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黒蝶 『背中を押す時』

作者: 物語のあるリボン/いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております



小説は毎朝6時に投稿いたします

ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

深呼吸しながら、弾ききることだけ考える

今日はピアノの発表会なのだが、緊張しすぎてもう家に帰りたくなっている

いつも発表会は緊張しているが、今回は特別気を張っていた

前回の発表会の時に、一瞬頭が真っ白になり弾いている途中で止まってしまったからだ

真っ白にならないくらいに練習もしたし、ストリートピアノで度胸も付けてきた

大丈夫、自分の力を後は出し切るだけ

『そんなに緊張しなくても、コンクールじゃないんだから大丈夫よ?』

『いつでもコンクールと思いながら弾いてないと、また失敗しちゃうよ・・・』

『そう?』

ママはいつも適当だ

たまにイラっとしてしまう自分がいる事を私は知っている



『ほわっとしてないと、しんどくなるよ?いいのよ、ほわっとで♪』

いつもママはそんな事を言っている

家にいても、どこか適当で話を聞いていないところがあり、言葉通りいつも何か忘れたり、うっかり屋さんと言う言葉がピッタリな人である

少しはきっちりしたらいいのにと思う私は間違えてるのかな?と不思議な気持ちになる

『ほら、もうすぐじゃない?そろそろ準備しないと』

ママに言われ持ってきたドレスに着替えるため控室へと足を運んだ

中へ入ると、何人かが部屋で着替えている



出番が終わった子、今からの子、みなそれぞれに今日の晴れ舞台の為にドレスアップしている

3部制になっている発表会も、そろそろ終わり

6年生の私は最期から4番目、ピアノ教室を辞める日が来る時までにトリを飾れるくらいかっこよく弾いてみたいといつも思っていた

ちなみに全体のトリを華やかに毎回彩っているのは、私の横で着替える憧れの高校生のお姉さん

『あれ?・・・髪飾り忘れた?』

『え!?私、準備したはずだよ?』

『入ってないよ?』

『なんで?!うそ!!』

突然のアクシデントに、私はいつもよりヒステリックになりながらカバンをひっくり返していた



『どうしたの?髪飾り忘れちゃった?』

バタバタしている私に声をかけてくれたのは、憧れのお姉さん

『はい。どうしよう、たぶん最終確認で出した時に忘れちゃったんだ・・・』

『大丈夫よぉ!なくっても弾けるじゃない♪』

すかさず、うっかり屋さんが口を挟んでくる

『ママ!そういう問題じゃないの!』

『くす。まぁまぁそんなに怒らなくても大丈夫。こないだ止まっちゃったから今回は気合入ってるよね、きっと』

前回の私の事を知っていてくれたことに少しびっくりしながらも、私は恥ずかしくなった



『私も同じ事あったから気持ち分かるかも?気合いれすぎちゃうと、いつもの音が弾けなくなるかもしれないよ?全部に集中するのも良い事だけど、ママの言うように弾くのはあなたなんだから、あなたの音を聴いてもらえばいいのよ♪髪飾りはおまけ♪・・・私も黒いドレスだから良かったらこの髪飾り使って?終わったら私がつけるから♪はい!』

そう言いながら、私の髪の毛にお姉さんがつけてくれたのは『黒蝶』だった

『ママの話も聞かなきゃだよ?ふふ。リラックス♪』

黒蝶を付け終わりポンっと私の肩を叩き緊張を解いてくれる



そのままお姉さんは自分の支度をし始めた

『良かったね♪大丈夫!ほわっと行こう♪』

にこにこしながら頭を撫でるママを見て、この日ばかりはママの適当さも必要なのだと、どこか腑に落ちたのだった

『ほらほら、いっといでぇ♪』

『うん!』

背中を押す母の手がとても大きく感じ、どしっと構える自分に気が付いた

深呼吸しながら頷く

『ほわっとバシッと弾いてこよう!』

手にした楽譜を見ながら私は最終確認を舞台裏でほわっと始めるのだった



最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


また明日、6時にお会いしましょう♪

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