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12.依頼

「今日はゴブリンと戦ったわ。勝ったわよ」


「リンはすごかったぞー威嚇して来るゴブリンに構わず果敢に戦いにいったからな」


「最初威嚇されたら、驚いてしまうんだけどそれは凄いわね」


姉の冒険は順調に進んでいるようだった。冒険者ギルドに行き冒険者登録もして動き始めている。日々村中を動き回って活動している。たまにこのように父に連れられて魔物と戦い、戦闘経験を積んでいる。


「僕も早く10歳にならないかな〜」


「あと少しじゃない頑張って鍛錬するわよ。」


「そうだけどさー早く魔法を打ってみたいじゃん」


「そんな気軽にできるものじゃないんだけどね。MPの管理とか大変なのよ」


「そうなの?」


「そりゃそうよ、MPが切れてしまったら魔法が使えなくなるのだからその時点でお荷物よ。お母さんは剣も使えたからMPが切れたら剣で戦えば良かったけどね」


「なるほどMPを増やしすぎたら強い魔法を覚えないからその分両立も大変なの?」


「まあそういうことになるわね。区切りはあるんだけどそこまではあげないと上位の魔法は覚えないから。」


「消費魔力はどのくらいなんですか?」


「威力を強めたり弱めたりすることで変わって来るけどおおよそ初級が10、中級が100、上級が500、超級が1000使うと言われてるわ。ただ制御が甘いとそれよりも魔力を使うことになるわ」


「初級から中級にかけて使用量の差が凄いね」


「それは分かってはいないわね。でも自分でオリジナルの魔法を作って運用しているからそこまで困りはしないわね。」


「お母さんの魔法見せてほしい」


「しょうがないわね。外に行くわよ」


「はーい」


「これから使うのは風魔法の初級と中級の間よ。いくわよ、シャープアロー」

母の言葉と共に空間に風が渦巻き矢のような形が作られていく。射出されるとともに矢の先端から螺旋の渦のようなものが出ている。そのまま突き進み木に当たったと思ったら消えてしまった。


「おおーすごい。普通の初級はどうなんですか」


「しょうがないわねウィンドアロー」

今度は風が矢の形になったと思ったらそのまま進み木に「どす」という音と共に刺さった。


「違いを見てみなさい」


「え、木に穴が空いている。」

気を見てみると穴が空いており反対側の様子が見えるようになっていた。ウィンドアローの時には刺さった音がしていたため消去法としてシャープアローが貫通したのだと思われる。結構、いやかなり殺傷力が高い魔法である。


「最初の魔法は、シャープアローと言って、先端に風魔法をさらに纏わせることによって貫通力を上げているのよ。その分消費魔力は上がっているけど30〜50の間で打てるのよ。こんな感じで術者ごとに改良を重ねている人もいるわ。もちろん教えてもらえることをずっと使い続けている人も多いんだけどね」


「なるほど応用が効くんだね」

(これは現代知識がある分有利だな)


「そうよここは腕の見せ所。ただしMPが足りなかったり、使えるレベルのスキルレベルがないとそもそも発動しないわ。ただスキルレベルが足りてMPも足りているけど技量が足るないと暴発することもあるから注意が必要よ。これは前に説明した魔法と同じだけど作っているぶん何級かわからないから思ったよりも威力が出てしまうこともあるの。だから余裕のある時に魔力の鍛錬を欠かさないようにしましょうね」


「なるほど暴発は怖いね。より精度を上げなくては」


「あなたは今のままでもかなり制御できている方だと思うわよ」


「いやいやまだまだ」

試してみたい魔法はたくさんあるため、より制御をしっかりしてたくさんの魔法を開発してやろうと思ったカミトであった。


季節はオトンヌが終わりに近づき、木についた葉も散りってしまい肌寒い風とともにイエンスの季節になっていった。この季節になって来ると雪もふり道が塞がることもあるため移動して来る人は極端に少なくなる。また冒険者も寒いと動きが悪くなるためダンジョン以外の探索を抑える傾向にある。


「リン姉ちゃんはもうEランクか〜俺も早く冒険者になりたいぜ」


「ライトもアドニスの17だから、あと2ヶ月くらいで10歳になるじゃない」


「そんなに待てないよ」


「ライトそんなこと言わないでよ私なんてビロードよあと6ヶ月先よ!みんな先に冒険者になっちゃうから置いていかれる気分よ」


「まあまあ俺たちの中じゃライトが1番先に10歳になるんだから」


「でもな〜」

リンがつい先日、Fランクの依頼を規定数成功してEランクに上がっていた。その様子を見てライトは羨ましくなったのだろう、たびたび話題に上げていた。


「そういえば、ライトとミトはどんなスキル構成にするか決めたのか?」


「俺か?もちろん剣士になるぜ!!」


「私は魔法使いになりたいなと思っているの」


「ヘェ〜僕は魔法使いになるつもりだから前衛1に後衛2で少しバランス悪いかもしれないな」


「ちょっとどういうことよ」


「なんだよお姉ちゃん」


「私を抜かしておいてなんだよとはどういうこと?」


「え?だってお姉ちゃんもうEランクだし早めにパーティを組むだろ?」


「ちょっとカミト、リンお姉ちゃんがかわいそうよ」


「ちょっとミト、私が可哀想ってどういうことよ!」


「え、あ、ごめんなさい」


「いいわよ、それでカイトどういうこと」


「だから自分で組むもんだと思ってたんだよ。」


「そうじゃなくて家族で組む話はどうなるっていうことよ」


「あーそれか」


「それかじゃないわよ!!」

怒り心頭といった様子で姉は昔話していた家族で冒険する話をしていた。姉の様子を見るに凄い楽しみにしていたんだという事が伺える。カミトもその話を忘れたわけではなかった。


「家族でパーティも組むよ?」


「どういうこと?家族で組むのを後回しにするってこと?」


「違う違う一緒に冒険すればいいんじゃないかなって。お父さんたちにはまだ言ってないけど」


「いや俺も初めて聞いたぞそんな話。ミトは聞いてたか?」


「いや聞いてないよ。私も初めて聞いた。」


「だそうよ、どういうこと」


「まあまだ10歳になってないし、いいかなって。それにお姉ちゃんは先にEランクになったから年の近い人とパーティ組むかと思ってたんだ」


「それを考えたこともあったけどカミトがEランクになったら解消になっちゃうからね。それまでは待ちながらお父さんにいろいろ教えてもらおうかなって思ってたのよ」


「それならそうと早くいってくれよ」


「それなら俺やミトは邪魔になるんじゃないか?」


「一緒に組みたいけど、あまりみんなを困らせたくないな〜」

俺と姉の話を聞きながらライトとミトが自分の意見を言っていく。


「それなら6人で組めないかお父さんたちに聞いてみればいいじゃないか。」


「カミトが勝手に決めないでよもう知らない。」


「あ!お姉ちゃん。2人ともごめんね急に話に入れちゃって。できる限り話をして無理なら3人で組もうか」


「いいぞ。入れてもらえるなら願ったり叶ったりだしなでもダメだった場合お前が大変にならないか?」


「私も知っている人と組む方が嬉しいけど…」


「まあ僕のことは置いておいて大丈夫。夜にお父さんとお母さんに話してみるよ。とりあえず姉ちゃん追いかける。また明日」


「「また明日」」

結局のところ親の了承を得られないことには話が進まないためライトとミトの意思を聞いて終わった。カミト自身は両親は断らないだろうと思っていた。断られた場合は、その時は3人で組むことも視野に入れながら解散した。


別れた後家のそばで話しかけたが姉はまだ怒っていて話をすることができなかった。

お読みいただきありがとうございました。

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