変わらない予言
「皇后様!!」
敏麗はその場に倒れ込む。
「ありがとう舞蘭、大丈夫よ。」
舞蘭と田中に支えられながらソファーに座る敏麗。
「敏麗、何を見たんだ?」
田中には鏡に写った物は見えてない。
「芳子様が」
「芳子がどうした?」
「撃たれた。どうしてなの?芳子様を日本に帰したというのに予言は変わってない。」
敏麗が今見た光景と同じ物を鏡で見たことがある。皇后に就任し芳子を国外に追放する直前だ。敏麗はこうなる事を知っていて芳子を日本に帰したのだ。
「敏麗、これは俺の推測だが芳子は敏麗の危機を新聞か何かで知って戻って来たんじゃないのか?この意味が分かるか?」
田中が敏麗に尋ねる。
「芳子様が日本から帰って来る。ってことよね?」
「それもだが大陸での混乱は日本にも知れ渡る。つまり近い未来何かが起きるってことだ。」
このままでは芳子の命も満州国も危険だ。
「でしたら元凶であるあの娘を捕らえればいいのね。」
敏麗は立ち上がると侍女を呼ぶ呼び鈴を鳴らそうとする。
「待て敏麗、何をする気だ?」
田中が制止する。
「何って憲兵を呼んで栄羅を捕らえてもらうのですわ。」
「それは無理だ。まだ何もしていない彼女を捕まえてみろ。それこそ王室は存続の危機だ。お前の命も無事では済まない。」
「しかしあの娘は話が通じる相手ではありませんわ。」
敏麗は鈴時代まだ「西園寺」だった頃の栄羅に散々な目に合わされた。1年生の頃は選択の授業も一緒でそこそこ話す仲だったが2年生になって共学になってから一変した。放課後遊びに誘われてついて行ったら毎回のように同じクラスの男子がいた。やめてほしいと頼んだが全く聞き入れてくれなかった。
「敏麗、なぜ決めつける?栄羅とか言う娘の事知ってるのか?」
(しまったわ。)
田中に尋ねられふと我に帰る。彼は敏麗の前世の事を知らないのだ。
「あの女はわたくしに切りかかった不届き者。話をしても通りませんわ。それにあの者には皇后殺害未遂という立派な罪状がありますわ。」
しかしその罪も栄羅自身の狂言により揉み消されてしまった。
「敏麗、気持ちは分かるが諦めろ。」
「嫌ですわ。とにかくあの者に会わなくては」
敏麗が歩き出そうとした時
「伏せろ!!」
田中が敏麗を抱き寄せその場に倒れ込む。次の瞬間窓ガラスが割れ実弾が飛んでくる。一瞬でも遅ければ敏麗に命中していただろう。
舞蘭も床に伏せている。敏麗が立ち上がり窓の外を見ようとすると
「馬鹿、やめろ。死にたいのか?」
田中が制止する。
「私が行く。」
綾が窓をすり抜けて外へ出ていく。彼女は幽霊だから撃たれて弾はすり抜けてしまうから問題ないのだ。
「田中さん!!腕!!」
舞蘭が叫ぶ。田中の右腕から出血している。
弾が貫通したようだ。




