早朝の面会
新章突入です。
「敏麗、敏麗はいるか?」
舞踏会から2日後の早朝、宮殿の敏麗の部屋に田中が訪れる。
「田中中佐、皇后様はまだお休みになられてます。」
対応した女官が田中を追い返そうとする。
「緊急事態だ。」
「しかし皇后様はお疲れなのです。大体こんな朝早くに来るのも非常識ではありませんか?」
時計を見ると朝の6:00だ。
「そんな事を言ってる場合じゃない。王族存続の危機だ。」
田中が女官と押し問答になっていた時。
「構わないわ。」
敏麗がネグリジェ姿で奥の部屋から現れる。
「着替えがしたいので待っていてくださるかしら?」
「分かった。」
敏麗は女官に手伝ってほしいと言って寝室に戻っていく。女官も田中に一礼すると敏麗と共にはける。
田中はソファーに座って敏麗が戻って来るのを待つことにした。煙草を吸おうとポケットからライターを取り出そうとする。
「すみません!!」
敏麗が部屋に戻ってほどなくして扉を叩く音がする。
(誰だ?!)
女官は皆敏麗の着替えを手伝っている。田中は仕方なく扉を開く。
「なんだお前か。」
扉の前には敏麗の後任で巫女になった舞蘭がいた。背後には綾もいる。
「お前とは何ですか?皇后様はどこですか?」
「敏麗か、今着替え中だ。」
「分かりました。でしたら中で待たせて下さい。」
舞蘭は部屋の中へと入っていく。綾も舞蘭に着いていく。
「俺もあいつに話があって来た。お前は後にしろ。」
「嫌です。どうしても急をようする物ですので。」
「俺も急ぎの用だ。」
二人が言い争っていた時
「田中中佐、お待たせしましたわ。」
敏麗がチャイナドレスに着替え髪を夜会巻きにして現れた。
「あら?面会人がもう1人。いえ、2人。随分と可愛らしい方を連れてるのね。」
敏麗は舞蘭に目を向ける。舞蘭の背後に浮いている綾の姿も見える。
「とにかくおかけになって。」
3人はソファーに腰掛ける。
「敏麗」
「皇后様」
田中と舞蘭は同時に言葉を発する。
「田中さん、先にどうぞ。」
「ありがとう。」
田中はテーブルの上に今日の朝刊を出す。
「敏麗、単刀直入に聞く。この記事に書かれてることどうなんだ?」
敏麗は朝刊を手に取る。
「何ですって?!」
「皇后中国人少女達を日本軍の慰め物に」
見出しにはそう書かれていた。
「この娘。」
傍らには栄羅の写真があった。彼女が告発したようだ。男好きの皇后は日本軍の幹部達に中国人少女達を宛がい売春業を斡旋したとまで書かれている。
「男好きってどっちがよ?!」
敏麗が大声をあげる。
「彼女の事知ってるのか?」
田中が尋ねる。敏麗はしまったと言うように俯く。前世の事を田中に話してはいないのだ。
「ええ、わたくしに切りかかってきた不届き者ですわ。」
敏麗は2日前の舞踏会の後の話をする。




