お屋敷で暮らしてた少女
「お母様!!見て。」
「まあ、ゆりかったら。」
ゆりかは母親の前でバレエのステップを踏む。
この屋敷にはとある公爵家の一家が住んでいた。公爵様に夫人、子供が3人。そして使用人達やイギリス人の住み込みの家庭教師が暮らしていた。長女のゆりかは1925年の8月に産まれた。幼い頃からイギリス人家庭教師から英語にお茶、バレエを習っていた。
「さあ、ベルナンド、行くぞ!!」
尋常小学校5年生の時に母に連れられて少女歌劇の影響で男役になりたいと思うようになり女学校に上がってからフェンシングを習い始めた。
フランス人の男性講師ベルナンドだって簡単に倒してしまう。
「今度の学芸会の劇ロミオはゆりかちゃんがいい。」
「そうだね、ロミオはゆりかちゃんしかいないよ。」
女学校4年生の学芸会でロミオとジュリエットをやった時は主役のロミオ役に抜擢された。それがきっかけで同じ女学校のファンが多数できた。
父や母、妹達に家庭教師、使用人達にたくさんの友達に囲まれ幸せに暮らしていた。
ある日誕生日会に級友やバレエ教室の講師や仲間を招待した。皆の前でダンス講師をパートナーにダンスをしようとしていた。
当日ゆりかは黒いタキシードに着替え男役のメイクを施す。自室の鏡の前で準備をして講師とステップの確認をしていると
トントン
部屋のドアをノックする音がする。中に入って来たのはメイドだ。
「お嬢様、旦那様がお呼びです。」
メイドに連れられダンス講師と共に下の階に降りる。
リビングには父と母、妹達、家庭教師に使用人達もいた。そして銃を持った日本軍の人達も。
「この屋敷は本日より我々日本軍が食糧庫として使用する。明け渡してもらえますか?」
「ここは我々の私有地です。いきなり来てそんな事を言われても困ります。」
父が軍人を説得しようとする。
「勿論新しい居住地も用意致します。悪いようには致しませんよ。」
「今すぐは困ります。」
ゆりかが軍人の目の前に出る。
「今日は僕の誕生日なんです。帰って下さい。」
「ならぬ、国の命令だ。」
「1日くらいいいだろう?」
「それになんだその格好は?君は公爵家の長女であろう?なぜそんな男みたいな格好してるんだ?恥ずかしくないのか?」
「僕は少女歌劇の男役になるんだ!!どんな格好しようと僕の勝手だろう!!用がないならとっとと出てけ!!」
ゆりかは傍にあったコップを持ち軍人に向かって中の水をかける。
「お前達は軍を愚弄する気か?!!」
「はい!!」
ゆりかの返答を聞くと軍人達がゆりか達に向かって一斉に発泡する。
「私」




