と戦って危険だろもしも何かあったらどうするんだい?」
ミリさんが少し強めの口調で聞いてきた。
「そこは、お父さんと相談しながら進めて学習していきたいと思います。」
「いやいや突発的なことで何かあったらどうするんだい」
「守れるよう、自分も強くなりますしミトにも強くなれるよう教えていきます。」
「まだ10歳にならないカミトに何ができるんだい」
「まあまあミリ落ち着いて。俺はアイクが色々教えてくれるってんで構わないんだがミリがな、とりあえず冒険者になってすぐに村から出ていくわけじゃないからそれまで様子見ってことで頼むわ」
「それならEランクになった時点でどのくらい強くなったか見せておくれ。カミトとそれにミトも場合によっては諦めてもらうよ」
「わかりま認めてもらえるよう頑張ります。」
「じゃあオウル、ミリ仕事中に悪かったな。たまにミトちゃんを鍛錬に参加させていいか?色々アドバイスできるだろうし」
「分かったよろしく頼む」
こうしてミリのお家の訪問は終わった。危険がつきまとうこの世界でもやはり冒険者のように自分から飛び込んでいくことに抵抗感がある人はいるのだろう。これから自分の身はもちろん仲間も守れるようにより効率的にトレーニングができるよう考えようと思ったのだった。
「まあそのなんだ、諦めるなよ」
「もちろんだよ。スキルを取ったあとじゃないとわからないけどイメージはあるんだ。お父さんもお母さんも少しでも強くなれるよう協力して」
「ああそのいきだ」
「私もカミトには負けてられないわ、もっともっと強くなるんだから」
「みんなで強くなりましょうね。お母さんも鍛錬の量増やしましょう。」
一家それぞれに思うこともあり強くなろうと決意を言い合った。そも思いがどう今後につながってくるのであろうか。
その午後から訓練は始まった。
「お母さんそういえば練習してもなかなかうまく行かないんだけど魔力だけを飛ばすってできないの?」
「できないことはないけどある程度の魔力は必要よ。無属性を持っていたらやりやすいと聞いたことはあるけど。お母さんもスキルがある分属性魔法の方が消費魔力が少なく済むからね」
「そうなのかMPが10ではどうしようもないのか」
魔力のみで飛ばす方法があるのであればスキルを取らなくても良くなるため。これまでに取ったスキルレベルを上げるために使えると考えていたのだが残念であった。」
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