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大島の罪

 ホテルマンがテーブルと椅子をロビーに設置する。メイドが蝋燭をテーブルの上に立て火を灯すとシャンデリアの明かりが消され辺りが暗くなる。

「一体何が始まるのかしら?」 

「わたくし怖いわ。」

会場がざわつき始める。ロビー中のカーテンは閉められ蝋燭の火だけが辺りを灯す。

「皆様、驚かせてしまい申し訳なくありません。ここからは趣向を凝らしてわたくしの得意な降霊術をお見せ致しますわ。」

敏麗は椅子に座ると大島を手招きする。

「大島さん、どうぞお掛けになって。」

大島が席に付くとテーブルの周りに人だかりができる。皆敏麗の降霊に興味津々なのだ。

「鈴花、手伝ってくださる?」

「はい。」

鈴花は空いている席に座る。

「皇后様、一体どなたの霊を降ろすのでしょうか?」

「この方ですわ。」

敏麗はテーブルの上に写真を置く。

「どなたでしょうか?この方は。」

大島は写真の女性に見覚えはないようだ。

「降ろして見れば分かりますわ。さあ、隣の方の手を握って下さい。」

敏麗、鈴花、大島は手を握り合い円を作る。

「それでは霊を召喚します。」

敏麗がお経を唱え出す。

「ねえ、カーテンが。」

すると窓を閉めたはずなのにカーテンが揺れ出す。蝋燭の炎も同じように揺れ敏麗がテーブルに突っ伏す。

「皇后様」

「まさか憑依されてるの?」

観覧者達は動揺した様子を見せる。

「皇后様大丈夫ですか?」

大島が声をかけると同時に敏麗がゆっくりと顔をあげる。

「鈴花」

敏麗は鈴花に視線を向ける。

「鈴花、久しぶりね。大人になったわね。」

「お母さん?!」

敏麗には鈴花の母が憑依している。

「鈴花、しっかり食べてる?無理はしてない?」

鈴花の母は母親らしい言葉をかける。

「ええ、敏麗さんも良くして下さるし、それに」

鈴花は悠平の方に目を向ける。

「初めまして。鈴花さんの夫の高塚悠平と申します。」

悠平は敏麗に対して会釈する。

「良かったわ。おめでとう鈴花。」

「ねえ、お母様。お母様はどうして亡くなったの?」

鈴花が確信に迫る。

「貴女には話さなくてはね。私達村民が土地のことで日本軍と揉み合いになっていたのは知ってるわね。」

「ええ。」

鈴花は頷く。

「私達村の大人はあの土地に向かった。日本軍の人と話し合いをしようと。だけど彼らは私達に銃を向けてきた。」

「その日本軍ってどんな人?」

敏麗の視線が大島へと向けられる。鬼のような形相で大島を睨み付けている。

「あなたね。私達から土地だけでなく命まで奪ったのは。」

「やっぱり貴女だったのね。」

鈴花は手を離しドレスの懐から短剣を取り出す。

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